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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「怒られるから嫌」指導型サービスに大切なのは寄り添う心。ユーザーのモチベーションを保つには?

長年ブームが継続中の“ダイエット”。さまざまな手法が生まれては消えるものの、2000年代初頭にトレンドとなったレコーディングダイエットは、いまだに根強い人気を博している。とりわけアプリ業界では、昨今の健康意識向上も相まって、食事管理アプリが勢力を増している。

 

2007年にインターネット上のサービスとしてリリースし、現在の食事管理アプリの先駆けとなった「あすけん」から、妊娠・授乳期の女性の栄養管理をサポートする「あすママコース」がリリースした。エネルギーも栄養素もより一層必要になる妊娠・授乳期の女性にAIが自動で食事管理のアドバイスをする。

 

食事管理をベースにダイエット目的としてアプリを利用するユーザーが多い中、ダイエット以外の観点でレコーディングする機能は珍しい。「全ての人に健康であってほしい」と語る、株式会社askenの広報PR担当・多田綾子氏に、これからの食事管理アプリが目指す世界について話を聞いた。

コロナが追い風で100万ユーザー増。健康志向は多様化へ

askenは親会社であるグリーンハウスを母体に持つ。同社は社員食堂を提供する会社で、管理栄養士が2,000人以上在籍しており、創業70年の栄養学の蓄積があった。そこに、時代を読んで「食」に「IT」を掛け合わせて誕生したのが「あすけん」だ。

 

2007年にasken設立後、あすけんはパソコン上のサービスとして展開。2014年にアプリ化。ユーザー数が100万人増えるのに5年かかったが、コロナを契機に1年で一気に100万人増えた。現在、会員数は国内最大の700万ユーザーを達成。ユーザー属性は20〜40代女性がコア層で、90%はダイエット目的での利用だという。

 

とはいえ、昨今の健康需要は多様化している。あすけんはダイエットをメインに「ゆる糖質制限ダイエットコース」「あす筋ボディメイクコース」「食物繊維で生活改善コース」など、さまざまな健康ニーズに対応したコースを提案した。そのなかで誕生したのが「あすママコース」だ。

 

「実は妊娠・授乳期の女性に向けたアドバイスの構想自体は10年前からありました。あすけんはダイエットで人気を集めましたが、将来的にはいろんなライフステージの人が健康でいてもらうサポートを目的にしたいと思っておりました。

 

また、ユーザーからも妊娠・授乳期の食事や体重管理に特化したコースを求める声があったのもあり、あすママコースをリリースしたという背景もございます。妊娠や授乳期は、必要なカロリーや栄養素が通常時とは異なります。妊娠中のつわりはもちろん、乱れがちな産後の睡眠の質・メンタル・食生活などにも寄り添ったサービス提供を目指しています」(多田氏)

ママも十人十色。パーソナライズされたアドバイスの実現を

あすママコース誕生の背景には、「妊娠中の体重増加の抑制などによる低出生体重児の増加」という日本の妊婦の課題もあった。日頃のダイエット習慣が根付いたまま妊娠することが増えたのか、もともと痩せ気味の妊婦が多いのか、厚生労働省の『低出生体重児保健指導マニュアル』によると、日本で生まれた新生児の約10人に1人が低出生体重児だという。正出生体重児は2,500〜4,000g未満なのに対して、低出生体重児は2,500g未満を指す。母体はもとより、新生児が低体重だと成人した時に肥満や生活習慣病などになる可能性が高まる。

「この低出生体重児が生まれる傾向は、昭和55年は5.2%、平成22年は9.6%と増加傾向にあります。ママのダイエット意識との因果関係はわかりませんが、BMI18.5未満の“やせ”に該当する20代女性が増えていることも事実としてあります。ご自身がまだ子どもを持つかどうか分からない時点での体重や健康状態が、将来生まれてくるかもしれない赤ちゃんの成人時の健康にまで影響を及ぼすことは、なかなか想像しにくいと思います。ご自身に適した栄養・体重管理をしていただくためのツールとして活用してもらえたら」(多田氏)

