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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

オンライン会議のようにドローンのライブ映像を共有。災害対応、インフラ点検など活用用途は無限大

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コロナ禍でオンライン会議が普及し、離れた場所にいる人同士がスムーズに打ち合わせをできるようになった昨今。無人航空機ドローンの空撮においても、複数人がリモートでライブ映像を確認し、オンライン会議のような手軽な方法で操縦者へ指示を出すということが可能になってきた。

 

その画期的なソリューションを提案するのが、IT関連の製品やサービスの製造から流通、販売までを行うSB C&Sとリモート接続のソリューションを提供するTeamViewerジャパン(以下、TeamViewer)。この2社が提案するドローンのソリューションはどんな業界に導入されているのだろうか? また、ドローンに求められている役割は今、どのように変化しているのだろうか? SB C&SのICT事業本部の鈴木克哉さんと長谷川裕さんに話を聞いた。

オンライン会議のように、ドローンのライブ映像を共有

動画や写真の空撮で使用するツールであり、昨今は物流や農業への展開も注目されている無人航空機ドローン。使ったことがある人ならご存知かもしれないが、無人機で撮影している映像は、基本的には操縦者だけが手元の操縦機の画面で確認することができる。操縦者から離れた場所にいる人に映像を飛ばすという接続のソリューションはまだあまりなく、録画した映像データをダウンロードしてあとから共有するしかないのが現状だ。

 

「テレビで空撮の生中継を目にすることがあると思いますが、実はあの技術はかなり高度なものです。高額な機材を使い、その操作ができる限られた技術者を起用し、かなり専門性の高いことをやっています。そこで、オンライン会議のサービスのように、もっと気軽にみんなでドローンのライブ映像が見られないだろうか? と考えました」(長谷川さん)

ちょうどそのタイミングに、長谷川さんはTeamViewerが水中ドローンの映像配信を成功させたことを知る。しかも、先方のほうから空を飛ぶドローンで実験してみたいと連絡があった。

 

「TeamViewerさんは、パソコン対パソコン、パソコン対スマホだけではなく、パソコン対ドローンのコントローラーなど専門的な端末との接続ソリューションまで手を伸ばしている珍しい会社です」(長谷川さん)

 

実は他にもオンライン会議や映像共有ができるサービスを提供している会社に問い合わせていたが、動作確認を共同で検証するといった協力は得られそうになかった。

 

「そういったサービスはあくまでもオフィスの中で使用することを前提としているのです。そのため、そのようなサービスを提供する方々にとってドローンは屋外で飛ばすイレギュラーなものだから、一緒に検証などをやろうと誘っても難色を示されました。ですがTeamViewerさんは、オフィスの外へ目を向けて新しい切り口に挑戦し、新しい市場を開拓していくことに意欲的でした。実証実験は関東の山奥で行ったのですが、エンジニアたちが同行し、手厚くサポート。メーカー側からフォローがあったことは大きかったです」(鈴木さん)

こうして実証実験は無事に成功し、3月よりドローン本体や関連機器、そしてTeamViewerのライセンスなどのセット販売を開始。パソコンやスマートフォンにTeamViewerのアプリをダウンロードし、IDとパスワードを入力すれば簡単に空撮映像がリアルタイムで共有可能になった。これまでは、ドローンの機種に合わせて専用のアプリやソフトウェアを開発しなくてはならず手間がかかっていたが、設定は10分程度、ドローンとライセンスを購入後すぐに利用できるようになった。

人の目となり足となり、建設現場や災害現場を飛ぶ

ドローンとTeamViewerのライセンスのセットは、どのような現場で導入されているのだろうか?

