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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

“努力より成果”、コロナ時代の人事評価軸をコンサルが指南

一つのウイルス蔓延から、大きく変わった我々の生活。「ニューノーマル」という言葉が定着する今、そのインフラを支えるのがオンラインだ。時代の半歩先を見つめる書籍の著者と共に、オンラインのこれからの活用方法を考える。

 

コロナウイルスによって仕事のリモート化を余儀なくされた昨今、様々な課題に直面した企業は多い。そんななか、戦前からの歴史ある日系のコンサルティングファーム「日本能率協会コンサルティング(JMAC)」では、テレワークのコツを研究。その内容を本にまとめ2020年9月に発売した。同書『第一線コンサルタントが実践している テレワーク50のコツ』を執筆した、経営コンサルティングを担う熊谷さんと企業のAIやIOT推進を専門とする小野さんに、未来を見据えたテレワークについて伺った。

熊谷 真

Makoto Kumagai

JMAC 経営コンサルティング事業本部/CX・EXデザインセンター チーフ・コンサルタント 

熊谷真

小野 甫

Hajime Ono

JMAC デジタルイノベーション事業本部/AI / IoT推進室 室長

小野 甫

実務経験に基づき、テレワークを研究

本書は、第一線で活躍中の同社の経営コンサルタントが、テレワークの構築方法とその仕事術を指南する一冊(本書自体も完全リモートで制作)。彼らの実務経験をもとにしていることもあり、あらゆる場面に役立つ実践的なノウハウが満載だ。ことの始まりは、社内委員同士の何気ない会話だったと熊谷さんは振り返る。

「もともと僕と小野は社内委員として社内のIT推進などをやっていました。4月に非常事態宣言が出た際に、『IT活用だけでなく働き方そのものをどうにかしなきゃいけないね』という議論が社内で巻き起こりました。そこから仲間が仲間を呼び、最終的には7名が集い、社内のテレワーク化を推進する『リモート生産性向上研究会』が自然発生的に生まれました」

20年以上前からノートパソコンと通信端末を配布し、仕事のリモート化を積極的に取り入れていたという同社。自らの働き方を考えるところから、そのノウハウの社会的な需要に気づき、書籍化に至ったのは至極自然な流れに思える。

段階別リモートワークのお悩み

特に今年は、テレワーク関連の相談が急増したという2人。どういった悩みが多いのだろう?

 

「段階によって違うんです。初期の4、5月頃は『オンライン会議はどのサービスが良いですか?』といった差し迫った課題が多かった。6、7月頃になり、在宅と出社を組み合わせる状態が長期化しそうな流れになると『オンライン前提の仕事環境をどう作っていけば良いか?』といった課題が増えました。例えば、部下の管理や評価、またペーパーレス化の方法などがそうです」(熊谷)

 

そして、直近で増えてきたのはこんな課題だと熊谷さんは言う。――テレワーク・リモートワークに合わせた事業をどう構築していくか?

 

「オンラインをベースにした働き方が一過性のものではなく、今後の働き方の前提となることに皆さんお気づきになってきたのでしょう。徐々に課題が本質的になってきた印象です」(熊谷)

 

とはいえ、本質的な課題まで行き着いているかは、企業によって「バラツキがある」と小野さんは指摘する。

 

「現状、本質的な部分まで辿り着いている企業がある一方で、インフラが弱くリモート化ができていなかったり、リモート化していても社内のコミュニケーションや社員の就業管理などに課題を抱えている企業もまだまだ多い。それらを乗り越えて、リモートとリアルのハイブリッド状態でどう事業を展開していくか?といったところまで進んでいるのは、私の感覚ではまだ半分ほどの印象です」

企業の業種や風土によってつまずくポイントは様々

そういった現状を踏まえて、本書には、様々な段階に対応できるコツを盛り込んだ。

 

「ある程度の段階があるとはいえ、企業の業種や風土によってつまずくポイントは様々なので、ツールや制度の導入については、事前に検討しても見えない部分が大きい。なので、少しやってみてうまくいかなければやり直す、くらいのスタンスがちょうど良いと思います。お客様には、喫緊の課題に対して継続的に打ち手を打ち続けるようにしています」(熊谷)

“誰も取り残さない”コミュニケーション環境を

リモートワークの課題が多岐にわたるなか、とりわけ難しいものとして、小野さんは「コミュニケーション」を挙げる。「万能な手立てはない」と前置きしながらも、小野さんはこう話す。

 

「オンラインベースだと、出勤時に偶発的なコミュニケーションが生まれないので、お互いの時間を作って意図的に交流する必要があります。積極的に発信しないと、気づいてもらえません。言いづらいこともオープンに言えるような環境にしていかないと、上司層も部下層も苦しくなってくるはずです。その意味では、やはり心理的安全性を組織に根付かせる必要があります」

重要なのは「誰も取り残さない」を前提にした、各自が発信情報量を増やす仕組み作り

本書では、テレワークでは複層的なコミュニケーションが必要とし、様々な方法を提示している。例えば、ウェブ会議の前後に雑談の時間を確保したり、ビジネスチャットの併用、また必要ならオフラインの会議も行う。重要なのは「誰も取り残さない」を前提にした、各自が発信情報量を増やす仕組み作り。例えばJMACで取り入れているのはこんなアイデアだと熊谷さんは言う。

「オフラインの交流が定着している年齢層高めの方々に対しては、感染対策を徹底しながら、リアル会議の機会を設けたりもしています。また、気軽な受発信の場として、いくつかの全社チャットを設けています。例えば、パソコン操作に関する相談を誰でもでき、わかる人が答える『パソコンお悩みチャット』などもその一つです」

 

各自が受発信をこれまで以上に積極的に行っていく。そのためには、様々なツールを活用しながら、企業に合った環境を構築していく必要がある。

評価軸はプロセスから成果へ

本書では冒頭部分で、テレワークを「オフィスの仕事を自宅やシェアオフィスなどで行う働き方」、対してリモートワークを「オフィスを前提としない働き方」と定義。その上で、時代は、オフィスワークから前者(Withコロナで今を乗り切る働き方)へ、さらに今後は後者(Afterコロナの未来を見据えた働き方)へ移行すると先を見据える。

 

小野さんは「採用においても、今後はリモート機能や制度のない会社は人材確保が難しくなる」とし、企業側の変化は避けられないと予想。長年議論されてきた働き方改革が強制的に進められることになった今、「オフィスを前提としない」リモートワークは、今後当たり前の選択肢になるだろうと熊谷さんも続ける。

 

「そもそも、出社して9時〜5時で働くという働き方は、工場に人が集まって物質的に加工して物を作るという工業化社会の典型的な働き方がベースになっています。コロナ前までは、そんな戦前のルールがそのまま適応されていたとも言えるのです」

 

転じて、情報化社会が加速する今。「プロセスを評価する時代から成果を評価する時代に」評価軸は変わっていると熊谷さん。そこで具体的に必要とされるのはどんなスキルなのだろう?小野さんはこう答える。

 

「ツールや環境が日々更新するなか、変化に柔軟に応じる力があることが大前提です。その上で、きちんと成果を出せる遂行力がより重要になる。これまでは“頑張っている”という理由で評価されることもありましたが、今後は、同様の評価は物作りの現場などを除いては通用しなくなってくるでしょう」

 

働き方が変われば、評価軸も変わる。これからは、同じテレワークをするにしても、未来を見据えたテレワークのあり方を意識しておきたい。

  • 公式Facebookページ

取材:池尾優

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