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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

開発者に聞く。【会いたいユーザーにすぐ出会える】低コストなユーザーインタビューサービス「uniiリサーチ」の斬新な仕組み

起業や新規事業の立ち上げにあたり、要となるのが市場やユーザーのリサーチだ。リサーチ会社は多くあるが、オンラインのユーザーインタビューに特化したサービスを展開し、圧倒的なスピード感とコスト感で手軽にリサーチを行えるのが「unii(ユニー)リサーチ」。CMなどでもお馴染みの不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営する、株式会社LIFULL(ライフル)による新規事業だ。

 

株式会社LIFULL 新規事業室 uniiグループのグループ長であり事業責任者の浜岡宏樹氏によると、ユーザー中心のプロダクト・サービス開発の必要性が年々高まり、リサーチの重要性は増していると話す。そんな中「uniiリサーチ」はどんなニーズに応えているのだろうか。サービスの使いやすさや工夫などを浜岡氏に伺った。

「セルフ型」で企業がユーザーに直接アプローチできる場を提供

一般的なリサーチサービスがどのようなものか、おさらいしておこう。まず、大手リサーチ会社などが行う一般的なリサーチはインタビューから分析・レポートまでを行うフルパッケージのサービスが主流であり、リサーチャー、モデレーター、営業、アナリストなど様々な人が関わることもある。その規模によって費用は膨れ上がっていく。さらに会場調査といわれるようなミーティングルームなどを貸し切っての調査の場合、場所代なども発生する。労働集約的なサービスである上、インタビューに物理的なコストがかかるため、高単価にならざるを得ないのだ。予算が潤沢にあればリサーチ1本に何百万とかけることができるが、実験的なプロジェクトや小規模な会社ではなかなか採用しにくいことも多いだろう。

「会いたいユーザーにすぐ出会える」を掲げる「uniiリサーチ」は、オンラインのユーザーインタビューに特化し、企業とユーザーのマッチングを行うサービスだ。ユニークな点は、リサーチを行いたい企業がセルフでユーザーを募集するところ。「uniiリサーチ」のプラットフォーム上で依頼者自身が「こんなユーザーを探しています! インタビューさせてください」と投稿したら、それを見た条件に合うユーザーが手をあげる(応募する)という仕組み。事前スクリーニングも行うことができ、対象者の質も担保が可能だ。さらに日程調整やオンライン会議のURL送付、謝礼の支払いなどもプラットフォーム上で完結するので、とてもスムーズだ。

手軽さに加えて魅力的なのは、圧倒的なコストパフォーマンス。1名のインタビューを1,500円から実施することができる。これは、一般的なリサーチ会社のサービスと比較すると異例の価格だ。

 

そして「uniiリサーチ」は完全オンライン、インタビューなどは企業側が自ら行う。「セルフ型」にすることで企業が直接ユーザーにアプローチできる場を提供しているため、間接コストが削減でき、圧倒的なスピード感とコスト感が実現しているのだ。

 

「『uniiリサーチ』を利用してくださっているのは、主にスタートアップ企業や大手企業で新規事業に取り組む方々です。新しい事業では、これから様々な方向転換があるかもしれないし、1つのリサーチに時間もコストもかけられないですよね。そういった昨今のニーズをつかむことができていると思います」(浜岡氏)

LINEで誰でも気軽に参加。ユーザー層は会社員比率が50%以上

実際にユーザーとして『uniiリサーチ』に登録してみると、その使いやすさに驚くだろう。ユーザーが使用するツールは、基本的にはLINEのみ。毎日LINEで届く募集リストをチェックし、スマホから応募するという手軽さだ。さらに、依頼企業との日程調整もスマホででき、オンライン会議のリンクはLINEを通して送られてくる。

ユーザーだけでなく、企業側からしてもインタビューの応募、セッティングは簡単だ。たとえば1調査あたり10名でインタビューする場合、10名それぞれと日程調整をするのは大変。しかし「uniiリサーチ」では、ダブルブッキングを防止する仕組みがあるためスムーズに日程調整が行える。また、オンライン会議サービスはZoomとGoogle Meet、Microsoft Teamsに対応している。

 

「もっとも最短の事例だと、募集を開始してからインタビューをするまでの時間が2時間2分でした。友人や家族と日程を調整するよりも早くインタビューが始められるかもしれません」(浜岡氏)

しかし重要なのは、マッチングの正確性、つまり的確な人に話を聞けるかだ。企業側は数百人の応募から、条件に合った人にインタビューを申し込むわけだが、絞り込むのは簡単ではない。

そこで「uniiリサーチ」はスクリーニング機能を設けている。応募を開始する前に企業は「スクリーニング設問」を設定することができ、例えば英会話が趣味の人をリサーチしたいという場合、「英会話を何年やっているか?」「英会話に月々どのくらいの活動費をあてているか」「その活動費で一番多いものは何か?」など具体的に設問することができる。たとえば企業側に「英会話をしている人のなかでも、長年英会話を続けている人のほうが、その活動に課題を感じていることも多いかもしれない」といった仮説があった場合、その基準に合わせてユーザーを選ぶことができる。よって、ミスマッチを防止することができるのだ。

 

「uniiリサーチ」のユーザー層は、一般的なリサーチ会社とは異なっているという。50%以上が会社員(正社員)で、年齢層は20代から40代がメイン。「リモートワークが進み、会社員の方の隙間時間の活用が進んでいます。会場調査に行くほど時間は取れないけど、お昼休みや終業後などの時間を使い、副業に近い認識で参加されている方も多いです」と浜岡氏は話す。一般的なリサーチ会社だと、ユーザーが学生や専業主婦などに偏ることもあるとされているが、「uniiリサーチ」ではアクティブに働いている層へもアプローチできる。

