NEWS

ENILNO いろんなオンラインの向こう側

メニュー サイト内検索
閉じる

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「スマホ充電不要!」「1000歳まで生きられる?」東大教授の雑談から生まれた未来予測

書籍「東大教授が語り合う10の未来予測」(大和書房)が評判を呼んでいる。2023年11月に発売して早々、重版がかかった。東大教授が「雑談」を通して語り合う未来は、夢にあふれ、かつ本当に実現可能なのではと思えてくる。同書の編著である経済キャスターの瀧口友里奈氏に、同書の解説と舞台裏、そして自身が未来に寄せる思いを聞いた。

知の巨人たちの雑談から光る新発想

「雑談」と聞いて何をイメージするだろうか。好評を博している書籍「東大教授が語り合う10の未来予測」は、もともとは東大教授たちによるSNSでの「雑談」がベースになっている。

 

書籍発売の発端は、2021年に登場した音声SNS「club house」。爆発的にヒットしたSNSの中で、同書にも登場する東京大学の加藤真平准教授の呼びかけで、「今後の東大の発信について考えよう」と複数人の東大教授が集まったトークが繰り広げられた。そこに呼ばれたのが本書の編著者である経済キャスターの瀧口友里奈氏だ。後に当コンテンツの企画制作プロデュース、そして司会を請け負うことになる。

 

「東大と聞いてイメージするものというと、たとえば赤門や安田講堂が上がってくると思うのですが、果たしてそれでいいのだろうかという疑問がありました。それよりも東大の魅力は何よりも人、まず先生方だと思ったんです。そうした先生方の魅力について、東大をもっと知ってもらうためのコンテンツを作りたいとまずは考えました。それもブレストやセミナーのような堅苦しい形ではなく『雑談』が良かった。先生方が素で雑談している中に、さまざまな新しい発想が詰まっていると思ったんです」

 

瀧口氏は自身も東大出身であり、現在も東京大学公共政策大学院の修士課程に在籍中で、東京大学工学部のアドバイザリーボードにも就任している。もともと10年ほど前からイノベーション・スタートアップ、テクノロジー領域を中心に数々の取材を重ねてきた同氏は、「東大教授たちの魅力をもっと伝えたい」という思いを抱いていたという。

 

club houseから端を発した東大教授による雑談はその後、YouTube番組へと発展していく。「東大×知の巨人たちの雑談」としたチャンネルで、瀧口氏は番組の企画・制作ならびに司会を務めた。そのチャンネルを見た大和書房の編集者が声をかけ、今回の書籍の発売へとつながったという。

 

「ただし雑談といっても、ただの雑談ではなく、事前にどのようなキャスティングやテーマだったら盛り上がるかを練りました。先生方とは事前に個別に打ち合わせしてそこからトピックを拾い構成して、それを元に当日自由に話していただきました。皆さんその分野での第一人者ですが、意外と分野が違うと交流がなかったりもします。普段話す機会がない異分野の東大の先生方が顔を合わすことで出てくるおもしろさがありますし、時にトークが盛り上がり、皆予想もしてなかった着想に辿り着くところがとても新鮮だと思いながら番組を作っていました」(瀧口氏、以下同)

東大教授たちの素顔のワクワクが詰まる

こうした過程を経て出来上がった書籍「東大教授が語り合う10の未来予測」は、蛍光黄色に「東大」と大きくデザインされた表紙が目を引く仕上がりに。一見難しそうに聞こえるが、いざページをめくると雑談がベースになっているだけに非常に読みやすく、専門知識がなくてもスイスイ頭に入ってくる内容になっている。

例えば「イーロン・マスクの『ヤバさ』とは?」といったまさに雑談的な内容から、さらには先生方が好きなSFについて語らう項目があったりと、東大の講義では見られない教授たちの素顔が垣間見られる。「意外と知らない、健康診断の裏側」という項目では、教授が「健康診断の採血は何に使われているのですか」と専門の教授に尋ねていたりもして、われわれと同じ目線なことに親近感を覚えたりもする。

 

さらに医療のパートでは、なぜ麻酔が効くかも実はあまりわかっていないという衝撃の事実も明かされている。麻酔によって意識はどこに行くのか、人間のメカニズムはわかっていないこともかなり多いという。専門の教授が語る現在の事実に対し、他の教授たちがワクワクしながらトークを弾ませていく様子が興味深い。

 

スマホは充電不要に、1000歳まで生きる人も!?

