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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

カロリー計算だけじゃない。体重予測や健康リスクまで管理する「カロミル」の次の一手

世の中には様々なブームやトレンドが発生しては消えていくが、ダイエットはいつの時代も人々の関心を集めている。最近は健康志向の高まりも強く、食事や栄養、体重、運動などを管理するツールが増えた。

 

なかでも「カロミル」は2016年にローンチして以来、95万ダウンロードを突破した人気健康管理アプリである。カロミルを開発したライフログテクノロジー株式会社の阿万広大氏に、競合他社との違いや開発までの苦労など話を聞いた。

阿万 広大

ライフログテクノロジー株式会社取締役 Founder & CTO

早稲田大学大学院修了。1981年生まれ、宮崎県出身。大学では「脂肪細胞の分化過程」について研究(生活習慣病を予防する研究)。大学院では専攻をコンピューターサイエンスに変更し機械学習の研究。フィンランドなどの複数の国際学会で研究論文が採択された経験を持つ。自らの過去の経験(生活習慣病、機械学習)を活かして、ライフログとテクノロジーで「人の健康寿命を長くしたい」という想いから、2016年ライフログテクノロジー株式会社を代表取締役 CEO棚橋と共同設立、取締役兼CTOに就任。

健康領域のエキスパート「カロミル」とは

まずは機能面。カロミルは前出のベーシックな機能に加え、食事や運動習慣から3カ月後の体重予測をしたり、設定したカロリーを超えてしまっても1週間以内で帳尻合わせできる仕様だったり、継続するモチベーションになるような機能を搭載している。

 

実際に筆者も複数の健康管理アプリを活用中だが、ほかのどれよりも精度高く認識してくれるので、手入力が不要なのもありがたい。有料版にアップグレードすれば食事提案機能や血圧・血糖値の管理も可能だ。

そのなかでも、特許を取得した“自動アップロード”機能は、アプリを立ち上げなくてもスマホで撮影した画像からAIが食べ物だけを認識・抽出し、自動アップロード・解析する便利な機能だ。

 

影にならないように真俯瞰で撮影するなど、撮影条件さえ整えればさまざまなおかずが乗ったワンプレート料理も認識可能。スーパーやコンビニのPB商品やファミリーレストランのメニューなど、新商品の認識も比較的早いスパンで対応している。

出資されずにポケットマネーで苦節3年、成功の鍵は社員の何気ない“ぼやき”

この自動アップロード解析を開発するに至るまで、実は会社存続の危機に立たされていたという。

 

「投資家からお金を集めて会社を運営していこうと考えていましたが、アプリ開発から2年経っているのに大きな投資もなかったんです。ユーザーもたくさんいたし投資家からの評判もよかったのですが、出資を受けるまでに一歩足りず。ですからポケットマネーで給料を払っていて、いよいよ首が回らなくなってきたんです」

投資家へのプレゼンが2ヶ月後に控えていて、どうしてもそこで目を見張るテクノロジーを発表しなければならない状況に立たされた。どんなAIを開発したらいいのか頭を抱えていた中での、決起集会。初期メンバーでお酒を交わしながら議論した。

 

「みんなの中でも食事の画像解析は便利になるんじゃないかと思っていたのですが、『撮影してアプリ立ち上げてアップロードして解析待つ工程って、ちっとも進化していない』という意見も出て。そんな中一人の社員が『じゃあ自動で食事の写真だけをアップロードしたらいいんじゃないか』と発言して、議論が白熱していた全員の動きが一瞬ピタッと止まったのを覚えています。自動アップロードを開発しようと満場一致で決定した瞬間でした」

 

しかし、残された期間はたったの2カ月。そこで、エンジニアや管理栄養士、社員の家族まで総動員で写真収集に1カ月、収集した写真をAIに学習させるのに1ヶ月かけた。

 

「はじめは赤ちゃんの頭の画像をキウイフルーツと判別したりしたので、何度もいろんなパターンの赤ちゃんの写真を覚えさせました。学習は順調に進んだのですが、AIをバックグラウンドで学習する設定にし忘れていたことに途中で気がついて。パソコンの電源を誤って抜いてしまったら、一発アウトな状態でした。何事もなくてよかったですが、あれは本当に焦りました」

 

こうして2カ月というハイスピードで投資家のピッチに間に合わせ、無事投資してもらうことに成功した。とはいえ、小売商品や外食商品は目覚ましいスピードで入れ替わる。写真が自動アップロードされてもそれが何かを認識できなかったら意味がない。

 

「公開されているデータは企業からリリースとして直接いただくこともあるのですが、基本的にはプログラムや人間の手で収集しています。栄養が明かされていない商品は管理栄養士が即座に解析。だいたい数分で対応してくれます。

 

大手の商品は週1で新規商品が出ることがわかっているので、現地に出向いて調べたり、企業のSNSをチェックしたり、極力リアルタイムに反映できるように動いています。今で言うとマリトッツオなど人気商品やトレンド商品は、より優先度高く調査します」

 

デジタルとアナログどちらも使って地道にデータ収集をしているようだ。管理栄養士だがやっていることはマーケッターにも近い。

パーソナライズされた健康リスク予測と対策を展開

現在ソフトウェア企業から製造業まで、業界の垣根を超えて協働しているカロミル。次の打ち手を聞いた。

「現代人が抱える健康リスクに対峙していきたいと考えています。具体的には健康診断結果の紙を写真撮影したら健康状態がわかるものを検討しています。パーソナライズされた健康リスクの予測・対策を出せるように、来年を目指して開発しているところです」

 

また、「デジタル(AI)とアナログ(人)の共存を目指している」と話す阿万氏。

 

「ダイエットや健康管理において、糖質制限や脂質制限など人によって適切なパターンがそれぞれあるので、それはAIが考えて提案してもいいと思っています。だけどその提案を伝えるコミュニケーションの部分は人がいいと思う。人は寄り添うことができるし、モチベーションを上げてくれる、心配してくれる。人が心身ともに健康でい続けるためには、そういう感情の部分が大切だと思っています」

  • 公式Facebookページ

取材:藤田佳奈美

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