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ニューノーマルライフの先

ニューノーマルライフが当たり前の時代。その中で生き抜いていくための解はどこにある? 時代の半歩先を行く書籍著者のインタビューからそのヒントを探る。

雑誌不況も定期購読者数が11万人突破! SNSを使った効率的なPRとは

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IT企業ではなくても、今やどの業界も自社のオウンドメディアを持っていることは珍しくない。そしてメディア運営に必ずと言っていいほどセットなのが、SNSの運用だ。きちんとしたSNSのノウハウを会得しないと、なかなか宣伝や集客につなげることはできない。

 

そこで、PRスキルを伝える「PR塾」主催者で、『SNS×メディアPR 100の法則』『0円PR』などの著書を持つ笹木郁乃氏に、SNSを介した効率的なPRについて話を聞いた。

笹木 郁乃

株式会社LITA代表取締役

これまでに商品の売上を1億から115億、入荷まで12カ月待ちなどPRの力で貢献した経験を生かし、企業向けの広報PR支援事業を立ち上げ。経営者や個人事業主、広報担当者などにPRスキルを伝える「PR塾」を主催。これまで5年間満席御礼開催。

特定の強いテーマや専門性がないと、メディアは広まらない?

特定のシーンを想定した商品やサービスを取り扱っているメディアの場合、ユーザーの顔が見えやすくファンもつきやすい。食や健康など性別や世代を問わず関心を持ちやすいテーマで展開しているメディアは、ユーザーとの接点が多い。

 

ところが、ライフスタイルや働き方・生き方など、多様なニーズが想定されるような幅広いテーマで運営するメディアは、個々のニーズを網羅するのは難しく、SNSでもなかなか熱心なファンがつきづらい印象だ。

笹木氏は、人間学を学ぶ月刊誌『致知』(致知出版)のPRに携わっている。人の生き方や考え方という壮大なテーマを取り扱う。『致知』のコンセプトに共感した読者が、全国で開催される『致知』読書会などでよりファン度を高め、口コミが広まった。雑誌不況と言われている中、定期購読者数が11万人を突破した。

 

「前提として、いいコンテンツをつくっているからといって自動的に拡散されることはありません。SNSはユーザーとのタッチポイント。自社のテーマに沿ったお役立ち情報などを地道にコツコツ投稿して、自主的に拡散していく姿勢が大切です」と笹木氏。

 

まずはSNSで投稿を知ってもらう。ユーザーにメディアの存在を認識してもらうのはその後の段階だ。そしてメディアにたどり着いたユーザーには、企業理念に共感してもらうこともこのSNS時代には欠かせない。

 

「『致知』は熱心な読者が多く、彼らに『『致知』を介して本気で日本を良くしたいから、もっと多くの人に知って読んでもらいたい』というメッセージを伝えていて。それに共感してくれた読者が使命感を持って自主的に広めてくれることも少なくないんです」

 

また、メディアは自分たちの取り扱っているテーマにフィットした人に取材できる立場でもある。取材対象者にも熱心に働きかけて、拡散してもらうことも大切だという。

 

「もちろん、ただ拡散をお願いするのではなく、共感いただけるよう自分たちメディアの目的やビジョン、そして協力してもらえたら目的に近づける旨をお伝えしましょう」

 

コンテンツをつくって配信して終わり、にならないように、その先の広がりを考えるところまでがメディアの仕事だと捉え直したい。

ユーザーの熱量を上げたい。UGCを発生させるには?

『致知』がユーザーを巻き込んでメディアを盛り上げることができた背景について分析すると、「『致知』は何よりも読者のことを大切に思われ、読者の声を拾うことを大切にされてきた」と話す笹木氏。

 

「一般的にどんなメディアにも少なからずファンがいて、だけどほとんどの人がその思いを発信することに抵抗があったり、反応してもらえなかったりすることを気にして黙っているんです。メディアが自分たちの熱量をしっかり発信していれば、ユーザーもその熱量に釣られて反応してくれる。

 