 

痩せていることが美しいとされる価値観がすっかり根付いてしまった日本から、ダイエットの呪縛を取り除くのは難しい。しかし、低出生体重児が増加している今、真の健康を考え直すタイミングが来ているのかもしれない。

 

「あすママコースを始めたばかりの方はよく『こんなに食べて大丈夫なの?』と驚かれます。ご自身に合った妊娠・授乳期の摂取カロリーや栄養バランス、適正体重を知ることで、今までは食べていなさすぎたり、栄養が偏っていたりしたことに気づかれる方が多い印象です。そうはいっても、妊娠を機にいきなり食生活を変えるのは大変ですから、普段からバランスの良い食事を知っておくこと、食事の選択力を高めておくことが大切だと思います」(多田氏)

 

あすママコースでアドバイスされる摂取カロリーや目安体重は国の指針に合わせて設定されているが、仮に“自分の適正”を把握したとしても、個々の状況の違いがあり、それによる適正の違いも生じる。その点に関しても、あすママコースはより一層パーソナライズに注力しているという。

 

「授乳が終わるタイミングは人それぞれですし、完全母乳の方もいれば途中からミルクを取り入れていく方もいます。人それぞれ状況が違う中で、より適切なアドバイスを行うためには、多くの妊婦さんや授乳中のママにご活用いただき、日々の記録をしてもらうことで、たくさんのフィードバックを受ける必要があります。そうすればより一層役立つコースに育てていけると考えています」(多田氏)

 

食事管理アプリは継続して記録しないと意味がない。まずは、あすけんを介してレコーディングの習慣を身につけることが、真の健康意識を高めるだけでなく、今後より正確なアドバイスを提供する信頼性の高いサービスの実現へとつながっていくようだ。

孤独なダイエットや妊娠中の栄養管理に寄り添う、温もりあるAIで健康をサポート

ダイエットにしろ、妊娠中にしろ、どのような目的であっても食事管理中は孤独だ。あすけんが大事にしているのはAI管理栄養士のキャラクター・未来さんによる“寄り添い”だ。

「あすけんは栄養士の栄養指導がベースなので、未来さんのアドバイスも人の温もりを感じさせるものにしています。AIだからといって無味乾燥な無機質なものではなく、孤独なダイエットでも寄り添ってくれるような栄養士さんを想像できるように設定しました」(多田氏)

 

リリース当時は今よりもっと“指導”のようなニュアンスだった。ユーザーから「未来さんに怒られるから嫌だ」という声を寄せられることもあったという。

 

「食事管理中はモチベーション管理も重要です。いかに継続して習慣化してもらうかを考えたら、褒めてモチベーションを上げることが大事だと気づきました。常に優しい口調で語りかけてアドバイスするように心がけています」(多田氏)

 

アドバイスは全部で20万パターン以上あり、内容もユーザーがよく食べる食材を取り入れてアドバイスするようにチューニングしているという。あすママコースを使うユーザーの揺れ動きやすい気持ちにも優しく対応する。

 

現在は「糖尿病のユーザー向け食事管理アプリ」の認証試験を実施しているという。今後もさまざまな立場のユーザーに適した食事管理法が展開されるので注目したい。

多田綾子

Ayako Tada

株式会社asken 広報PR・栄養士

早稲田大学卒業後、化粧品ブランドで販売・営業部門や、CSRのコミュニケーション部門を担当。14年間の勤務を経て、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから、女子栄養大学短期大学部に入学し栄養士の資格を取得。食に関わる仕事を経験したのち、2019年にaskenに入社した。あすけん栄養士としてアドバイス作成・コラム執筆などサービス開発に携わりながら、2020年から広報・PRをメインで担当している。

  • 公式Facebookページ

取材:藤田佳奈美

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