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【プロが解説】改めて知っておくべきRPA。メリット・デメリットは?VBAとの違いは?図解で理解

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働き方改革の文脈でしばしば登場する「RPA」。“Robotics Process Automation”と名指す通り、Robotics(ロボット)による業務自動化のことで、人の手によって行う作業をロボットが代行する仕組みを意味する。Windows11からはRPA拡張ツールと謳っている「デスクトップ向け Power Automate」が標準でインストールされていることなどから、今後ますます自動化や業務効率化は注目されていくことだろう。

 

しかしながら、エクセルVBAなどを用いた従来のツールと何が違うのかと考えている方も多いのではないだろうか。また、そういったシステムの話題はIT部門やシステム部門がやるべきことであり、事務や経理が口を出すのは管轄外といった認識の担当者もいるかもしれない。

 

なぜいまRPAが話題になっているのか、他のシステムツールと何が違うのか、導入のためにはどういったことをしなくてはいけないのか。なぜシステム部署以外の担当者が知っておかなくてはならいのか。今回は、米国UiPath社がグローバルで選考を行う「UiPath Community MVP 2022」において、唯一の日本人受賞者である株式会社オプテージの末武 陽一氏に「改めて知っておくべきRPA」と題してお聞きした。

RPAはなぜ生まれた?

RPAとは

開発企業Blue Prism社のPat Gearyが RPAという言葉を定義したのは2012年。日本でRPAが広まり始めたのは少し遅れて2016年頃だという。

 

「当時は日本の社会環境的にも自動化が注目される時代でした。長すぎる労働時間や少子化問題、業務効率化などのテーマがあり、それらに即効的に解決するツールとしてRPAが注目しはじめました。RPAは他のシステム化・自動化よりも短期間で効果が見えやすく、メリットを享受しやすい特徴があるため、ここ数年で一気に認知が広まりました」

 

総務省の報告によると、RPAを導入済みの都道府県(自治体)は、2019年度調査では85%にものぼっている。末武氏によると、民間企業のRPAの浸透度は大手企業ほど多いという。大手になればなるほど業務が細分化・専門化しており、RPAを適用しやすいためだ。事例では何万時間削減、業務効率化に成功といったものもある。

 

業務効率化といえばマイクロソフトが提供するVBA(Visual Basic for Applications)を利用している方も多いだろう。何かの帳票を半自動で作成したり、集めてきたデータを自動集計させたり、ちょっとした操作の自動化ならマクロでもカバーできる。それら既存のプログラムにくらべてRPAは何が違うのだろうか?

 

「VBAでも様々なことができますが、基本的には付帯するアプリケーションの中で活用するために作られていることが多いです。たとえばエクセルVBAではブラウザやアウトルックといった他ソフトとの連携は不可能ではないが、相応の専門知識が必要になる。RPAは操作系も含めて全般的にカバーする範囲が広く、汎用的な自動化ができるのが特徴です」

 

とはいえ、いまいちピンとこない読者も多いことだろう。たとえば勤怠システムではどういったことが可能なのか。

従来のシステム連携とRPAを利用した連携

「残業時間が一定時間を超えている人にアラートを送りたい要件があったとします。勤怠システムにそのような機能が無い場合、改修をすると多額のコストがかかってしまいますよね。効果も分からない。そこでRPAでは、勤怠システムから該当者リストをCSVで自動でダウンロードし、メールシステムと連携して該当部門にアラートを送る……といった“繋ぎ“が可能です。効果が見えており、いますぐやりたいけれど、従来のシステム改修ではコストや期間がつりあわない業務などにRPAは向いているんです。

 

RPAはこういった汎用的に利用できますが、得手不得手はあります。企業で使われてる基幹システムとの相性も事前に調査が必要です。処理スピードなどもシステム間連携と比較すると劣ります。投資対効果や維持運用コストも踏まえて、使い分けが必要でしょう」

 

現状、RPAがどんな業務に適しているかを次表にまとめた。ぜひ参考にしていただきたい。

RPAは誰でも開発が可能?