 

例えば、企業が自社のプロモーションビデオを制作する際に、大勢でロケハンに行くのが難しいというとき。ドローンの操縦者だけを現地に派遣し、TeamViewerで映像を飛ばせば、遠隔地にいる制作チームやクライアントがリアルタイムで撮影レイアウトの微調整や確認を行うことができる。そのほか、土木・建設系の会社が建物の外壁を点検する必要があるときなど。建設現場が交通の便が悪いところにあったり、メンバーが行けなかったりする場合でも、この仕組みを活用したら簡単に解決する。さらに、近年インフラの老朽化が問題視されるなか、ドローンによる点検にも注目が集まっている。日本中を張り巡らす線路や送電線を点検するためには労働力も時間も要するが、機械化することにより効率化が図れるだろう。

「今ドローンが求められている一番の役割は、人の目の代わりになって人間の足では行けないような場所を撮影することだと思います。山の中や高いところなど、人が行くとコストがかかったり、危険だったりする場所ですね。2021年7月に発生した熱海の土砂災害の現場でも、多くのドローンが飛んでいました。災害で道が塞がるなど、これ以上は近寄れないというときに、ドローンは現場の把握に役立ちます。特に水害や台風などのあとの被害情報の収集にもよく使われています」(長谷川さん)

また、測量現場や建設現場の日々の進捗管理にも活用されている。ドローンは正確に同じ場所から定点観測できるため、前回撮影したデータと照らし合わせば工事や建設の進捗状況がよくわかる。さらに、複数の写真を繋げてマップ化すれば、そのマップから作業範囲の面積や体積などを算出することができるなど、空撮画像の活用用途も広がりつつある。

ソフトとハードの組み合わせで、新しい価値を生み出す

TeamViewerはドイツに本社を置くが、今回ドローンとTeamViewerを組み合わせた事例を日本側から報告したところ、思わぬ反響があった。

 

「『そんな仕組み、聞いたことがない!』という反応で、すぐさま事例のレポートが英訳されて、世界各地にある支社へと展開されました。TeamViewerにとっても、ドローン関連の機器にソフトを応用するのは初めての試みだったようです。日本発信で新しい仕組みをつくることができました」(長谷川さん)

SB C&Sは、TeamViewerのようなソフトウェアを取り扱う一方、DJI社を中心としたのドローン本体や関連機器、またドローン以外にも豊富なIT関連の製品の卸を行っており、デジタル機器の総合商社のような側面を持つ。そこで、次なる展開としては「今回のように今まで結びついてこなかった機器とソフトウェアを組み合わせて、サービスの幅を広げていきたい」と鈴木さんは話す。

 

例えば、自動運転で走るカメラを搭載した無人ローバーとTeamViewerを組み合わせたり、ドローンと高精度の測量ができるソリューションを組み合わせたりするといった展開だ。

「ここ数年で、サーモグラフィで熱を分析する、3Dで測量する、暗いところを撮影するといった多様な機能をもつドローンが次々に誕生しています。そこに画像処理ソフトウェアやAIを使った分析ソフトウェアを組み合わせれば、新しいサービスが生まれます。たとえば農業の分野では、ドローンで圃場を正確にマッピングし、ドローンによって効率的に農薬散布を行えるサービスが開発されています。また、ドローンの空撮により農地のデータを取得することで農作物の病気に気づき、生育管理をするという仕組みも展開しようとしています。適切なソフトウェアとハードウェアを組み合わせることで、相乗効果を生み出したいです」(長谷川さん)

鈴木 克哉

Katsuya Suzuki

ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 ビジネスソフトウェア推進統括部 販売推進部 パートナービジネス推進課 (担当課長)

IT業界でCAD/CAM系の販売ソリューションやMicrosoft Projectを活用したプロジェクトマネジメントサービスの新規事業立ち上げを手掛けた後、転職活動を経てSB C&Sへ中途入社。入社後はさまざまな製品の販売推進を担当し、現在はドローンを中心としたソフトウェアや周辺機器を含めた販売推進を行なっている。

長谷川 裕

Hiroshi Hasegawa

ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 ビジネスソフトウェア推進統括部 販売推進部 パートナービジネス推進課

印刷会社、半導体商社を経て2018年にSB C&Sへ中途入社。前職ではIoT・ワイヤレス系の製品企画や販売推進に従事。現職ではその経験を活かし、ドローンやIoT/AR製品に関連した販売推進を担当している。

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取材:橋本安奈

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