ピボット4回。新規事業のアイディアは自身の課題から

「uniiリサーチ」が形になるまでには、紆余曲折があった。浜岡氏はLIFULLの社内新規事業プログラムである「SWITCH」に参加し、「uniiリサーチ」を立ち上げることになった。「SWITCH」は新規事業を立ち上げたい有志が参加する、いわばビジネスコンテスト。しかし浜岡さんは当初、本気で新規事業に挑戦するつもりはなかったそうだ。

 

「私は4年間営業を担当し、その後2年間、LIFULLの創業者であり代表取締役である井上高志の“かばん持ち”をしていました。営業時代は本業がおもしろく、新規事業のことは特に考えていませんでした。しかし、社長のそばに付き、名だたる企業の社長や優秀な社外の方にお会いするなかで自身の『井の中の蛙』感を知り、自分もなにかやらなくては、という気持ちが大きくなっていたんです。そこで『ちょっとやってみるか』というくらいの、本当に出来心で、SWITCHに応募しました」(浜岡氏)

浜岡氏ははじめ、教育に関わる事業をつくりたいと考え、オンラインの大学や大学生向けの起業家教育などを検討していた。しかし、事業の成長性や社会のニーズなどが見込めず模索する日々。そんなときに井上社長から言われたのは「事業モデルがどうかというより、その手前の社会の課題が本当にあるのか? そして本当に自分がやりたいのか?」ということだった。

 

その後、新規事業開発のeラーニングサービスなどを検討ながら少しずつuniiリサーチの原型へと近づいていく。ピボットは計4回。そのなかでやっと見えてきたのが、自分自身が事業開発において困っていることが解決すべき課題になりえるのではないか? という仮説だった。

 

「事業開発に苦戦している自分自身をユーザーと見なして、その失敗の原因を探っていたのですが、ユーザー理解が進んでいないから、いい課題も抽出できず、いいソリューションも生まれないのではないか? という問いが生まれたんです。そこで、身の回りのスタートアップや社内の別事業に取り組む方々にヒアリングをしたところ、同じような課題を抱えていることが分かりました」(浜岡氏)

 

ユーザーにインタビューが気軽にできず、よいインサイトが得られないという課題が自分たちだけではなく、周りの人々の共通課題としてあるのであれば「まずはユーザーとの接点を創出する事業を始めよう」と考えた浜岡氏。自分自身が当事者意識を持って取り組める課題であり、ユーザー理解が向上して素晴らしいサービスを提供できるような事業者が増えれば、社会的にも豊かになっていくだろう。そんな思いが、「uniiリサーチ」の開発を後押しした。

 

新規事業の立ち上げにより、浜岡氏自身にもポジティブな変化があったと言う。

 

「これは持論なのですが、新規事業の立ち上げに当たって、最初からモチベーションは高くなくて良いと思っていて。最初はちょっとした出来心くらいでいいと思うんです。でも挑戦を続けていくと、もちろん苦労もするんですけど、どんどん見える世界が広がっていく。普段の仕事から一歩踏み出してみることで、社会のことがよくクリアに見えるようになりました」(浜岡氏)

一人一人に着目する定性調査の重要性

昨今、ユーザーを中心にしたプロダクトやサービスの開発領域が広がっていると浜岡氏は言う。

 

「事業開発領域で、『デザイン思考』や『ユーザーエクスペリエンス(UX)』『N1分析』といったユーザー中心のプロダクトづくりを指す言葉がよく使われるようになりました。世間的にもユーザー体験を重視した会社が伸びていると感じます。アメリカなど欧米を中心にこうした考え方が広まっていますが、日本はまだ黎明期。これから拡大していく市場だと捉えています」(浜岡氏)

 

そんな潮流のなか、一人一人に着目してインタビューを行う「uniiリサーチ」はそのニーズに合っている。

 

「uniiリサーチはユーザー一人ひとりに着目するサービスであり、リサーチ業界では定性調査に分類されます。一方、数千人に対してアンケートを行うなどの調査を定量調査と言います。割合や規模感を図るには定量調査が有効ですが、新規事業のニーズや課題を特定するのに役立つのは定性調査だと感じています。スタートアップをはじめとして、メガベンチャーや大手企業までユーザー中心のものづくりが広がっています。今後もサービスとしての手軽さや使いやすさを向上させつつ、インタビューについての知見を提供するようなコンテンツ作りも展開したいと思っています。今後もっと必要とされるだろう、気軽にユーザーの声を聞きたいというニーズに応えていきたいです」(浜岡氏)

浜岡 宏樹

Hiroki Hamaoka

株式会社LIFULL uniiリサーチ事業責任者

株式会社LIFULLに新卒で入社し、主力事業『LIFULL HOME’S』のコンサル営業にて年間トップセールスを受賞。その後、代表の井上高志のカバン持ちに就任し、多くのPJを推進。社内新規事業提案制度「SWITCH」にて入賞。「ワクワクする挑戦で溢れる社会を創る」をビジョンに掲げて、ユーザーインタビューサービス『uniiリサーチ』をリリースし、クライアント企業の新規事業創造の支援に取り組む。uniiリサーチは2021年7月のサービスリリース後、累計インタビューマッチング数3,000件、利用企業数は300社を突破。(2022年6月時点)

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取材:橋本安奈

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