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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

ソーシャルアクションに新しい価値を。お金では買えない幸福体験を生む「actcoin」

2021年6月に発表された各国のSDGsの達成・進捗状況を報告した『Sustainable Development Report 2021』によると、日本のSDGs達成率は世界18位。先進国のなかでは決して高い水準とはいえない。政府や民間企業が独自の目標を掲げてSDGsに取り組んでいるが、たとえ微力でも我々ひとり一人が社会貢献活動に取り組み、積み重ねていくことが大切なのではないだろうか。しかし、なかなか個人が当事者意識を持って活動するのはハードルが高い。

 

社会問題の解決に向けた取り組みを独自のコインで可視化し、価値化するアプリ「actcoin(アクトコイン)」は、“ちょっといいこと”の創出によって個人のソーシャルアクションを促している。actcoinを運営するソーシャルアクションカンパニーCOO・薄井大地氏に話を聞いた。

薄井 大地

Daichi Usui

ソーシャルアクションカンパニー COO

1988年生まれ。栃木県宇都宮市出身。早稲田大学政治経済学部卒。大学在学時、グラミン銀行グループとのパートナーシップのもと日本の学生・社会人をバングラデシュへ派遣するフィールドワークプログラムを友人らと創始。ソーシャルビジネスコンペティション「SIFE」国内大会優勝、世界大会出場。早稲田学生文化賞・稲魂賞など受賞。不登校生の高校進学・転学を支援する民間教育企業を経て国際協力NGO e-Educationの事務局長に就任(現理事)。松下政経塾入塾。ソーシャルアクションの可視化と価値化をミッションに掲げる「actcoin」事業にCOOとして参画。そのほか、NPO法人SET・理事兼事務局長、情報経営イノベーション専門職大学・客員教員など。

聖人君子にならなくていい。自分ゴト化できるボランティアの仕組み

actcoinとは「アクション」と「コイン」の造語。社会問題について学ぶオンライン講座や社会活動など、ソーシャルアクションをすると独自の通貨「アクトコイン」が貯まり、それを別のソーシャルアクションに活用できるというものだ。

 

「ソーシャルアクションを可視化し、新しい価値に変えることが我々のミッション。自分の行動が定量的に見える化すると行動するモチベーションになりますよね。しかもそれがまた次の“社会に良いこと”に還元できる。その良いサイクルをコインで実現したかったんです。SDGsがまだそれほど注目されていなかった2018年に創業して、ようやくコインを活用できるフェーズまでくることができた。今後はコインで寄付できる座組をつくっていきたいと思っています」

社会や誰かのために行動することは、一方的に与えるばかりではない。自分の幸福にも寄与する。アクトコインなら老若男女誰でも支援者になれるし、社会の一助になれる実感を得ることができる。

 

しかし、だからといって全額実費で負担を全て背負い込んで活動に参画するのは、持続可能とは言えない。持続可能なソーシャルアクションの土壌を作る工夫や、参加者の熱量を上げるための仕掛けについて薄井氏は次のように話す。

「社会課題に取り組むと聞くと、自分への見返りは求めずストイックに聖人君子のようなスタンスでいなければならないと思っている人も少なくない。他方で、見返りとして現金などが貰えるならばやるという自分へのメリットだけで動く人もいる。ですが、どちらも両極端で、どちらかに振り切ってしまうと、ミッションが置き去りになってしまいます。ですから、“ほんのちょっといいことがある”という良い塩梅で着地するようにアクトコインを作っていきたいんです」

パナソニックセンター大阪とコラボしたソーシャルグッドのイベントでは、アクトコインがエシカルな商品の購入につながるようにした。具体的には、これまで貯めたアクトコインの量に応じて、同イベントのマルシェで使える限定通貨のボーナスが発行される仕組みだ。アクトコインを直接換金することはできないが、社会課題の解決に貢献するエシカル消費に参加することができる。

 

持続可能な社会活動は、自己犠牲の精神やボランティアだけでは成り立たない。経済の力を借りながら運営していく視点が必要だ。お金の代替品としてアクトコインがその役割を担っている。これがactcoinが目指している“ちょっといいこと”であり、ソーシャルアクションの“新しい価値”である。

ソーシャルアクションをムーブメントに。actcoinが目指す未来

アクトコインの使い道は限られており、換金はできない。しかし換金できないルールは今後も継続していくと薄井氏は話す。

 

「スマホを持ってactcoinのアプリを落とせば、誰でもソーシャルアクションできます。つまり、例えばまだ義務教育下で自分ではお金を稼げない小学生や中学生が1万アクトコインを獲得して、そのコインで1万円の寄付ができる世の中にしていきたいんです。『子どものうちは勉強しよう』だけじゃ、私は少しもったいないと思います。机に向かって本を読むより実際に体験した方が何倍も身になることもある。子どもでも支援者になれるチャンスなんです」

 

換金できないことで、まだ経済的に自立していない子どもでも、親は安心して利用させることができる。子どもはお金と同じ価値を持ったアクトコインで寄付ができる。そして、体験は寄付しただけでは終わらない。支援者向けの活動報告会に参加すれば直接お礼を言ってもらえ、参画者としてのたしかな実感を得られるという。

 

「若いうちから自分も社会の一員と認識できることが大切だと思います。特にコロナで、ソーシャルアクションがオンラインイベントやオンライン講座に切り替わったため、より誰でも社会活動に参加できるチャンスです」

 

現にソーシャルアクションに参加する人たちは所謂“意識高い系”ばかりではない。最近ではInstagramで社会活動を見て「社会活動はクールなこと」という視点でカジュアルに参加する若者も増えたという。

「ほかにも、意識が高いと揶揄されることを恐れてアクションできなかった人権問題に興味を持っている中学生なんかも参加しています。意識の差は人それぞれですが、アクトコインコミュニティに入ることで、同じ目的を持った同志に出会える。年齢はバラバラですが、みなさん活動報告会やグループディスカッション、食品ロスを学べるボードゲームなど、学びながら楽しく活動しています」

 

なかでも参加している人の多くが興味を示しているテーマが「気候変動」。しかし、国や企業の問題が大きく、個人で環境破壊にアプローチし、環境を変えていくのは至難の業だ。だからこそ火力発電に投資している銀行や国に対して、決定を撤回してもらうためのオンライン署名活動なども活発になっているという。

 

「一人で活動したって何一つ社会は変わらないと言われます。ですが、ひとり一人のアクションの積み重ねが社会をつくっているという感覚を持ってもらうために、アクトコインを活用して欲しいと思っています」

自分が変化の一因になるという感覚を忘れてはならない。こうして多くの人が当事者意識を持って活動することで、社会も自身のマインドもどんどん良くなっていくのだろう。actcoinが未来を大きく切り開く日も、そう遠くはない。

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取材:藤田佳奈美

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