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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

YouTubeで成功しても会社員を続ける理由。これからの時代に求められる人物像

コロナ禍で必然的に変化した私たちの生活。『行動が結果を変える ハック大学式 最強の仕事術』の著者で、ビジネスパーソン向けにYouTubeで動画発信しているぺそ氏に、オンラインコンテンツの活用法や、インターネットからの正しい情報の取り方、そしてこれからの働き方について話を聞いた。

ぺそ

年収2,000万円の外資系金融機関で働く現役会社員。YouTubeチャンネル「ハック大学」を運営。企業に根強く残る古びた慣習に対して新しい切り口で本質的な情報を語る。市場価値の高め方や仕事ができる人になるハウツーなどを紹介した著書『行動が結果を変える ハック大学式 最強の仕事術』(ソシム株式会社)発売中。

無名の一般人の動画が伸びたワケ

YouTube戦国時代と言われている中、YouTubeチャンネル「ハック大学」を開設してから、わずか2年ほどで登録者数22万人超えを達成したぺそ氏。実は、外資系金融機関のマネージャーという顔を持つ。

 

「私がYouTubeをはじめた2019年ごろは、ちょうどビジネス系YouTuberの波が来ていて、アルゴリズム上も優遇されるような時代でした。波に乗れるチャンスが来たのと、会社員の自分が普段経験していることが提供価値になる。これなら自分にもはじめられるし、実際に動画が伸びるのか検証してみたくてはじめてみました」

 

絶好のタイミングと投下できるリソース、そして知的好奇心を持ったぺそ氏は、このビッグウェーブに乗ることができた。そんなぺそ氏の動画はアニメーションで展開している。

「当時、私と同じようにアニメーションで本の紹介をされているYouTuberが再生回数を伸ばしていらっしゃって。私も仕事でパワーポイントを使い慣れており、アニメーションも言わば動くパワーポイントじゃないですか。この手法ならいけそうだと思ったんです」

 

だがしかし、そう簡単には軌道に乗らなかった。なぜなら圧倒的に認知度がない“無名の一般人”であったからだ。どんなに質が高くタメになる内容でも、認知力がなければ見てもらえない。

 

「普段会社の看板を背負ってビジネスできているのは、自分の価値だけではなく、会社の価値を大いに利用していたんだなということに気付かされました。動画の内容には絶対的な自信があったのに、会社の看板を外したYouTubeでの活動は、認知してもらうのが難しかった」

 

そこで、クリック率をあげるためにサムネイルを改善したり、動画再生時間を10分前後にしたりするなど、トライアンドエラーを繰り返した。ただ、認知度を上げることに対しての根本的な改善策としては、広告を打つことが最も有効だった。

 

「まだ収益化していない段階だったので、当然広告を打つことで赤字になりました。でも、ビジネスパーソン向け動画をアニメーションで展開しているチャンネルがかなり伸びているのを実感していました。お金をかける価値はあると思ったんです。クオリティは負けていないですし、単純に広告回してインプレッションを上げれば、あとあと元は取れるだろうということで、合計数十万円ほどを広告に投下しました」

 

この先行投資が功を奏し、質の高いぺそ氏の動画は多くの人に認知された。今でこそアニメーションを用いた動画コンテンツは山ほどあるが、再現性が高い手法こそ、投資していち早くポジションを確保することが重要なのかもしれない。

収入増だけじゃない。副業が本業にもたらすメリット

実際にYouTubeで収益化してから、ぺそ氏自身に意外な変化があったという。

 

「収入のポートフォリオが増えることによって、生きていく選択肢が増えただけでなく、本業でも忌憚のない意見が言えるという好循環が生まれました。また、YouTubeはアウトプットの訓練にもなります。そしてアウトプットするために、インプットも欠かさなくなる。インプットする内容は“ビジネスパーソンの困りごとを解決する情報”なので、結果的に自分の本業にも役立ちます」

 

副業としてのYouTubeがうまくいけば会社への依存度が下がるだけではなく、独立して“個”の力で生きていく選択肢もつく。YouTuber一本で活躍する人もいる中で、ぺそ氏は会社員としての活動を続けている。

 

「私のようなビジネスパーソン向け情報発信コンテンツの場合、自分が会社から身を引いてしまうことによって、ビジネスパーソンのリアルな困りごとに直面しなくなります。結果、インプットできなくなり、アウトプットするものがなくなる。だから自分がターゲット当事者であることは重要なんです」

