ENILNO いろんなオンラインの向こう側

メニュー

オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

共有できる家計簿アプリ「OsidOri」のコアユーザーはミレニアル世代。共働きの夫婦・カップルで進む「家計のワンオペ」の終わりとは?

  • オンラインと今。

日本では2000年代以降、共働き世帯は年々増え、2019年には7割近くまで伸びているという統計もある。そんな共働き世帯が大多数を占める時代において、2018年に日本初の夫婦向け家計簿アプリとして誕生したのが「OsidOri(オシドリ)」だ。そのネーミング(=オシドリ)の通り、使えば家庭が円満になるアプリ、ということらしい。従来の家計簿アプリとどう違うのか? その仕組みについて、株式会社OsidOriの共同創業者/取締役である中山知則氏に話を伺った。

共働き夫婦は家計を把握しにくい

OsidOriは、夫婦や同棲カップルが共同で家計管理・貯金できる家計簿アプリ。銀行口座・証券口座・クレジットカードなどと自動連携でき、面倒な入力を省略できるのはもちろん(手入力ももちろん可能)、支出がグラフで表示されたり、目標を決めて貯金できるといったさまざまな機能がある。基本は全機能無料で使えるが、有料プランでは例えば登録できる銀行口座数が無制限になるなど、利便性が増える。2018年のリリース以降ダウンロード数を伸ばし、現在は10万組以上の夫婦・同棲カップルが活用中。コアユーザーは2、30代のミレニアル世代で、オンラインやキャッシュレスに慣れ親しんでいるという点で親和性が高いが、それだけではない。最大の特徴は共働き夫婦・同棲カップルが“2人で家計管理をすることに特化”していることで、これにより『家族が家計共有をできている状態づくり』へのハードルを「ぐんと下げることができた」と中山氏は話す。

「お客さまのインタビュー等から分かっているのが、これまで家計をほとんど共有できていなかった、という夫婦が圧倒的多数ということです。共働き夫婦の場合、お互いのお金を出し合って家計をやりくりするケースが大半で、管理が複雑になります。例えば、お互い決めた額を共通口座に入れ残りのお金は個々の自由に、とか、旦那さんが家賃を払って奥さんが水道光熱費を払う、というパターンなど。共有していなかった理由は、個人と家族のお金が混在して整理できていない、自分のお金の使途も共有しろと言われプライバシーがなくなるのではないかと感じていた、シェアしたいお金だけを共有できるツールがなかった、といった理由が多いです」

 

OsidOriでは共有の口座やクレジットカードの利用履歴、手入力の買い物履歴を、「家族の共有ページ」で2人それぞれのスマホで買い物1件単位から共有することができ、それぞれの家族の支出額を可視化することや割り勘することも可能だ。それに加えて「自分専用のページ」があるため、シェアするところはして、プライベートは個々で管理できる。こうした現代の共働き夫婦が2人で家計管理をすることに特化した機能が、夫婦の家計の見える化に役立つというわけだ。

必要な情報だけを画面越しに伝えれば家計の共有がラクに

中山氏はOsidOri創業前は、ロボアドバイザー(自動資産運用)やFXといった金融サービスでマーケティング責任者等として活躍してきた経歴をもつ。金融業界にどっぷり浸かる一方、プライベートでは共働きである夫婦間の家計の共有がなかなかうまくいかないことに疑問を感じていたという。

 

「もともと日本はフィンテック(金融サービスとテクノロジー)領域のなかでも家計簿アプリの利用は大きく進んでいて、創業の2018年当時から数百万ダウンロードされているアプリは複数ありました。それらをいくつか使ってみると、1人で管理するにはとても便利な反面、夫婦共同で家計管理をするにはなかなか使いやすいものがありませんでした」

 

その課題感を、中山氏は当時通っていたMBAスクールの友人と話すと意気投合。その相手というのが、OsidOri共同創業者/代表取締役である宮本敬史氏だ。同氏は結婚して奥様もいるが、自分の投資や資産を共有していなかったので、もし自分に何かあったときに家族が路頭に迷うのでは、というお金の共有ができていないゆえの不安が常々あった。宮本氏はそのような背景のもとOsidOriの原型となるサービスを考えており、中山氏とともにプロダクト開発を開始した。

個人向けアプリの場合、クレジットカードを登録すると全ての履歴が表示されるので、例えば家賃などの特定の支払いだけを共有したくても全てをさらけ出すしかない。想像してほしい。例えばそこに、数万円する「ゴルフクラブ」や「コスメ」の購入履歴があったとしたら……。それぞれ個人のお金での買い物だとわかっていても、何か納得しきれない自分はいないだろうか。

 

