ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

オンライン説明会・面接の限界を感じて生まれた「実社員が登場するノベルゲーム風会社案内」。その意外な反響とは。

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社会が非接触・非対面へシフトする今、人事採用でもオンライン化が急速に進んでいる。そんな採用シーンで話題に上っているのが、ITベンチャー企業の株式会社ビヨンドが2023年新卒採用用にWeb上でリリースした「ノベルゲーム会社案内」だ。真面目な場である採用に、なぜゲームを?一見対極にある要素だが、両者を組み合わせたことで、これが思わぬ方向に広がっているという。この会社案内を作った株式会社ビヨンド採用担当の藤沢海氏と、同社で全ての最終面接をする代表取締役の原岡昌寛氏に話を伺った。

原岡 昌寛

Masahiro Haraoka

株式会社ビヨンド 代表取締役

1977年、愛知県出身。2001年、同志社大経済学部を卒業後、NOVAでインフラエンジニアとして従事した後、2007年、ビヨンドの創業に参画、その後代表取締役に就任。「共に創り支え続ける」の理念のもと、IT業界の縁の下の力持ちとして24/365のインフラ運用を行う。徳島県三好市サテライトオフィスの開設、カナダの現地法人で夜勤業務を行うなど、場所や時間にとらわれない働き方に取り組んでいる。

藤沢 海

Umi Fujisawa

株式会社ビヨンド 広報・採用担当

1994年兵庫県出身。高校卒業後、お笑い業界の裏方職に就く。2017年にビヨンドへ中途入社し、広報・マーケティング・採用に携わる。プレスリリース、ブログ、SNS運用、YouTubeなど会社のブランディングに関わる業務を中心としている。

オンライン会社説明会・面接の限界を感じた

オンラインサービスが当たり前の世界において、その基盤となるサーバーやクラウドの重要性も増している。どれほど魅力的なサービスや取り組みを展開しても、それを支えるサーバーやクラウドが安定しなければ元も子もないからだ。そんなオンライン社会の“縁の下の力持ち”的な役目を果たしているのが株式会社ビヨンドだ。

同社のキャッチコピーは“サーバーのことは全部丸投げ”。24時間365日の有人監視と運用サポートで、クラウドサーバーの設計・運用やサーバーに寄ったシステム開発、またWEBの自社サービスの開発なども行っている。

スタッフのほとんどはエンジニア。毎年行う新卒採用ではエンジニア職のみを募集しているが「ベンチャー企業として良い人材の確保には長年苦戦してきました」と原岡氏。2020年2月からはコロナの影響で採用をオンラインにシフト。バーチャル会社説明会を何度か開催するも、こんな課題にぶち当たったと原岡氏は言う。

 

採用担当である藤沢氏はこう続ける。

「2021年4月に大阪オフィスが移転して広くなり新しいオープンスペースを作りましたが、コロナで外部の方にお見せできる機会が少なく残念に感じていました。0からオリジナルのゲームを作れば、背景や登場人物も自由に設定できるので、実際にオフィスを訪問して社員と会話するような体験がオンライン上で作れるのでは、と思いました」

 

ノベルゲーム会社案内とYouTube上にあげている会社説明動画。この2つを見れば、同社の大概のことはわかるという。また、個人面談の際には会社説明を省くことで、代わりにより個々に沿った話ができるようになったという。

思わぬ方向からの反響があった

ゲームをしない人向けに説明すると、そもそもノベルゲームとは小説のようにテキストを読み進め、選択肢によってさまざまなシナリオが現れるゲームのこと。簡単な選択でゲームと物語の両方を楽しめるので、小説や映画といったストーリーが好きな人なら特に馴染みやすい。

ビヨンドの会社案内には、そんなノベルゲームの特性が存分に生かされている。 エンジニア向け会社説明会というととっつきにくい印象だが、ITやシステムの知識は要らず、誰でも楽しめるような作りになっている。プレーヤーは会社のインターホンを押すところから始まり、様々な部屋を案内してもらいながらゲームは進む。各現場のスタッフに遭遇すれば、クイズ形式で業務内容を知ることができる。プレーヤーが解答を間違えてももちろん咎められることはなく、スタッフがやさしく解説してくれる。

リリース以降は、WEB媒体で取り上げられたりSNSでもよくシェアされるというのも頷ける。また、思わぬ方向に広がりを見せていると原岡氏は話す。

 

「お世話になっているクライアントさんや社員の家族にも遊んでもらえて、『こんな会社なんだね』と言ってもらうことが増えました。クライアントのなかにも、5種類用意しているラストを「全部クリアしました!」と報告してくださる方もいて。会社説明のツールとして、思った以上に良い手法だなと思っています」

 

通常なら、クライアントや社員の知人が新卒生向けの会社案内に触れることはなかなかない。やはりそこは、ゲームの気軽さがプラスに作用しているのだ。

人となりを忠実に再現

2021年卒や2022年卒の採用に関しては、内定まで全ての工程をオンラインで行ったという同社。現在は中途採用も全てオンラインで行っているという。入社後の「思っていたのと違う」を避けるために、会社案内にもさまざまな工夫を凝らした。働く現場をリアルにイメージできるようにと、現場の写真を多数使い、現場の作業内容などは担当社員に相談しながらシーンを作り込んでいった。エンジニア志望の生徒さんからはこんな声もあったと藤沢氏は話す。

 

「その方が通う専門学校では、授業で弊社のノベルゲームを使っていただいたそうです。実際にサーバーの運用や監視をするツールのスクショ画像がゲーム内に登場するのですが、それを見て数名から『このツール自分も使ったことがある!』といった声が上がったそうです」

藤沢氏曰く、社員を実写で登場させることにもこだわったそう。

 

「学生さんにとっては弊社のスタッフに触れる貴重な機会になりますので、社員の会話シーンには力を入れましたね。1人1人の口癖や口調を観察して、人となりを忠実に再現しました。本人を知っている方から『実物のままだね』という感想もいただき嬉しかったです」

場所を選ばない採用・働き方が当たり前に

同社がエンジニアの採用にこうした手段をとっているのは意味がある。というのも、日本では若い世代の人手不足が叫ばれて久しいが、今後も新卒者数は減る一方。加えてITやシステムの需要の広がりとともに、世界的な潮流としてエンジニア不足も加速している。国境を越えた採用が、そうした人材不足の時代の打開策になるのは間違いない。

同社は日本時間の深夜の運用を担う目的で、2020年10月にカナダの拠点を開設。当然、ここでもエンジニアの採用を行っている。こうした採用の未来について、原岡氏はどう予想しているのか。

 

「採用だけでなく、全世界どこにいてもあらゆる人と仕事できる機会がどんどん広がっています。実際、弊社でも日本のオフィスで働きたいと申し込んでくださる海外在住者も増えていて、もともと都会でなくても働けるのがエンジニア職の特徴でしたが、今後はどんな職種であっても、場所も国も選ばず職に応募できて働ける。そんな世界になると思います」

 

自動翻訳の精度もどんどん上がっている。国を問わない採用や働き方が当たり前になるなか、こうしたより個々の企業や募集人材に合ったオンライン採用の手法が求められている。

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取材:池尾優

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