 

誰が語るかは重要なので、当事者であり続けなければならない。また、現在進行形の困りごとだけではなく、過去の困りごとでもネタになるという。

 

「自分が過去に困ったことや、それをどう乗り越えたかを洗い出してみると、いっぱいヒントが散りばめられています。“あのとき困っていた自分を助けてあげる”という感覚でコンテンツをつくれるのです」

 

自分が苦しんだ経験が、いま苦しんでいる当事者を救うかもしれない。経験者が語る言葉には説得力があり、知見もあって参考になる。困りごとに直面したほうがむしろラッキーとも言える。このように、本業と副業が相関性を持つようになっていった。

YouTube戦国時代、今後はどうなる?

コロナ禍を機に著名人のYouTube進出が目立つなか、一般人の動画は今後どうなっていくのだろうか。

 

「企業の参入が増えるため、リッチなコンテンツが増える。一方で、企業には進出しにくいエリアで個人の活躍や、ユーザーとの距離感の近さが求められるのではないでしょうか。企業はテレビ番組のように整備されたマス向けコンテンツを展開していくと思うのですが、そことうまく違いを出せるといいと思います」

 

YouTubeはもちろん、音声メディアの『clubhouse』の台頭もあり、今後、情報を取りに行く手段が細分化されるだろう。「多忙な現代人が、いかに効率的に情報摂取できるか」が課題だ。

 

本や雑誌、WEBメディアなど違い、動画や音声なら“ながら見”“ながら聞き”ができる。ましてやYouTubeは再生速度を調整できたり、必要なシーンまで飛ばしたり、無駄な部分を省くことが可能だ。このままYouTubeの一人勝ちなのだろうか。

ぺそ氏の著書「行動が結果を変える ハック大学式 最強の仕事術」

「テクノロジーによって動画が普及し始めたので、動画がリッチでテキストがプアなコンテンツという風に感じがちですが、私個人としては、テキストコンテンツは絶対になくならないと思っています。動画や音声が楽して見聞きできるというのは、結局思考量が少ないからだと思うんですよね。“ながら読み”という概念がないことから、読んでいる時は集中して思考しているはず。なので、テキストコンテンツのバリューは、“ちゃんと思考させる”という文脈で何かしらを打ち出せることなんだと思います」

 

テキストは、何か課題を持っている人が読んで考えるツールとしては最適なようだ。さらに、この“課題を持っている人”こそが、先行き不透明な時代をサバイブできるという。

 

「著作家の山口周さんがおっしゃっていたことなんですけど、テクノロジーの進化により問題解決できる人やツールが巷には溢れかえっているので、これからは問題や課題を発見する人、問題を提議できる人のほうが価値が上がります」

 

困りごとに身を置くことが、YouTubeで情報発信する上で重要なだけでなく、これからの時代に求められるビジネスパーソン像に当てはまるようだ。

 

「いずれにしても、ひとつのツール、ひとつの情報に依存するのは危険ですね。さまざまなツールを駆使して情報を比較する必要がある。そういった点でもテキストコンテンツは残ると思います」

これからは知的好奇心の赴くままに動いてみよう

コロナがきっかけでリモートワークが浸透したように、何かしらの強制力があれば、あるいはそれにより価値観の変化が起きれば、パラレルワークや副業も今より盛んになる可能性が。この先どのような働き方になっていくのだろうか。

 

「大企業側ももう終身雇用ができないと音をあげ始めているので、就職、転職、離職に対する心理的なハードルは下がっていくと思います。だからまずはお試し感覚で入ってみて、合わなかったら『ごめんなさい』とお互いに言い合えるような世界になるはず。いろんなことに知的好奇心を持てるような方は、これからの時代すごく生きやすいと思います。私個人としては、そういった働き方に変わっていくことはすごく歓迎します」

 

環境を変えることはリスクと捉える人もいるが、これからは自分が興味を持ったことにすぐ飛び込む行動力がある、そういう意味でリスクを取るというような生き方が重要視されそうだ。

 

こうして時代の風を読みリスクを受け入れ、即行動に移したことで、本業と副業が刺激し合う関係を実現したぺそ氏。彼の生き様にニューノーマルな時代をサバイブするヒントを得られた気がする。

  • 公式Facebookページ

取材:藤田佳奈美

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