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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

コロナ禍でも”強い”ファッション業界のサブスク『airCloset』

スタートアップの道を進む者たちは、“失敗の専門家”である。そんな挑戦者たちの過去を紐解き、何を学び、そして未来に生かされていくのか……。混沌としたいまの時代に大切なのは、「修正力」だ。彼らの力に注目する。

 

プロのスタイリストがコーディネートした洋服をレンタルできる月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」。新型コロナウイルスの感染拡大により、アパレル小売業界が打撃を受ける中、airClosetは順調に新規会員を獲得、2021年2月で立ち上げから6年を迎える。代表取締役社長 兼 CEOの天沼聰氏にこれまでの道のりを聞いた。

天沼 聰

SATOSHI AMANUMA

株式会社エアークローゼット代表取締役社長 兼 CEO

アビームコンサルティングのIT・戦略系コンサルティング、楽天のWEBグローバルマネージャーを経て、2014年エアークローゼットを創業。2015年サービス開始。一般社団法人日本パーソナルスタイリング振興協会理事、一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会理事、一般社団法人シェアリングエコノミー協会幹事。

 株式会社エアークローゼット代表取締役社長 兼 CEO 天沼聰

知識も経験もコネクションもゼロで起業

airCloset

300ブランド以上・約35万着の中からプロのスタイリストがコーディネートした洋服をレンタルできる月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」。わざわざ店舗に出向かなくてもオンライン上で一連の手続きが完結するため、働く20代から子育て世代まで多忙な女性を中心に人気を集めている。

昨今は新型コロナウイルスの感染拡大により、アパレル小売業界が打撃を受ける中、airClosetは順調に新規会員を獲得している。

 

シェアリングやサブスクリプションの歴史が浅い日本でも、同サービスは2021年2月で立ち上げから6年を迎える。代表取締役社長 兼 CEOの天沼聰氏はこれまでの道のりを「泥臭いことをたくさんこなしてきた」と振り返る。というのも、創業者メンバー全員が、ファッションの知識もコネクションもゼロからのスタートだったからだ。

 

「創業メンバーは私を入れて3人いるのですが、“ライフスタイルを豊かにしたい”というビジョンのもと、それを実現するためにどういう事業を展開していくか検討し、結果的に手段としてファッションにたどり着いたという経緯がありました。ただ、全員ITコンサル出の人間だったので、業界とのつながりは3人のSNSを集結させても皆無で(笑)。まずは友人の友人に業界関係者がいないか聞いて回ることから始めました」

 

各自のSNSで呼び掛けたところ、知人経由で業界人を数名紹介してもらえることに。実際に会いに行って話を聞き、その方からまた業界人を紹介していただく、いわゆる“テレフォンショッキング形式”でファッションのイロハを学んでいく期間が続いたという。

 

「並行して、お洋服を管理するための倉庫会社との連携も課題でした。何十社もの倉庫会社に出向いたのですが、お洋服がまた倉庫に戻ってくる前提の業務フローやシステムが前例としてなかったので、ほとんどの倉庫会社に断られてしまいました。いきなり壁を感じましたね」

 

そんな最中、企業理念に共感した倉庫会社〈寺田倉庫〉と業務提携を組むことに成功。ゼロから業務フローを描いてシミュレーションし、少しずつ実現に近づいていった。

 

同じく課題として、提携先のブランドの確保も急務だった。

 

「ブランド様とコネクションも皆無なので、直接往訪しました。でも、いきなり行っても門前払いで。次の手として、お手紙を書いて届けました。さらにメールや電話もしてみた。今でこそ300ブランド以上のお力添えをいただけていますが、地味に一歩一歩進んできている会社だなと改めて思います」

ユーザーからの意見がサービス向上&拡大のヒントに

愚直に情熱を伝え続け、信頼関係を築き、無事ローンチに。ただ、今日に至るまで一日もひと息ついたことはないという。

 

「お客様の期待値と違うスタイリングをしてしまうことや、ほつれがあったとご指摘が入ることはあります。後者に関しては、レンタルアイテムの品質としてどこまで許容されるのかという線引きもありますし、悩ましいですね。なかでも、サービス開始当初はお洋服のニオイが気になるというご意見に頭を抱えました」