一方で第一線で活躍する「知の巨人」とも言うべき研究者たちが集っているだけに、それぞれの未来予測を語りだすと話が深まり、興味深い展開が次々と提案されていく。同書はエネルギー/教育/宇宙/IT/仮想空間/AI/国家/生命/ビジネス/環境というジャンルに区切られているが、複数ジャンルにまたがって話が繰り広げられている項目も少なくない。

 

「私自身がいいなと思ったのは、10年後にはスマホの充電が不要になるということ。私自身、スマホの充電をし忘れてしまうことがあって、充電しなくてもいいスマホが出てくれたらありがたいなと思っています」

 

スマホの充電が不要になるとはどういうことか。実は現在「無線給電」、すなわち電波を使った充電については現在盛んに研究されていて、登場する川原圭博教授も長年研究してきた実績がある。本書では街を歩いている時、食事をしているときなど特にケーブルにつなげなくても給電できる機能が備わっていく未来が予測されている。

 

スマホだけでなく、走りながらEV充電する車も開発が進んでおり、将来的には車も走りながら充電される未来がやってくるのではないかと記載されている。さらには現在タイヤで走っている車は摩擦率が高く多くのエネルギーを必要とすることから、将来的には人間の足のようなもので移動する車も出てくるのではないかとも。

 

ほかにも興味深いテーマが続々と続く。例えばそのひとつが「1000歳まで生きる人間を作ることは可能か」というテーマだ。驚くべきことに、将来技術的には可能ではないかという話が飛び出した。人間に応用可能かということはおいておいて、少なくともマウスや昆虫レベルでは、寿命を数倍伸ばすことは可能だというのだ。

 

そもそも老化とは、細胞が老化すること。だから老化に関する遺伝子がどこにあるかわかれば、その遺伝子をノックアウトするか改変すればいいのだという。さらには現在世界各地で「アンチエイジング(抗加齢)」に関して、ものすごい予算が投入され研究されているという舞台裏も明かされている。知の世界はわれわれの予想以上に先に進んでいるというのが、本書では次々と明かされていく。

アカデミアの世界が社会・産業にもたらすもの

一方で同書の中にはアカデミアの世界から見る日本の課題も数多く指摘されている。例えば国の予算はどうしても目の前にある問題を解決するような分野にばかり使われていること。合田圭介教授は、研究は何十年というタイムスパンで考えないといけないと指摘する。

 

「私は経済キャスターをしているので、時に日本に関する悪いニュースも伝えなければなりません。むしろそういう機会は決して少なくありません。だからこそ、日本にはまだこんなに明るい未来が待っているということを伝えたかった。この本を読んだ方に、未来が来るのが楽しみだと言っていただくこともあって、私自身がこの本から勇気をもらっています」

 

本書の出版記念イベントには、中高生も参加、勇気を持って東大教授に質問する姿も見られたという。さらにはぜひ本書はビジネスマンにも読んでほしいと瀧口氏は語る。

 

「アカデミアの研究者の方々は一般の社会とかけ離れた場所にいると思われがちなのがもったいないと常々思っていました。そもそも東京大学自体が産学連携を掲げています。先生方は、社会に研究をどう役に立てるか、新しいテクノロジーが社会をどう変えていくかを常々考えてらっしゃいます。本書にはビジネスマンの方にとってもイノベーションや新規事業のヒントになるものが数多く詰まっています」

瀧口友里奈

Yurina Takiguchi

経済キャスター

1987年神奈川県生まれ。東京大学文学部社会学専修卒業。SBI新生銀行社外取締役。在学中にセント・フォースに所属して以来、『100分de名著』(NHKEテレ)、『ニュースモーニングサテライト』(テレビ東京)、『CNNサタデーナイト』、経済専門チャンネル『日経CNBC』等の司会やキャスター、また、日米欧・三極委員会日本代表を務めるほか、2021年より東京大学工学部 アドバイザリーボードを務める。また、東京大学公共政策大学院の修士課程に在学中。「東大教授が語り合う10の未来予測」(大和書房)の編著を担当。

新着記事

お問い合わせはこちら

CLIP 暮らしにリプする IT・インターネットをより楽しむためのエンターテイメント情報満載

Netflix FreaksはNetflixをとことん楽しむための情報メディア。Netflixの最新情報や厳選したおすすめ作品・レビューを紹介しています。

OPTAGE BUSINESS