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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

お客様は神様でなく友達? 急成長の顧客コミュニケーションツール「チャネルトーク」

「お客様の声に忠実に」。ビジネスの鉄則のようなワードだが、サービスのオンライン化が進む昨今では、顧客とのやりとりはリアル店舗とは違う難しさがある。そんなオンラインを介した顧客へのコミュニケーションに難儀する企業の救世主ともいえるのが、顧客コミュニケーションツール「チャネルトーク」だ。韓国発のテクノロジースタートアップ企業で、グローバルでの導入実績は50,000社に上る。2018年からは3年連続で売り上げUPを続けるなど、近年の成長が著しい。そんな株式会社Channel Corporationの日本CEOである玉川葉(Jay)氏と、CCOである坂本彩(Aya)氏に、サービスへの想いや、現代におけるサービスの価値について伺った。

玉川葉(Jay)

株式会社Channel Corporation 日本CEO

韓国No.1のアパレル企業の戦略企画コンサルタントや住友商事の韓国支店で勤務。米国系EC・EbayにてMDで年商200億円を達成。リテールテックスタートアップ ZOYI Corporation(現チャネルトーク)の日本CEOとして、実店舗の分析・O2O支援・ECの接客チャット提供。

坂本彩(Aya)

株式会社Channel Corporation 日本CCO

アクセンチュアにデジタルコンサルタントとして新卒入社。大手コスメブランドの店舗/ECの接客デザインや専門ツール開発などリテールDXを支援。現在、チャネルトークにてCCOとしてエンジニアとCSを兼務。

3度の失敗が導いた顧客中心文化

チャネルトークは、顧客とのコミュニケーションを円滑に行うためのオンラインツール。顧客とのコミュニケーションを行う「接客チャット」と社内のコミュニケーションを行う「ビジネスチャット(社内チャット)」の2つを連携させて使うのが大きなポイントだとJay氏は話す。

 

「社内の誰もがいつでもお客さんとのチャットを見ることができ、対応することもできます。これまでにもビジネスチャットサービスはありましたが、お客さんとのやりとりと社内のやりとりは別々のプラットフォームで行うのが一般的でした。お客様の意見や要望を社内へ展開するには、社内用チャットにリンクを貼るなどの手間がかかり、顧客満足度を上げる妨げになっていました」

サービスには無料版と有料版があり、「接客チャット」と「社内チャット」は無料で導入が可能。有料版では、顧客からのよくある問い合わせに対して自動応答する「チャットボット(サポートbot)」機能や、お客様に話しかけるなど売り上げに繋げるアプローチとして「CRMマーケティング」機能を使うことができる。

 

こうしたツールを提供しながらも、Aya氏は自社のサービスを「顧客中心文化の啓蒙活動」として捉えていると言う。

 

「顧客の生の声を聞けないままに仕事をしている人たちが、予想以上に多くいらっしゃいました。そういった企業に持続的な成長を届けたいという想いで、サービスを訴求しています」

 

今では順調に展開を広げるチャネルトークだが、サービス開発の背景には、意外な過去がある。グローバルの展開でみるとチャネルトーク自体は4つ目の会社となり、それまでに3度の失敗を経験してきたという。Jay氏はその理由を「お客さんの声を聞かなかったから」と話した。

 

「中小企業の課題解決をミッションに様々なサービスをやってきましたが、上手くいきませんでした。というのも、流行っているから、新技術だから、といった理由で始めていて、マーケットのことを全く理解できていなかったんです。それに気づき、お客さんとコミュニケーションをとるために海外のツールを導入してみたら、値段が高く、社内のコミュニケーションとは切り離されたものでした。そこで、より良いサービスの開発へ至りました」

熱狂的ファンをつくることでニーズを広げる

チャネルトークは、グローバル全体では2018年から5倍・3.1倍・3.3倍と3年連続で売上を伸ばし、日本でも2020年に7倍の成長を記録(どちらも対前年比)。「チャネルトークを活用し、お客様の声を聞き始めたから、ここまで成長できた」とAya氏が言うように、サービスの有効性は自社でも実証済みだ。カスタマーサポートはもちろん、マーケッター、セールス、エンジニアまで誰もが接客チャットに目を通しており、サービスの改善は早くなった。また、お客さんの声を社内の“共通言語”にすれば、様々な決定の際に揉めることもない。

 

また、近年の成長には時代の流れも大きい。1990年代にインターネットが普及してから、2000年代には商品をオンラインで買えるようになり、2010年代にはスマホでの買い物が当たり前になった。2020年代を迎えた今、ようやくオンラインで人が接客する時代が到来したといえる。オンライン上の競合が増えるなか、サイトへの訪問者を購買者に転換したり、ファンを増やしたりするために、“積極的に接客する”という認識は、今後いっそう定着するように思える。

 

