ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

コロナ禍でニーズ増のオンライン学習。継続して学習する仕掛けをSchooに直撃

新型コロナの影響で、教育機関や企業、個人による「eラーニング」の導入が活発化している。オンライン上で自己学習や企業等での研修を行うことができるため、まさに時代のニーズに適した学習スタイルだ。

 

場所を問わず学習が可能な一方で、オンラインにおける学習の“モチベーション維持”が課題だ。dodaが社会人5,037人へ実施した「オンライン仕事の実態調査」によると、オンラインの働き方への変化に伴い、「仕事へのモチベーションが維持できない/やる気が出ない」と回答した人は31.5%にものぼる。

 

とはいえ、オンライン上でも仕事はやらざるを得ない強制力が発生するが、学習となると、より強い意思が必要になる。仕事よりも一層モチベーション維持が困難だ。

 

2022年10月で創業11年を迎えるオンライン学習サービス「Schoo(スクー)」は、コロナ以前からモチベーションを保ちながら継続して学び続ける仕掛けを意識してきた。同社の広報担当・大金歩美氏に、オンライン学習の習慣化のための創意工夫について話を聞いた。

Schooで学びが続く秘訣は「オンライン×みんなで」

始めることは容易でも、続けることが難しいオンライン学習。Schooは「オンライン×みんなで」に重きを置いて、学ぶハードルを下げ続けている。

 

具体的には、一方的な座学ではなく参加型を意識した授業を展開。誰でも参加できる無料の生放送を毎日2〜3本配信し、講師と受講者がやりとりできるチャット機能を設置。受講者の視点に立った放送にするため進行役の「受講生代表」を起用するなど、人を巻き込む土壌を整えた。

「チャット欄では講師への質疑だけでなく、受講者同士の交流をはじめ、いろんな人の考えに触れることができるので、世代や職業の垣根を超えて老若男女みんなで学ぶ授業体験が可能です。これにより、モチベーションを維持することはもちろん、多様で多角的な視点を取り入れることができます」(大金氏)。

 

リアルな授業では、大勢の前で挙手して発言する心理的ハードルに加えて、受講生同士の意見を知ることが難しい。オンラインなら、心理的安全性を守りながらチャットを介して気兼ねなく質疑ができる。さらに、タイムライン上にちょっとした雑談も生まれ、学びが拡張されていく。周りの目を気にしないで参加できること、講師や同志とコミュニケーションを取れることが、学びを継続できる秘訣なのかもしれない。

 

「Schooでは双方向のコミュニケーションを大切にしています。『一方的にひとりでオンラインの授業を受けても面白くない』という創業者の森健志郎の原体験があり、勉強の“形式”と“コンテンツの内容”にこだわり続けてきました。

 

また、タイムリーでチャットのやりとりができる機能に関しては、森がニコニコ動画を好んで見ていたこともあり、そこにもインスパイアされたと聞いております」

新型コロナ、世界情勢、働き方の多様化……世の動向に合わせた学びのトレンドを提供

Schooで提供している学びのジャンルは、今日から使えるビジネススキルやコミュニケーションスキルをはじめ、未来に向けた学びとしてのリベラルアーツまで多岐に渡る。これまでに約8,000本以上のコンテンツがアーカイブされており、個人・法人含むユーザー数は78万人を突破した。法人向けのサービスでは約2,600社以上の企業が導入している。

コロナ禍で会員登録数も前年比162%増え、人気の授業も変化したという。

 

「2022年の上半期の授業に関しては、Google analyticsの次世代バージョンの移行に備えたGA4の解説授業や、デザイン基礎などの専門スキル、転職・キャリア関連、お金関連が人気を集めています。

 

その背景には、コロナ禍でのキャリアへの危機感に加えて、人生100年時代や老後2,000万円問題などに伴う『手に職つけておきたい』『副業を始めたい』というニーズの増加も関係していると思われます。

 

ここ数年は、世界的なコロナの流行や物価高など特に時代の変化が激しく、多くの人が今までの価値観やスタイルでは通用しなくなると感じるタイミングでした。これまで“学び”は、学ぶことでプラスの価値になると捉える人が多かったかと思いますが、今は学ばないとマイナスになってしまうかもしれないと切実に感じる人が増えたのではないでしょうか。終身雇用も崩壊しつつある今、キャリアは自分で築いていこうと意識せざるを得ない状況なのかもしれません」と大金氏は分析する。