『致知』では毎号読者の声を掲載しています。『致知』で紹介した内容を実践してくれたエピソードなどを載せることで、ファンにとってはメディアに反応してもらえて嬉しいですし、自分の声がメディアに載ることで一体感を感じてもらっているのではないでしょうか。SNSでも同じことができると思いますよ」

読者の声を拾えば、コンテンツに再び注目が集まるため、メディアにとっても嬉しい話である。

「『致知』からお母さん向けの別冊『母』が出版されることになったのですが、コロナ禍で書店への営業が制限され、書店設置も限定的になる中での発売という厳しい状況。そこでこの雑誌のターゲットでもある子育て中のお母さんたちに声をかけ、10人の広報チームを発足しました。この広報チームとしての活動がカギとなった。

 

母のビジョンを共有し、共感していただけた方たちなので、致知出版の名刺を持って広報活動できることを喜んでくださいました。みなさん無償でお手伝いしてくれています。

 

幸せな子育てをするお母さんが増えることを目的に、メンバーが自発的にSNSで発信してくれるので、いい循環が生まれていると思います。おかげさまで『母』もかなり購読されるようになりました」

 

読者の投稿にリアクションすること、熱量が高いファンを見極めて巻き込むことが、UGCを生み出すコツのようだ。

また、メディアのSNSでよくあるのが、投稿だけ見られるがそこからメディアには行かないことや、ひとつの情報だけ見て完結しアカウントはフォローしないことなど、フォロワーが増えないこと。それにはSNSを検索エンジンとして活用しているユーザーが多いという背景がありそうだ。

 

「たとえば東京の観光メディアのSNSがあるとして、郊外の人からしたら東京観光するとき以外東京に接点がないわけです。そのような機会があるときに情報収集のため一時的にフォローするだけで、用が済めばフォロー解除する。メディアがフォロワーを定着するために工夫できることは、東京のユニークな人を紹介するなど観光情報以外のコンテンツを投稿することでしょうか」

 

最近ではTikTokで社員が踊る様子を配信するなど、一見業務に関係のない配信をする企業アカウントも増えた。自社のサービスや伝えたいビジョンとはかけ離れているように思えるが、SNSをおもしろがって見てくれたことがきっかけで、結果的に知ってもらえることもあるようだ。

プレキャンを実施しても定着しないフォロワー。真のファンを増やすには?

メディアのファンを増やすための足掛かりとして、SNSで拡散されやすいプレゼントキャンペーンを実施する企業も多い。ところが、大半はプレゼント目当ての応募で、プレキャン終了後にフォローを外されるパターンも多く、ファンの作り方に悩まされていないだろうか。

 

「まず、自社の方向性にあったプレゼントに設定しているかということが大切。プレゼントはモノに頼らなくても大丈夫です。たとえばビジネスパーソン向けのお役立ちメディアなら、Amazonギフト券やスイーツなどではなく、ターゲットと親和性のあるスペシャルゲストの対談コンテンツにするといいかもしれませんね。

 

ただし、メディアのゴールに当てはまってしまうプレゼントには気をつけてください。私は以前勤務していた寝具メーカーでプレキャンを担当していたのですが、マットレスをプレゼントしたら、それってもう目的を果たしてしまうことになるわけですよ。ですから、マットレスを購入してもらうきっかけになりそうな、マットレスと同素材を使用したクッションや、睡眠アプリの体験を提供するようにしました」

 

プレキャンの拡散力は高いため、その後ファンが離脱しないよう、プレゼントの方向性はしっかり見定めたい。

メディアの認知拡大のために、SNS担当者がすべきこと

「いきなりフォロワーが増えたり、SNSから集客できたりすることはありません。自社のアカウントを耕せていない段階で、プレゼントキャンペーンを実施するのは逆効果です。日頃から地道な投稿とフォロワーとの交流でアカウントを耕すことが大切。長期的に見てフォロワーに信頼してもらう土壌づくりを心がけてください」

 

フォロワーやファンを増やすこと、メディアを知ってもらうことは、一朝一夕にはいかない。SNSを活用した効率的なPRなどはなく、日々の姿勢をユーザーから見られて判断されていることを忘れずに運用していきたい。

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取材:藤田佳奈美

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