実はハウスクリーニングのほとんどはドライクリーニングを行っているのだが、そもそもドライクリーニングはニオイを落とす洗い方ではないのだそう。自前の服をクリーニングに出してもニオイが気にならないのは自分のニオイだからであって、クリーニングから戻ってきた服にはしっかり自分のニオイが染み付いたままなのだ。ともすればシェアリングした服はクリーニング後でも、嗅ぎ慣れた自分の匂いとは違う他人のニオイが残っているということになる。

 

「ドライクリーニングでニオイを落とすことは難しいので、ニオイ対策は何度も試行錯誤しました。今は特殊な洗剤で水洗いをすることで対応しています」

 

ユーザーの声に真摯に向き合ってきているからこそ、サービスはより磨きがかかっていき、さらに新たなサービスにも挑戦することができる。たとえばスタイリスト指名機能やアルバム機能の導入は、ユーザーの声から生まれたものだ。アップデートは常時欠かせない。

時間の使い方を見直せば、生活が豊かになる

昨今の展開として注目なのが、商品を納得するまで試してから購入を検討できるメーカー公認月額制レンタルモール〈airCloset Mall(エアクロモール)〉だ。

 

airClosetの月額レンタル制のフォーマットを応用し、カメラの〈Nikon〉やふとんの〈西川〉など、洋服以外のアイテムもレンタル可能にした。実際に購入する前にお試しし、自分のライフスタイルにフィットするかどうか確かめることができる。

 

ほかにも雑誌〈Oggi〉のファッションの世界観をリアルに体験しながらお買い物ができる〈Oggi BOX〉や、プロのスタイリストがネットの買い物にオンライン同行するコース等を提供している〈airCloset Talk(エアクロトーク)〉など、昨今の展開はオンライン上で完結できるスムーズさがさまざまなシーンで求められているようだ。

その背景には“時間”が関係している。インターネットの普及により膨大な情報の海に溺れ、“取捨選択疲れ”をしている現代人。さらに輪をかけて、結婚や出産、育児などのライフイベントの発生により、自分に時間を割けなくなる女性は多い。

 

「お洋服は身に纏うものなので、お気に入りの一着を着ている日はずっと気分がいいですよね。だけど多忙な現代女性は、お洋服探しのために時間をかけられなかったり、疲れていて探すことすら億劫になったり、手持ちのお洋服でなんとかしようにもマンネリ化したコーディネートで気分が乗らなかったり……。ただでさえ限りある時間なのに、お洋服選びでネガティブに過ごすのはもったいないなと思っていて」

 

時間の使い方の優先順位は人それぞれだが、洋服選びの手間が省ければ、浮いた時間をほかのことに有効活用できるようになる。airClosetを利用すると、膨大な選択肢から適切なものを選び取ってもらえるだけでなく、ライフスタイルの見直しもできそうだ。

 

「お気に入りの一着に出会えたら胸が躍りますよね。手間をかけずに新しいファッションとの出会いを楽しめたら、ワクワクする時間が増えてQOLが上がると思います」

コロナでも揺るがないのがオンラインサービスの強み

オンラインサービスは、時間がない現代人の味方。特に、このコロナ禍ではその強みを遺憾なく発揮している。

 

前出の〈airCloset Talk〉は、zoomを通してスタイリストから洋服選びのカウンセリングを受けられるサービスだが、これによって、リアルイベント需要の低下により稼働が激減したスタイリストは生活を支えられたという。

 

ユーザーのQOLの向上はもとより、スタイリストの活躍を応援することができた。まさにオンラインサービスの副次的効果といえそうだ。

シュリンクしていくファッション業界を変えるオンラインサービス

コロナは人類にとって確実に大きな変化をもたらした。先行き不透明な時代を生き抜くには、オンラインを有効活用していくのが最善の選択かもしれない。

「これからの消費活動は、店頭で試して接客されて購入するという従来のスタイルから、オンラインで接客されて購入するスタイルに一部切り替わっていくように思います。ファッション業界はここ数年シュリンクしていく流れですが、Eコマースはニーズが高まっていく。これによって行動の取り方が多様化するので、我々としては行動の選択肢を増やしていきたい。新しいアイテムの探し方・出会い方の多様化に対応していきたいと思っています」

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