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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「誰かのためへの香りが“自分のため”へ」、16万人のフォロワーを抱える香りのサブスクサービス

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香水は、オンライン上では選びにくく、新たなブランドにもチャレンジしにくい。そんな既成概念を覆したのが、2019年にスタートした香りの定期便サービス「COLORIA(カラリア)」だ。月々 1,980円(税込・送料無料)で約500種類のアイテムから好きな香りを選び、1ヶ月使い切りサイズで楽しめるサブスクリプションサービスとなっている。コロナ禍で会員が11倍にも伸びたという本サービスが出来上がるまでの構想とオンラインでの可能性、今後の展望について、代表の南木将宏氏に伺った。

南木 将宏

株式会社High Link 代表

中学生の頃から起業を志し、早稲田大学創造理工学部経営システム工学科在学中の2017年6月に株式会社High Linkを創業。VCファンド「ANRI」から資金調達を行い、マッチングアプリの開発を行うも難航。2018年に香り市場への参入を決意した。2019年に香りの定期便サービス「COLORIA(カラリア)」をスタート。2020年4月から1年間で11倍に会員数が増加するなど、香り市場を開拓している。
Photo by Shunichi Oda

大容量で、高価格。試しにくい「香り」市場の課題

香水やルームフレグランスを購入する際、全て使い切れるか不安になったり、高価格で手が出しにくいと思ったりした経験はないだろうか。自身も香水が好きだという南木氏は、この顧客ニーズと商品とのアンマッチに着目した。

 

「季節や好みの変化によって、纏いたい香りは異なるもの。少量・低価格で様々な香りを楽しめるサービスがあったら、もっと香りを楽しめるのでは」

 

オフラインであっても、ブランドごとに店舗が異なるなど、比較検討するには手間がかかるもの。そこで、オンラインで手軽に香りを試せるサービスを模索したのだ。当初はオンラインで自社の香水販売を考えていたが、サービス検討を進めるうちに、大容量・高価格の香水を“試せる”サービスを検討するようになった。

香りの定期便サービス「COLORIA(カラリア)」

2019年1月にリリースされた「COLORIA(カラリア)」は、香りのサブスクリプションサービス。月額1,980円(税込・送料無料)からの料金設定で、約500種類の香りアイテム(香水やルームフレグランス、バスグッズなど)から好きなものを選ぶ。すると、1ヶ月使い切りサイズのアトマイザーで届くという仕組みだ。CHANELやJo Malone、Chloeなど人気高級ブランドの香水が揃っており、気に入ったアイテムは単品購入もできる。店舗に行かずにして、香りのお試しから本購入までの体験が可能だ。

「自分はどんな香りが好きなんだろう」と悩んだ際には、LINEで香りのコンシェルジュに無料相談。香水の使い方などの基礎的な知識から、新たな香りの提案まで気軽に相談ができる。「香りのコンシェルジュサービス」が付いたサブスクリクション型サービスは日本初だと言う。

また、「COLORIA(カラリア)」では情報提供にも力を入れる。COLORIA MAGAZINE(カラリアマガジン)というWebメディアの他、InstagramなどのSNSで季節に合った香りや人気ランキングなどを掲載。Instagramフォロワー数は16万を超えている。Instagramの投稿を見ると、“女友達に喜ばれる褒められプレゼント”や、“忘れられない「あの子」になる香水”“古着女子がまとうお香っぽい香水”など、香水に詳しくなくとも理解しやすい具体的なシーンを提示するキーワードが目立つ。これらのメディアで月間約1,800万回見てもらえていると言う。SNSやWebメディアの成長は、サービスのLTVが長く顧客離脱率が低いという特徴にも寄与している。

「市場規模が大きい一方で、香りに関する情報がまとまっているコンテンツが今までなかった。香りは言語化するのが難しいので、オンラインでの情報発信は後手に回りがち。そんな中で、カラリアが顧客に応える情報発信ができたことは、顧客の大きな信頼獲得に繋がったのでは。季節に合わせた香りやシーンに合わせた香りを提案するなど、顧客が新しい香りに出会ってもらえる情報を提供したいです」

 

「COLORIA(カラリア)」の定期便サービスで興味深いのは、都心部だけでなく全国各地から発注があったということ。オンライン上で気になる香水を見つけても、近くに百貨店や販売店がないケースがある。また、百貨店でそもそも取り扱いがなかったりすることもあり、地方の顧客からのニーズが高いと言う。

 

「初めてフレグランスに触れたお客様も多く、カラリアをきっかけに香水を好きになっていただいた方も。今、香りや香水の新しい購買体験を作っていけている実感があります。また香り好きのお客様が集まっているサービスというのは意外に少ないので、香り付きの商品を販売しているメーカーから喜んでもらうことも多い。市場を共に盛り上げていけているのではないかと思います」

香りを変えて暮らす、ライフスタイルを提案

香水というと、外出時につけるもの・誰かへのアピールやエチケットという意味合いが強かった。しかし、コロナ禍以降のおうち時間の拡大などライフスタイルの変化により、香りにおいても新たなライフスタイルを提案していきたいと南木氏は語る。

「誰かへのアピール目的ではなく、自分のために香水を使うという人が増えているんです。例えば、朝好きな香りに包まれながら起きて、気分に合わせた別の香りを纏って出かけ、夜は落ち着く香りで1日を終える。同じ1日の中でも、シーンや用途に合わせて香りを変えることができれば、より豊かなライフスタイルが築けるのではないかと考えています」

 

ルームフレグランスの普及もあり、香りによるストレス解消などを実感している方も多いのではないだろうか。季節や年齢に合わせて香水を変えるのは一般的だが、生活のシーンに合わせて香りを変えるというのは、より上質な生活体験に繋がる。

香りデータを蓄積、独自基準の確立へ

既に多くの顧客ニーズを満たしているカラリアだが、南木氏は「まだスタートラインに立てたばかり」と将来を見据える。香りのオンライン化において一番のネックとなっている、“香りを言語化・識別できない”と言う課題。今はこれに着手しようと考えているのだ。

 

「自分の好きな香りの名称が分からなかったり、似た香りの商品を探すのが難しかったり。香りを言語化できないことが、オンライン化の大きな壁となっています。カラリアでは独自基準を確立することで、今後、香りを可視化させたい。ZOZOTOWNがマルチサイズを定めることで、オンラインでのアパレルのサイズ基準を定めたように、香りでもオンラインでの基準設定が可能だと考えています。そのためにデータを蓄積しており、満足度の高い香りや季節ごとのトレンドなどの情報を集めています」

 

どんな基準にしていくのか、鋭意開発中だという。また香りのデータ化が進めば、香水以外の市場にもニーズが見込める。

 

「シャンプーやリンス、洗剤、柔軟剤などの製品においても、香りは購買の大きな意思決定要因となります。香りのデータは様々な領域に展開していける可能性が高いはずです」

 

香りで世界を彩る、というサービスミッションを掲げるカラリア。シャンプーを購入後に香りが苦手で使えなかった、なんてことがなくなる未来はもうすぐそこまで来ている。今後の成長に引き続き期待したい。

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取材:齋藤優里花

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