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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

コロナで変わった“食”との接し方【オンラインのある暮らし2021まとめ】

2021年も年末に差し掛かり、世の中が少し慌ただしくなる頃。例年なら忘年会はじめ様々な外食のシーンが増える時期ではあるが、昨今のコロナの影響を受けて様子が異なるようだ。東京都の認証を受けている店舗では、これまでの1グループ当たり4人までの食事が8人までに拡大。2022年1月16日までがその期限だ。ルールを軟化させたことで、多くのお客さんでお店が賑わっているかと思うと、実はそうでもない。飲食店に人が戻っていないニュースはいくつも出ており、アンケートの結果でも20時以降に飲食店に向かう人は過半数を下回る。忘年会の是非を問う声は多方面から聞こえており、その反面、家飲みの商品として微アルコールをはじめ、アルコール度数・果汁の濃さが細分化された商品が次々と登場。消費者の選択肢が増えている状況だ。また、このコロナ禍において、人々は柔軟に生活様式をシフトさせたことも忘れてはならない。それらを可能にしたのはオンラインの存在ではあるが、今回は過去取材した4つのプロジェクトをまとめてご紹介する。

フィンランド初の宅配代行サービス「Wolt」

まず、ここ数年ですっかり市民権を得たのが宅配代行サービスだ。スマートフォンのアプリなどで食事や雑貨などが注文でき、その後、速やかに配達員がお店で対象の品を受け取り、自宅やオフィスといった指定したお届け先まで運んでくれるのだ。コロナ禍において外食の自粛が長く続く中、都心部を中心に身近なサービスと成長していった。

その一つが、フィンランド初の「Wolt」だ。鮮やかなブルーのウエアでお馴染みではなかろうか。本国では2014年から、日本では2020年からサービスが実施されている。欧州各国で、フードや雑貨、家具などのデリバリーサービスを展開。日本でも、コンビニエンスストアやデパート、ドラッグストアと提携している。最近では、コストコホールセールジャパン株式会社の商品取り扱いをスタート(2021年8月)。「コストコ札幌倉庫店」「コストコ富谷倉庫店」では、コストコのプライベートブランドであるカークランドシグネチャーの商品や、人気の食料品や洗剤、パーソナルケア商品など、約1500品目が扱われており、様々なニーズに応える。

 

「フィンランドは悪天候が多く人口密度が低いなど、もともとデリバリーに不向きな土地。そこで〈Wolt〉は、いかに時間内に多くの配達ができるか?正確な時間に配達できるか?などの課題を、高度なテクノロジーによって効率化してきました」

 

こう語るのは、Wolt Japan カントリーマーケティングマネージャーの新宅暁さん。実は、業界でも珍しい「同時配達」を採用しているのだ。一つの店で商品を受け取り、一箇所の顧客に届けるのが従来のやり方。だが、Woltは多数の飲食店から連続でピックアップした後に、続けて届けることが可能。これができるのは、過去―現在―未来の配達パートナーの位置情報と、近隣店舗のオーダー状況を俯瞰して把握し最大化する、高度なシステムがあるから。業界では「最高水準のアルゴリズム」と言われている。

コロナだから盛り上がっているわけではないと新宅さんは指摘する。

 

「世界的な潮流としてフードデリバリー需要が高まっていたので、日本でのニーズが拡大したのも自然な流れと捉えています。時代的にプライベートの充実に意識が向き、自宅で良い体験をしたい人が増えているからだと思います」

 

世の中の矢印が、内側に向かったここ数年間。自宅での素敵体験への需要が高まっているようだ。

 

「ごちめし」「さきめし」「びずめし」が変える食の当たり前

そんなWoltと実証実験を進めているのが、感謝や応援の気持ちを食事とともにお届けするフードテックサービス「ごちめし」「さきめし」「びずめし」を運営するGigi株式会社だ。

 

オフィスや自宅の近く、テレワーク先・営業先どこでも街の飲食店を社食のように利用できるのが「びずめし」だ。「都心で働く社員と地方支社で働く社員のランチ格差」「リモートワークが増えて利用が減った社員食堂」「食事補助したいけど社員食堂を作るのは難しい」と、社内の福利厚生に困っている企業が導入することが多い。1,600の加盟店舗があるため、社員は楽しく食事をすることができる。リモートワークが拡大・定着する中、Woltによるデリバリーの導入を実証実験し、将来的にはその結果を踏まえ、「社食デリバリーモデル」の全国展開を目指すとのことだ。

 

同社でまずリリースしたのは「ごちめし」だ(2019年末)。登録されている飲食店をアプリ内で決済すると、誰かに“食事を贈る”ことができる。友達や家族、知り合いへのギフトに最適。住所を知らなくとも、メールやLINEで送付可能なのだ。チケット購入から最大180日間使えるため、相手のスケジュールを確認する必要もない。“ごちる”(食事を贈る側)人が代金の10%を手数料として支払い、“ごちられる”(食事を贈られる側)人は無料で利用できる。そして飲食店にも負担はない点も特長だ。

