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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

多様化する高校生の夢に大人はどう応える? 全国どこにいても相談できるオンライン進路相談のリアル

志望校選択やキャリア設計など、高校生の進路選択に悩みはつきものだ。そんなとき、興味のある学問や職業に詳しい社会人と話すことができれば、進路の解像度が上がり、視野を広げられるのではないだろうか。「オンライン進路相談プラットフォーム」は高校生が安全かつ簡単に、全国の幅広い社会人に進路相談ができるサービスだ。「また利用したい」と回答した高校生がなんと100%。圧倒的に高い満足度を誇るサービスにはどういった工夫があるのか? NEC事業開発統括部でサービス開発を担当する田中すみれ氏に話を聞いた。

先生だけではカバーしきれない、学問や職業のリアルが聞ける

「オンライン進路相談プラットフォーム」の使い方はいたってシンプルだ。高校生はスマホやPCでWEBページにアクセスし、ログインしたら、一覧から話を聞いてみたい面談者(社会人)を探して日程を選択するだけ。医療、広告、IT、金融、農業、食品、化学、介護、エンタメなど様々な業界で働く大人が200名以上登録しており、プロフィールには出身大学やこれまでのキャリア、知見のある分野などが詳しく書かれている。20代、30代が約9割を占めているので、少し年上の先輩という感覚で気軽に話せるのも特徴だ。

実際に高校生と社会人の間でどんな会話がなされているかというと、大学の学部・学科選びや仕事についての相談が多いと田中氏は話す。たとえば「興味のある領域が『工学部』と『理工学部』のどちらで学べるのか」といった学問の細かな差異に関する質問。ほかには「漠然とマーケティングに興味があるが、PRと広告の具体的な仕事の違いを知りたい」というような、一歩踏み込んだ質問もある。

「高校生からは、親や先生に聞いてもわからない専門的な部分が聞けてよかったという声をもらっています。これは学校の先生自身がよく言われることですが、日本の先生は転職経験が少ないそうです。その状況のなか、先生が全面的にキャリア教育を担い、社会のリアルを生徒に伝えなければならないのが現状です。そもそも、どんな人でも経験していないことを語るのは難しいと思います」

1対nから、1対1の進路相談へ。高校生が主体的に進路を選ぶ

キャリア教育で一般的な取り組みといえば講演会だ。例えば卒業生や、学校関係者とつながりのある外部の社会人を招いたキャリア講演。田中氏はここに課題が隠れているという。

 

「学校では予算と時間が限られるので、講演に呼べるのは数人です。そこでどんな人を呼ぶかというと、一例ですが、宇宙飛行士やオペラ歌手など特別な職業の人を呼ぶことがあると聞きます。数百人の生徒に対して1人のロールモデルが参考になるには限界がありますし、特殊な職業だとなおさら生徒の心に刺さりにくいかもしれません」。

 

一方、田中氏が高校の先生と対話するなかで知ったことは、高校生の価値観や進路は年々多様化しているということだ。ユーチューバーやベンチャー起業家など、従来は少数派だったロールモデルを目指す生徒も。また、昨今の新型コロナウイルスの影響を受けて、医療や製薬業界に関心の高い高校生も増えたなど、社会の変化に合わせてなりたい職業は流動している。

さらに、学校教育も変わり始めている。2022年度に施行された新学習指導要領では、変化の激しい時代を生きる力や自ら考え道を切り拓いていく主体性が問われるようになった。「進学校でも有名大学の合格数にこだわるのではなく、何のために学ぶのかという『Why?』が重視されるようになりつつあります」と田中氏は言う。

 

「従来の1対nの進路相談から、生徒が本当の『なりたい』や『やりたい』を探すことのできる1対1の個別相談の必要性が高まっています。全国のどこに住んでいても、多様な社会人に話が聞ける『オンライン進路相談プラットフォーム』は、生徒が主体的に進路を決定するために有用なツールです」

連絡交換なし、全面談録画。学校が導入しやすい細かな工夫

ほかにも類似サービスがあるなか「オンライン進路相談プラットフォーム」が突出している点は、その安全性の高さだ。オンライン面談は高校生と社会人の1対1だが、そのすべての面談は録画され、後ほどランダムにチェックされる仕組みになっている。いまのところトラブルは0件だが、万が一問題が生じた時の証拠になる。事前に録画していることを謳うことで、抑止力になることも期待されている。

また、連絡先は交換できないルールになっており、メッセージの中で電話番号やメールアドレスなどを打ち込むとマスクされる機能が付いている。面談後には、社会人と高校生の双方向から星の数で評価し、コメントも書ける仕様になっており、もし低評価が続くようなことがあれば、運営側が問題に気づくことができる。

安全性の高さに加えて、授業への導入のしやすさが学校に好評だ。たとえば進路の検討状況を内省するためのワークシートや、生徒が質問内容を考える際に役立つテンプレートなど、様々なツールが付帯されている。田中氏は「学校で導入されることに強いこだわりがある」と話す。

 

「もし個人向けのサービスになると、元から意欲の高い生徒だけが申し込んで来ると思います。そうではなく、今は意欲が高くない生徒であっても、皆が機会に触れることで火が灯るきっかけになってほしいです。たくさんの生徒に興味を持ってもらえるよう、マンガでサービスを紹介するコンテンツも用意しました。どんな環境で生まれ育っていても、多様なキャリアのあり方を視野に入れられるような、教育の機会均等を目指しています」

先人に生き方や働き方を聞く。大人の進路相談へのピボット

田中氏は「オンライン進路相談プラットフォーム」の仕組みは、幅広く応用が効くのではないかと睨んでいる。それは、最近のEdTech(Education × Technology)業界のトレンドから感じるという。

「例えば高校生向けに始めたサービスを、学校の先生向けにピボットするという事例をよく見るようになりました。というのも、新しい教育思想の伝播をするためには、子供にダイレクトにインストールするより、教育の媒介者である教師をアップデートした方が早く広がるからです」

 

さらに、EdTech市場は少子化が進み子供の数が減ることで、今後縮小する可能性があるが、大人を対象としたビジネスは拡大性がある。そこで田中氏が考えるのは、今後「オンライン進路相談プラットフォーム」を社会人向けに応用していくことだ。

 

「高校生だけでなく、大人の生き方も個別化・多様化するなかで、大人にも進路相談が必要になっています。人生100年時代と言われ、生き方や働き方を見直すとき、大人対大人の進路相談があってもいいのではないでしょうか。例えば、現役世代のファミリーが地方に移住したシニアから話を聞くなど。先人に生き方や働き方を聞くというのは、今後も普遍的に需要があると思います」

田中すみれ

Sumire Tanaka

グローバルイノベーションユニット 事業開発統括部 ビジネスプランナー

1994年生まれ。2011年より自身の生い立ちから教育の機会均等を志すように。以降、現在に至るまで10年来子どもの貧困の領域に携わる。早稲田大学在学時に無料塾立ち上げに参画するが、事業継続のためにはビジネスを学ぶ必要があると痛感し、ベンチャー5社でサービスの作り方を学ぶ。その後新卒でNECに入社し、同領域で事業開発に従事(現職)。同時に、高校生向けにキャリア講演を実施し「人生に与えられた条件や不遇はあれど、未来は自分の手でちょっとずつよく変えていける」ことを伝えている。

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