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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

コネなしSEがたった1人で日商2,000万円達成。「24hブラ」が大ヒットしたワケ

インフルエンサーがプロデュースした商品は、その知名度から圧倒的リーチを誇り、集客や売り上げに大きく貢献する。

 

ところが、発売開始1分で完売し“幻のブラ”とSNSで話題を呼んだノンワイヤーブラ「24hブラ」を生み出したのは、起業したばかりの無名の26歳の女性だった。

 

ランジェリーブランド「BELLE MACARON」で、24hブラを展開する株式会社ashlynの代表取締役・小島未紅氏に、24hブラのヒットの法則を聞いた。

小島 未紅

Miku Kojima

株式会社ashlyn 代表取締役

1991年生まれ。新卒でIT企業にシステムエンジニアとして入社、2016年に株式会社ashlynを創業、アパレル未経験ながらノンワイヤーブラ専門ブランド「BELLE MACARON」を設立。オリジナルランジェリーである「24hブラ」はSNSを中心に話題を集め、2021年7月には最高日商2,000万円以上を記録。

UGCの生み出し方は?24hブラがヒットするまで

起業以前は、新卒で入社したIT企業でシステムエンジニアとして多忙な日々を送っていた小島氏。そのうち、長時間ブラを着用することでワイヤーによる締め付けが気になり、作業の集中を妨げられるようになったという。

 

ノンワイヤーブラに切り替えてみるも、“ラクさ”を追求すると、胸をサポートし美しいバストラインをデザインする機能面が物足りなくなる。何より、いわゆるスポーツブラはシンプルなデザインが多く、なかなか心躍るものが見つからない。

 

そこで自ら「かわいい・ラク・ノンワイヤー」を兼ね備えたブラを開発すべく、IT業界から一転、アパレル業界へ足を踏み入れた。コネも当てもなく、ひたすら縫製工場へ掛け合い、ファッション領域のプロダクトデザイナーを口説き、地道に開発を続けた。起業したのは社会人3年目になる時だった。

 

「着け心地がラクだとホールド力が弱まるうえに、24hブラはデザイン性を重視しているゆえに布面積が少なく、ラクさとかわいさを両立するのが大変でした。そこでフィット感を実現させるストレッチ素材のレースを採用。さらに、バストの横流れを防ぎバストメイクする谷間寄せパネル、そして深さのある特注パッドを開発するまでに2年、そのうち商品改良に1年かけて、現在の24hブラが誕生しました」

UNIQLOのブラトップにはない総レースのデザイン性と、ひとり一人の胸の形にフィットする機能性を両立させた24hブラ。購入窓口はコマースプラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」で、情報発信は自身のTwitterアカウントをメインに行っている。顧客との接点がSNSのみになるため、必然的に口コミもSNSに流れるようになった。小島氏はこれらをくまなくチェックしており、全ての投稿に感謝のコメントを添えている。

 

「購入いただいたお客様から『ラクな着け心地だから産前産後も使える』と口コミが投稿され、さまざまなシーンで活用できることをお客様の口から宣伝いただけてありがたかったですね」

 

とはいえ、どんなに良い商品でもブラジャーは表立って良さを発信しづらい商品。SNSではテキストだけでなく、写真も重要な口コミ要素だ。そこで、思わず写真もアップしたくなる仕掛けを設計した。

 

「写真とともに口コミを投稿するのは難易度が高いと思うので、投稿しやすいようにラッピングにこだわりました。ほかにもロイヤルカスタマーには暑中見舞いやクリスマスカードを送っていて、下着以外でリアクションできる点を積極的に増やしています。もちろん、感謝の気持ちが一番ですが、結果的にこのような心がけに喜んでもらえている気がします」

 

こうして口コミが拡散され、今や8割がTwitterから認知・購入に至っているという。

話題性より信頼性。消費者が安心できる運営と品質の高さでリピーター増

「24hブラを知ってもらうきっかけになったのは、Twitterで5万いいねがついた『ブラジャーの干し方』についての投稿によるものでした。その時1,500フォロワーくらいだったのですが、その後も何度かバズって、2.6万フォロワーまで伸びました。Twitterは悩みや共感、再現性がある有益さが重要なので、たびたびそのような話題をツイートしたからだと思います。ですが、購入してもらうにはフォロワー数よりどれだけ拡散されたかが重要です。

 

日商2,000万円を達成できたのは、フォロワーが増えたり、バズったりしたことが直接の要因ではなく、バズった後のUGCの醸成によるものだと思っています。UGCを醸成できたのは、何よりも商品のクオリティ。そして、ユーザーファーストを徹底した基本的運営にあると信じています」

 

小島氏は24hブラのヒットした要因をそう分析する。実店舗を持たずに、「Shopify」とSNS運用だけで売り上げた秘訣は、消費者が安心して購入できる運営と品質の高さにあるようだ。

「実店舗がない無名ブランドの商品は信頼を勝ち取るのが難しいですが、だからこそまずは集客や話題作りより、買って後悔されないクオリティの追求と、安心して購入してもらえる運営を徹底しました。

 

商品を購入してもらっても、発送が遅延したり、不良品だったり、どんな些細なトラブルでも無名のブランドはそれが命取り。今はなんでもSNSで拡散されてしまいます。

 

ですから、決済後注文確認メールや発送メールが届き商品を追跡できるとか、公式LINEにきたお問い合わせは24時間以内に返信するとか、当たり前のことを徹底しました」

2019年のサマーセールでは、3ヶ月分が3日で売り切れるほど注文が殺到したが、自宅を埋め尽くす100個の段ボールの山を、家族の協力を仰ぎながらもたった3営業日で発送した。

 

「なんとかミスなく乗り切りましたが、このままだとトラブルが発生しかねないと思い、発送業務は外注に切り替えました。安心安全なフローの確立を徹底する上で、このサマーセールは転機になりました」と振り返る。

 

24hブラは安全安心の運営ができて初めて商品の良さを知ってもらえるフェーズに入る。そして、その確かな品質ときめ細やかな感謝の気持ちが購入者の口コミにより拡散され、ブランドの確かな信頼を勝ち得ていった。最後に、今後の展開について聞いた。

 

「今後は海外展開も進めていきたい。Shopifyはひとつの管理画面で最大20の言語に翻訳が可能なのでスムーズに海外への販売も始められると感じています。これからも下着を介してより多くの女性の日常をもっと快適にしていけたらと思います。そのためにも、ブランド力を高めて引き続きSNSで発信していくつもりです」

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