「イタリアにある、“サスペンデッド・コーヒー”という習慣を思い出しました。自分のエスプレッソ代と合わせて誰かのエスプレッソ代を払うというもの。少し多めに払うだけで、誰かの食事と、飲食店を支援できます。この仕組みをオンライン上で実現すれば、全国の飲食店支援が叶うのではないかと考えました」

 

コロナの影響を大きくうけた飲食店を支えるアイデアが「さきめし」だ。“今は行けないけれど、なんとか好きな飲食店を応援したい”という消費者の声に応え、食事代を先払いする「さきめし」をリリースした。サントリーから1億円の協賛金を受けたことでも注目された。

お気に入りのパンの焼き立てを購入できる「Sacri」

続いて、パン好きを喜ばせているサービスがある。Sacriだ。街のパン屋にあるお気に入りのパンを、どこからでも簡単に事前決済・取り置きができるサービスだ。日中は働いて動けない人や、遠方ですぐに取りに行けない人、並ぶことが難しい人でも、等しくお気に入りのパンが受け取れるシステムだ。前決済のため入店時にはスムーズ。お子さんと一緒でも手間をかけることはない。コロナ感染対策として、スマートな買い物は嬉しい限りだ。サービスローンチ1年を超えたばかりだが、3万人以上が会員となり利用している。

お気に入りのパンを買いに行ってもそれがなかったら……。パン屋さんは売り切れたからといって、焼き上がるまでに時間がかかるため、すぐには提供できない。かといって多めに作っても在庫を抱えるリスクがある。お客さんも都合の良い時間帯にしか買いにいくことができないし、朝一に並ばないと手に入らないパンは夕方に行っても買うことができない。この双方の悩みをビジネスチャンスに変えたのがsacriだった。

 

「全国的に有名なパン屋さんじゃなくても、食べてみたいニーズってあるんだと思いました。それだけユーザーの皆さんが、自分の生活圏からかけ離れたところまで全国各地のピンをすみずみ見ていた」

 

こう語るのはsacri代表取締役CEOである大谷パブロ具史さん。パン好きの熱量の高さに驚いたという。今後は、各街の名店のパンを一堂に集めた移動型のパン屋「Marché Bakery(マルシェベーカリー)」を、株式会社Mellowと共に共同プロジェクトで開始するようだ。移動販売の利点を生かし、移動ルート上のパン屋さんから商品をピックアップして効率的に複数のお店のパンを集荷し販売。顧客はお店まで出かけなくても、生活圏のなかで複数のパン屋さんのラインナップが楽しめる。新たなパンとの出会いが楽しめそうだ。

廃棄の危機にある食品を消費者がお得に購入できる「TABETE」

より身近なところでこのフードロスゼロを体験できるのが、オンラインプラットフォームがTABETE(タベテ)だ。廃棄の危機にある食品を消費者がお得に購入することができる。“本来食べられるのに捨てられる食品”を意味する、食品ロス(フードロス)だが、チーフシェフを務めたこともあるなど、飲食業界に長く関わってきたTABETEを運営する株式会社コークッキング代表取締役CEOの川越一磨氏は、この課題を重く受け止めていた。TABETEでは注文から会計までがオンラインでできるが、商品の受け取りはユーザーが直接店舗に赴く、テイクアウト形式をとっている。その理由をこう語る。

 

「購入した方には、食べ物をレスキューした・困っているお店の役に立った、と感じていただきたいので、あえてそうしています。商品の受け渡し時には、『ご協力ありがとうございます』と心を込めて言ってくれるお店の方も多いようです。そうしたちょっと不便な部分をあえてデザインしていく、というのが、実はこれからの社会で重要なのかなと思います」

 

消費者と生産者・事業者間の心の通い合いが生じる。TABETEが“現代版おすそ分け”と例えられる所以だ。そんな企業の理念が大きく現れているのが、コロナ禍に誕生したECサイト「レスキュー掲示板」だ。生産者やメーカーが、何らかの理由で売れなくなってしまった商品を消費者に届けることができる。現在は月間約200種類の商品を扱っている。

「1・2次産業の方に多数相談をいただいたことから、昨年の緊急事態宣言時に急遽実験的に立ち上げました。その後も継続的にご依頼をいただいたため、本格的な運用を始めました」

 

有事の際によりスピーディーに動けるのがオンラインサービスのメリットだと言えよう。こちらもプラットフォーム化から、社会課題を解決する手がかりをつかもうとしている。

 

 

今回紹介したサービスは、どれもコロナをきっかけに一般化されたと言えるだろう。オンラインを駆使し、世の中の課題を解決していくサービスの誕生や醸成は、我々の生活を豊かにしてくれるはずだ。コロナがあってより加速化された感はあるが、便利な世の中は歓迎したい。今後も更なる充実したサービスを開発するであろう、“食”をテーマにした企業たちについて、エニルノは2022年も並走していく。

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編集:エニルノ編集部

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