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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

ネットの中傷や炎上から身を守るには? 心理的安全性を担保した自分専用のメディア「Medy」

SNSでは毎日のように炎上が発生している。個人はもとより、企業までもが失言によって本来の事業活動が継続できなくなるほど、大きな騒動に発展するケースも少なくない。昨今は、失言ではなくても受け取られ方の違いで炎上することもある。

 

このように、インターネットで不特定多数に向けて多くの接点を持とうとすると、多方面にわたり配慮が必要だ。とはいえ、誰も傷つけないコンテンツなどは不可能に等しく、また、過剰に配慮された発言やコンテンツは本質的なことが伝わらない可能性もある。

 

このようなことを日々目の当たりにし、発信したくても躊躇している人も多いだろう。ネットリテラシーをもって運用することは大切だが、情報を発信する場所や提供する相手を変えれば、誹謗中傷や炎上を防ぐことができる。届けたい人にだけ届く流通設計が大切とも言えそうだ。

 

自分の会員制メディアを運営できる新たなメディアサービス「Medy」を開発した、株式会社Spectraの代表取締役・浅香直紀氏に話を聞いた。

浅香 直紀

Naoki Asaka

株式会社Spectra代表取締役

2015年メルカリに入社。日本版メルカリ機能開発やプロモーションを担当。その後、新規事業の企画・開発・運営を担うグループ会社「ソウゾウ」立ち上げに参画し、「メルカリ アッテ」「メルカリ メゾンズ」など新規事業開発に従事。2018年にSpectraを創業し、代表取締役に就任。2021年9月、Medyをリリース。

価値あるコンテンツを発信している人が消費されない世界を

もともと音楽活動や音楽メディア運営など、コンテンツを作り届けることを続けてきた浅香氏は、「いいものをつくっただけでは売れない」「SNSの情報の海から見つけてもらうことの厳しさ」など、流通設計に課題を感じていた。その時の課題感や、その課題に直面したアーティストやコンテンツ制作者など発信者がいた状況から「Medy」を開発した。

Medyのサイトトップ画面

 

同サービスは、自分だけのメディアで記事を配信するだけでなく、記事の内容をメルマガの形で読者に届けることができる。発信者側は公開範囲を柔軟にコントロールしながら「届けたい人に直接届ける」ことができ、受信者側は気になる人のコンテンツを見逃すことなく受け取れるのが特徴だ。

このような形式でメルマガが届く。

2021年9月にリリースしたばかりだが、不特定多数ではなくニーズがある範囲にだけ向けた情報発信という仕組みや、知りたい情報をスピード感持って受け取れることで話題を呼んだ。

 

誹謗中傷や炎上に対するリスクヘッジをとりながら、SNS上でコンテンツを配信するのは骨が折れる。また、TwitterならTwitterでエンゲージメントが高い“しぐさ”や、YouTubeならYouTubeうけする振る舞いなど、プラットフォームに最適化しようと迎合したコンテンツをつくり、本質を見失い疲弊していく人も多い。

 

あえて届け先をセグメントすることで、このようなリスクを回避し、かつプラットフォームに最適化しようとせず、本当に伝えたいことを本当に必要としている人にだけ届けることが可能だ。

 

「価値のあるコンテンツを発信している人が、プラットフォームの中で消費されることなく、興味を持ってくれている人と関係を構築できる。そこからエネルギーや活動資金が賄え、継続的な活動ができるような土壌を作っていきたいと思い開発しました」(浅香氏)

MedyとSNS、違いや棲み分けは?

とはいえ、発信者と受信者の深く狭いコミュニティは、濃密な関係を築ける反面、セレンディピティの可能性が失われないのだろうか。

 

SNSにはタイムラインで偶然流れてきた受動的な情報に価値を感じる瞬間があるが、そのような能動的に情報を取りにいかない層に向けての接点の機会損失について、浅香氏は次のように話す。

 

「SNSでの発信を一切やめてMedyに振り切るという話ではなく、あくまでもSNSとの併用が基本的な利用の仕方だと考えています。棲み分けとしては、規模を拡大したい人にとってはSNSを活用し集客する。マッチングのアルゴリズムなども加味すると、SNSの活用はした方がいいと思います。

 

そこで多くの人に知ってもらうけど、その先、本当に興味を持った人だけがMedyに移行して情報を受け取る流れができると良いですね。濃密な情報はMedyにだけ発信することで、知らなくてもいい情報に触れて憤る人も防げます」

個人がメディアを持つことのリスクとどう向き合う?

重要なポジションにいる人や、仕事の実績がある人ほどSNSで発信を控える傾向にあるが、その大きな理由のひとつは「炎上リスク」がある。Medyはどう捉えているのだろうか。

 

「個人が発信するメリットと照らし合わせて、リスクを考えて欲しいと思っています。炎上しないことばかりに意識を向けると、注釈が入った説明的なコンテンツになりますよね。それは果たして読みやすいのかとか、そもそも一体誰に向けて書いているのか、一度立ち返るべきなのではないでしょうか。

 

もちろん、人を傷つけない前提でコンテンツは作るべきですが、さらに届ける人を選ぶことでリスクを減少させることができます。

 

公開を限定しているコンテンツ、または有料コンテンツまで入り込んできてまで、炎上させたい人は少ないはず。私たち運営サイドもガイドラインの設定やワークショップ、セミナーなどを定期的に設け、発信者様をサポートしていけるようにしていきたいと考えています」

Twitterを活用・連携しながら、ユーザーからのリクエストや質問を募り、Medyのコンテンツで回答する形でコミュニケーションが取れる。

炎上リスクを避ける仕組みを作っているMedy。同サービスを含め、メディアや個人が発信していくことについて、浅香氏は次のように話す。

 

「これまでは発信した情報は単発的に接触されることが多かったと思いますが、最近は継続的にお付き合いする関係性が大事になってきていると思っています 。ご自身の認知やファンが少なくても、規模が小さいうちから興味関心を育てていける仕組みづくりも大切です。そのひとつとしてMedyが あります。

 

また、読者からのリアクションをきちんと拾ってリクエストに答えたコンテンツ発信をするようなコミュニケーション運用をすることで、受け手も自分に向けた情報が届いている感覚につながっていくのはないでしょうか。それが継続的な関係性作りにつながっていくのだと思います」

 

より多くの集客を求め、ところ構わず情報を流すより、狭くてもニーズや興味がある層に向けて情報発信することが、心理的安全性を保つことができ、結果的に継続的な発信につながるようだ。そして炎上も防げるとなると、より濃度が高い情報がMedyに集まりそうな予感がする。

  • 公式Facebookページ

取材:藤田佳奈美

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