RPAの謳い文句として、ローコード・ノーコードで、現場でも開発できるという視点がある。ただしこれにはメリット・デメリットがあると末武氏は語る。

 

「RPAをIT部門が行おうとすると、まず要件定義から進めることになりますが、業務内容を完全に理解が進まないまま進行したり、抜け漏れがあったりするものです。現場ユーザー主導だと、業務内容に詳しいため目的からブレは少なくなる傾向にあります。ただ、運用は誰がどう行うか? システム保守の際にそのRPAが足枷にならないか?といった中長期的視点が抜け落ちてしまいます」

 

現場が声をあげつつ、システムに負荷がかかるような危ない設計を防ぎ、標準化ルールを制定し、管理方法も考えていく……やはりそれらをスムーズに進めるためにはRPAの専門家やプロが間に立つ必要がありそうだ。

 

実際、末武氏が属する組織では200ものRPAが稼働しているが、マネジメントや投資対効果、メンテ責任者や管理ルールなどを社内で制定しているという。他社事例においては、RPAの認定制度を設けたり、リリース前にプロによってレビューするなどのルール化をおこなっているところもあるという。

RPAの効果は削減時間だけか

RPAを採用し「何万時間の短縮に成功」と効果を謳うものがある。それはたしかに効率化の成果といえるものである。が、未導入の企業にとっては、どれくらい時間短縮できるのかはやってみないとわからず、採用を上申しにくいだろう。いったい何をKPIにすべきだろうか?

 

「KPIとしては、たしかに業務効率化やコスト削減が数値として計りやすいでしょう。ただそれだけではなく、プラスアルファや今までにできなかった事ができるようになるといった観点が必要です。

 

たとえばRPAで見積書の提出が早くなったとか、お客さまへのレスポンスが向上したといった、顧客満足度に繋がるものもKPIになりえると思います。決算処理が早くなるなど、わかりやすいメリットもあるでしょう。計測しにくく、コスト換算もしにくいものもありますが、定性的なものもRPAの効果と言えます」

 

ではいま主流キーワードとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈でRPAを語ることはどうだろうか?

 

「RPAイコールDXではありません。たとえば経営を“見える化“するために、各データを集めて解析ツールに落とし込む要件があったとすると、それらの処理はRPAで担うことが出来ますが、これだけではDXではありません。現場にあるデータを扱えるデータにするのがRPAで、あくまでもDXを推し進めるためのひとつになります」

 

よくある勘違いだが、DXとはデジタル化のことではない。デジタル化した先に、どういった変革を起こせるか・課題を解決できるかがDXの本来の姿だ。RPAによってその一端が担えるという解釈がよさそうだ。

群雄割拠のRPAサービス。どれを選ぶべきか?

RPAツールとして世界シェアを占めているのは「UiPath」「Automation Anywhere」「Blue Prism」の3つ。日本市場では若干事情が異なり、日本語対応している「BizRobo!」「WinActor」なども導入数が多いが、他にも多数のRPAサービスが続々とリリースされている。とりわけ、「UiPath」は日経コンピュータ 顧客満足度調査 2020-2021 RPAソフト/サービス部門で1位を取るなど、国内外でも採用されているツールとなっている。

 

また、マイクロソフトも自動化の波を見据えており、Windows11からはデスクトップで利用できる「デスクトップ向け Power Automate」が標準インストールされている。ただこちらは機能に制限があるため、より高機能に使いたい場合は有償版の「Power Automate」を購入する必要がある。「UiPathでも無料版があり試用体験できるようになっていますが、その戦略に近しいものがありますね」とは末武氏。

 

また、現状は一定例業務の自動化として利用されていることが多いが、特定の分野ではAIが組み込まれて高度な自動化も始まっているという。まさにRPA群雄割拠時代といえるが、導入にあたっては何に注意するべきだろうか。

 

「RPAは比較的新しいものなので、いきなり経営層への導入打診は理解されにくい一面があると思います。中長期で見たROI(投資対効果)も踏まえて提示していくほうがいいでしょう。

 

当社の場合はまずはお客様とヒアリングして、既存システムとの相性を探ったり、業務プロセスに応じてPOC(小規模検証)を行うといったケースもあります。コンサルティングを交えた上流の開発もあれば、小規模の開発だけといった規模感にも応じられます。システム部署以外の方でも、まずは現場での課題をご相談いただくだけでも何かお力になれると思います」

 

RPAでどんな自動化が考えられるか。そしてRPAを採用したその先に、何を実現するか。まずは現場や最前線で課題を抱える担当者が、声を上げるところからスタートしてみるとよいだろう。

末武 陽一

株式会社オプテージ プロダクトソリューション部 RPAソリューションチーム チームマネージャー

UiPath社の「UiPath Japan MVP 2019-2021」「UiPath Community MVP 2022」受賞。2021年度においては日本人唯一の受賞者。

RPAの問い合わせ(オプテージ)

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取材:ENILNO編集部 デザイン:ENILNO編集部

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