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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

食べ放題・飲み放題になるサブスクが人気。企業が導入するメリットや価値はなに?

月額制でドリンクやフードが飲み放題・食べ放題といったリアル店舗でのサブスクリプションサービス利用が広まっている。

 

株式会社favyは、2019年に飲食店や花屋のリアルな店舗で導入できるサブスクプラットフォームビジネス「favyサブスク」を開始。2022年4月時点で導入店舗数は全国で3,200店舗。店によっては顧客の来店頻度が導入前と比べ、数十倍になっているところもあるという。

 

今年4月からは、JR東日本の駅ナカ飲食店やリラクゼーション施設を対象としたサブスクサービス「JRE パスポート」を手がけるなど、リアル店舗のサブスク導入に圧倒的な強みを持つ。同社の「favyサブスク」事業部長・久野慶太氏に、サブスク導入の価値を聞いた。

アカウント導入で飲食に的確なマーケティングを

株式会社favyは2015年創業。飲食店などに対し、Webサイト作成や集客などを定額で提供するサービスからスタートした。その後2019年より「favyサブスク」を展開。現在は、サブスクが同社の根幹事業になっている。

「飲食店のウェブサイトを作ったり広告を打ったりする中で出てきた課題のひとつが、その施策の成果でどれぐらいお客さんが来店したかが分からない、効果が十分に測定できないことでした」(久野氏)。

 

一方、ECであれば購入時の顧客のアカウント情報は明らかで、いつ、どの顧客が来店・購入したかのデータを基盤としたマーケティング活動を行うことが可能になる。

 

そこでリアル店舗でもサブスクを導入することで、顧客のアカウントデータを得ること、またそれに根ざしたマーケティング活動につなげることができると同社は発想。マーケティングの部分は同社がもともと行っていた事業であるため、同社と契約店舗との接点を拡げることにもつながっている。

 

既存のクラウドファンディングのサービスを利用して、会員制の飲食店の利用権を販売するところから試運転を始め、サブスクに特化したシステムを作っていった。

「考えなくていいこと」が価値になるミニマリスト時代

飲食店がサブスクを導入することで生まれる価値は、〈お得になる〉と〈考えなくていい〉というふたつの点だと久野氏は考える。例えば月額3,000円で、通常250円のドリップコーヒーが1日1杯まで無料で飲めるというサブスクの設計にすると、1日あたり実質100円。コンビニと同じような価格帯で、より品質の良いコーヒーが飲めるというのが、ひとつ目の〈お得になる〉メリットだ。

ふたつ目の〈考えなくていい〉については、「コーヒーを飲むというアクションひとつ取っても、買う場所はコンビニ、スターバックス、自販機、会社のコーヒーメーカーとさまざまな選択肢があり、さらに決済は何にするのかという選択肢もありますよね。サブスクならあらかじめ決めたお店に行って、スマホを提示してコーヒーを受け取るだけ。アクションに対して、意思決定のプロセスを持たなくて良くなります。これも人によっては大きなメリットになると思います」(久野氏)。

 

ここには持ち物を減らし、それらを管理したり選択する時間やコストを減らしたいというミニマリスト的な思想の浸透も影響していると久野氏は分析する。

 

サブスクが導入店舗にもたらす価値は、なんといっても〈顧客の来店頻度が上がること〉が第一。また同社がサブスクをスタートするきっかけとなった〈顧客データの可視化と、それに基づくマーケティング活動ができるようになる〉点も長期的な視点で重要なポイントだろう。

 

「そもそも、導入前は1人あたりの来店回数が分からなかった飲食店も多いんですけれども、サブスク導入後の集計では、例えばコーヒー屋さんにおいては平均来店回数が20〜30回、お花屋さんなら10〜15回とかになることも多々。恐らく年に1〜2回だったところから数十倍に上がることも少なくありません」(久野氏)。

favyのブログでは、サービス導入3か月で有料会員が200名を超えたお花屋さんの事例や、販売から3日で300名が有料会員になったサラダ専門店の事例を読むことができる。

 

相乗効果も見逃せない。

 

「来店の機会には、その都度〈ついで買い〉という追加のアクションに至る可能性が含まれますので、それによってLTV(顧客生涯価値)は全体的に増加する傾向にあります。モバイルオーダー、プレオーダーのシステムを今後は充実させて、コーヒーの受け取りついでにサンドイッチを買っておこう、というような〈ついで買い〉をさらに促進していきたいですね。また、顧客一人あたりの獲得コストが明確になるのもサブスクの利点。的確なコストで必要な販促をかけられるようになるんです」(久野氏)。

なくなった習慣から店を守るしくみ

では、サブスクが社会にもたらす価値はどんなものだろうか。

 

「コロナをきっかけに、なくなったり減少したものの一つが通勤ですよね。それによって、駅やオフィス街の商業施設や飲食店が余波を受けています。サブスクは、コロナ以前の飲食や購入の習慣を継続させる解決策のひとつなんです」(久野氏)。

 

「JRE パスポート」を含め、サブスクによって顧客が駅を利用する回数が増えている。通勤はなくなったが、リモートワークの気分転換に歩いて駅なかのショップまでコーヒーを買いに行く、あるいはマッサージを受けるといったシーンが想定される。

サービス開始から3年を待たず、加盟店は3,200店舗まで増加。店舗に新規導入を提案する際に心がけていることを伺った。

 

「サブスクはただの安売りの手段でもなければ、導入すれば絶対儲かる〈神ツール〉でもありません。どのように導入すれば、売上改善やそのほかの課題解決に結びつくのかまで考えながら、運用していただく必要があります。我々も導入前の説明をできる限り丁寧にして、導入後もセミナーを設けるなど、目的までの道のりをしっかりサポートさせていただいています」(久野氏)。

データがもたらす新しい飲食・購入体験

今後的には、サブスクを導入することによって得た顧客データを活かし、来店時の接客等、顧客エクスペリエンスの向上まで見越したサービスに育てていくことを目指している。

 

「最終的なサービスの提供はやっぱり人がもたらすもの。店のスタッフから『○○さんいつもご来店ありがとうございます、前回は△△のワインを飲まれていたので今日はこういったワインをご用意させていただきました。いかがですか?』と案内をされたら『私のこと覚えていてくれたんだ』とすごくうれしいと思うんですけど、同じワインのおすすめ情報が、スマートフォンのポップアップで出てきても、感動するのはたぶんマーケティングとかウェブの関係者だけで、大体の人はあんまりうれしくないですよね(笑)。

 

データの記憶はオンラインが絶対的に強いですから、それを使って人がもたらす接客の価値をさらに上げるところまで含んだ、総合的な飲食・購入の世界観を作ることが目標なんです」(久野氏)。

 

サブスクのシステムは今後さらに日常に溶け込み、あらゆるシーンで人を助け、喜びをもたらしてくれることだろう。

久野 慶太

Keita Kuno

株式会社favy favyサブスク事業部長

2016年 株式会社favyに新卒入社。来店型サブスクのノウハウを知り尽くすスペシャリスト。サブスク型飲食店「coffee mafia」「29ON」の事業立ち上げを行い、favyサブスクの機能開発に関わる。2019年より自社店舗で培ったノウハウを詰め込んだ店舗向けサブスクツールを開発・提供開始。2022年4月現在、3,200店舗以上に導入されている。

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