もう一つ、成長の理由として大きいのは「お客様経由での紹介や口コミ」だとAya氏は指摘。

 

「多くのユーザーさんが、チャネルトークの良さをSNS等で発信してくれたり、同業者や友達などに紹介してくれるんです。売上を伸ばすといった数字的なことももちろん大事ですが、それよりもユーザーが満足して活用度が上がった時に最終的に“熱狂的ファンになる”ことが最も効果があると思っていて。そのファンを増やすことが一番重要だと思います」

絵文字も多用するカジュアルさ

「友達と話しているみたい」チャネルトークを初めて使った人は、そんな風に思うかもしれない。導入した企業では、絵文字を多用するケースも多く、これまでのカスタマーサポートとは違って、気軽にコミュニケーションを取りたくなる。そんなフラットなコミュニケーションについてJay氏は話す。

「私たちは“お客様は神様”という考えを変えたいんです。神様というと恐ろしい存在でもあるから、企業と顧客の間に距離が生まれてしまうと思っていて。両者がコミュニケーションをとれば、双方が理解できて、事業はもっと楽しくなる。だから「お世話になっております」などという形式的な表現よりも、カジュアルでもいいから本質的に必要なコミュニケーションがとれることを重視しています」

 

確かに、トラブル等で問い合わせる場合などは、長いカタイ文章よりも、一刻も早く解決策を提示してくれた方がありがたい。もともとカジュアルなツールであるチャットには、そんな根本的なニーズを引き出したり、伝えやすくする効果もあるのだ。電話やメールなどの定型文はチャットには無く、「ブランドごとの正解を見つけたら良い」というのがJay氏の考えだ。

 

「ブランドのトーンとマナーに合わせるのが一番だと思います。例えば、高級ブランドの場合はデパートの接客に合わせたり、クリニックの場合は病院の雰囲気に合わせたり、オフライン店舗がある場合は、トーンとマナーをそこに合わせる。コミュニケーションの窓口が複数ある場合も同じで、コミュニケーションのトーンとマナーには一貫性が必要です。会社は機能で窓口を分けますが、お客さんからしたら「会社と私の関係」だけなのです」

 

グローバルで展開している同社だが、こうしたカジュアルな接客の受け入れ土壌として、海外と比べて日本はどうか?日本では“お客様は神様”文化がまだまだ根強い気もするが……。

 

「日本にはおもてなしという言葉もあるように、丁寧〜カジュアルまで、顧客との良い関係を築ける、質の高い接客文化があります。にも関わらず、なぜかオンラインになると制約が生まれてしまい、いきなり堅苦しい接客になってしまう。そんな実店舗の接客の強みをオンラインでも活用できれば、伸び代は大きいと思います」(Aya氏)

 

つまり、実店舗の接客をECサイトで再現するのがチャネルトークの役割と言える。その意味では、ユーザーは若い世代に限られているわけではない。年配層をターゲットにしたECサイトでも多く導入されているという。

 

「私たちの親や祖父母の世代も、今やLINEを使いこなしていますが、それと同じです。メールや電話よりもラクだから。1度経験してその便利さを実感したなら、抵抗なく使えるようになると思います」(Jay氏)

無料で提供する理由

驚くべきは、サービスの基本となる「接客チャット」「社内チャット」を無料で提供していることだ。そこには、未来へ向けた同社のこんな想いがある。

 

「どんなサイトにもお問い合わせ欄がありますが、チャットがどのサイトにもついている時代が必ずくると信じています。そんなチャットがインフラのようなものになった時に、有料で提供しているのはナンセンスだと思っていて。今は主にECサイトで使っていただいていますが、今後はみんなに使ってもらえるように、使いやすいプロダクトにしていきたい」(Aya氏)

 

では、無料で提供できる強さは一体どこにあるのだろう。Jay氏は言う。

 

「既存の顧客管理やマーケティングのサービスというとどれも高額で、大企業のBtoB向けに導入されるのが一般的でした。そこを僕たちは、中小企業や、BtoC向けにアレンジしました。スピードが早く安定したサーバーを自社で開発し、無駄に高性能な機能を搭載しないことで、安く提供することができています」

 

実際、同社でかつて導入していた海外製のツールは、5〜10倍の価格。エンジニア出身というAya氏は、チャネルトークの技術力の高さを評価している。

 

「チャットはリアルタイムのコミュニケーションで、予測不可能な上、順番を担保しないと訳がわからなくなる。なので、サーバーサイドの高い技術が求められるんです。例えば、お客様情報が溜まるにつれ、システムのスピードは遅くなりますが、チャネルトークでは通常の20分の1のスピードでお客様情報を検索できる。そういった目立たないところの利便性を高めるために技術力を使っています」

 

オンライン接客がより定着すれば、ビジネスチャットがエンドユーザーにも使われる未来も遠くはなさそうだ。その時、チャネルトークは未来のインフラになっているか。今後に期待したい。

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