「お金の話は感情的になりやすく、論理的に理解できても情緒的に理解できないことも多い。実際、お客さまの声で『OsidOriの利用前は喧嘩になるからお金の話をしにくかった』といった声が多くあった。アプリなら家族の支出等の共有すべき内容を家族ページに登録し、『入力したので後で見ておいてね』などと”家計の情報”だけを画面越しに伝えられ、夫婦間のコミュニケーションを円滑に行える。また、プライベートを守れないということも大事な家族のお金を共有する障壁になっているのなら、個々のページも設けるべきだと思いました」

家計もワンオペの時代は終わり

中山氏がよく提言しているのが「家計もワンオペの時代は終わり」という言葉だ。

 

「家事や育児はかつての“ワンオペ”が当たり前の世界ではなく、夫婦2人でやるものという認識に変わりつつあります。一方、お金の管理は今もワンオペが多く行われていることが不思議です。特に統計では女性が管理しているケースが多く、家計の入力や管理は地道で大変ですが、その頑張りは相手には見えにくいです。

 

また、管理している女性はパートナーに家計を理解して欲しいと考える一方、パートナー側は相手がしっかり管理できているかを不安に思っており、実は双方が家計について共有認識を持ちたいと思っているのです。

 

そもそも家事や育児同様、家庭のこととして家計も2人で担うべきだと思います。それによりお互いの負担や不安が減るとともに、住宅・教育資金や老後の資金について2人で共通認識を持て、家族としてよりよい意思決定ができるのではないでしょうか」

男性が家事や育児を担う“専業主夫”や、男性が育児休暇をとれる企業も増えている。そのように生き方・働き方に新たな選択肢が生まれているように、金銭感覚にも変化が起きていると中山氏は指摘する。

 

「OsidOriのコアユーザーである20〜30代は、マーケティングではよく“自分が本当に良いと思ったものには積極的にお金を使う”のが特徴のひとつといわれます。また、その良いと思うものに多様性があります」

 

具体的には「給料3ヵ月分をはたいて結婚指輪を買う」「昇進したら高級時計を買う」といったステレオタイプな感覚はなく、世間的に高級・贅沢かどうかは関係なく本当に自分が良いと思うものには躊躇なく払う、ということ。お金の使い道に多様性がある。そうした世代に、夫婦の関係性をフラットに保ち、お互いの意思を尊重するOsidOriが広く受け入れられているのは自然なことに思える。

貯蓄から投資の時代に。家計管理のニーズは増える

こうした家計を2人で管理する流れは今後も加速するだろう、というのが中山氏の見解だ。

 

「2000年代以降、共働き世帯の割合はどんどん増えています。また、働く女性が出産を経て仕事に復帰する率も増え、復帰のタイミングも早くなっています」

加えて注目したいのが、「貯蓄から投資(資産形成)へ」の流れだ。これは2000年代以降金融庁が長年掲げてきたスローガンでもあるが、この動きはこの先10年で急速に進むだろうと中山氏は予測。確かに、銀行に預けてもかつてのような高利子はつかず、現役世代にとっては退職金や年金など老後の不安も大きい。そんななか多くの人が資産運用に目を向けるようになり、売買手数料無料の証券口座や簡単にできる投資アプリも増えている。

 

働き方の変化や投資人口の増加により、お金の管理ニーズが増えるなか、中山氏が目指す未来のOsidOri像はこんなカタチだ。

 

「お金のサービスはこの先、お金のモニタリングだけでなく、お金のナビゲーションをしてくれるようになり、最終的にアクションもしてくれるようになるでしょう。例えば、これまでは収支を記録するだけだったのが『この通信料金なら、通信会社Aへの乗り換えがお得。乗り換えて通信費を節約しましょう』などと提案してくれたり、さらには乗り換えの手続きや購入もそのまましてくれるように。そうしたお金のサービスの自動化が加速するであろうなか、OsidOriもそのようなサービスに進化するとともに他社サービスとも連携し“家族のお金の意思決定”を誰もが正しく、もっと滑らかに行える世界を作っていきたいです」

※記事の内容を一部更新しております。

中山 知則

株式会社OsidOri共同創業者/取締役

アグリゲートサイトを多数展開するウェブクルー、Yahoo!JapanのFXサービスYJFX!などへの勤務を経て、2016年よりロボアドバイザーのウェルスナビでサービス正式リリース時からマーケティング責任者としてBtoCやBtoBtoCのマーケティング全般を担当し、ロボアドバイザーシェアNo.1へ貢献。2018年6月にOsidOriを共同創業。

更新

  • 公式Facebookページ

取材:池尾優

「オンラインと今。」記事一覧

お問い合わせはこちら

CLIP 暮らしにリプする IT・インターネットをより楽しむためのエンターテイメント情報満載

OPTAGE BUSINESS