Schooの授業内容も、時代の変遷やトレンド、ニーズに合わせて随時アップデート。まさに今、必要な学びが届くように、とりわけ生配信では鮮度の高いテーマを取り上げている。Schooがコロナ禍で業績を伸ばした理由の一つに、この時代を読むスキルが関係しているようだ。

 

「社内のコンテンツ制作チームが、キーワード検索の傾向などを見て世の中の顕在化されたニーズや、社会課題を解決するイノベーションなど、これからの未来に向けて必要されることをキャッチアップし、授業内容を企画しています。

 

さらに、その企画に合う講師の選定も、業界のトップランナーやその分野の本を出版されている人たちの中から、熱量の高い人に決めて依頼しています。生放送という形式もあるので、トークテンポの良い講師の授業は特に人気があります」

 

コロナ禍で追い風となったのは個人だけでなく、法人事業もだ。

 

「法人社数の増加に関しては、人をコストではなく資本として捉える“人的資本経営”の考え方の普及が影響しています。また、新入社員や管理職に向けた研修や、DX研修、自己研鑽などの理由で導入されることも多いです。

 

特に研修に関しては、コロナで働き方や対応が変わったことで、研修内容も変えざるを得なくなりました。しかし、時代の変化が急速すぎて研修内容のアップデートが追いつかない。そのため、時代に適応した学びができるSchooのコンテンツがご支持いただけたのだと思います」

 

オンライン学習を継続してもらうには、モチベーション維持の管理だけでなく、スピード感を持って時代やトレンドを取り入れたコンテンツの提供が不可欠なようだ。

講師よりリテラシーが高いデジタルネイティブ世代の生徒。オンライン学習でイノベーションを起こすには?

Schooは、学びの継続だけでなく、学びの機会を広げることにも注力している。コロナ禍の取り組みとして2021年から高等教育機関に向けたDX展開、地方創生に力を入れてきた。

 

「東京に比べて地方はまだまだ学びの機会が少ないのが現状です。昨今は移住・定住・Iターン・Uターンなど人口誘致の取り組みをよく見かけますが、その地方の教育や働く環境が整っていないと若い人は定着しません。

 

また、地方におけるDXの波もコロナ禍で進行しましたが、受け入れる側(住民)のリテラシーや風土が上がっていないと、外からイノベーションを取り入れても醸成しづらいのです。

 

そのため、Schooと自治体が提携し、オンラインならではの利点を活かして、地方での学びの機会を増やしています」

 

高等教育機関においては、リテラシーを上げることで授業の見える化に成功し、より質の高い授業体験を目指せるようになったという。

 

「これまでのリアルの授業では、生徒の学びが深まっているのか、きちんと理解しているのかがブラックボックスでした。DXを取り入れることで、学生は授業に対する理解度をリアクションボタンでフィードバックできるようになりました。これにより、教員は学生の理解度を把握できることに加えて、自身の教え方や授業内容を振り返る機会にもなります。また、学生はデジタルネイティブ世代なのでオンライン授業の飲み込みも早く、より快適な授業体験が実現できているようです」

 

学びは単に実践的なスキルを手に入れるための手段ではなく、人生を豊かにするもの。知ることで思考は深まり、物事を柔軟に捉えられ、選択肢を増やすことができる。これからも時代は目まぐるしく変化していくだろう。Schooが10年以上かけて培ってきたオンライン上の学びの場を通して、学習し続ける姿勢を大切にしていきたい。

大金 歩美

Ayumi Ogane

(株)Schoo コミュニケーション戦略室

大学卒業後デザイン会社を経て、国内外のホテルやブランド、公官庁などのPR活動を行う代理店にて勤務。メディアリレーションをはじめ、クライアント企業の商品をPR目線で企画・製品化などにも取り組む。その後事業会社での広報として従事し、ラクスルではアウター・インナーコミュニケーションを一気通貫して担当。現職のスクーでは広報部門の立ち上げから参画し、コーポレート及び事業PRに取り組み、社会人学習の普及に邁進している。個人でも複業として複数社のベンチャー企業のPR支援や、航空業界の記者・カメラマンとしても活動中。

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取材:藤田佳奈美

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