ENILNO いろんなオンラインの向こう側

メニュー サイト内検索
閉じる

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

2割がドタキャン、それも泣き寝入りが当たり前。「Beds24」は民泊事業者の救世主になるか?

OTAという用語を知らなくても、実際に使っている人は多いはずだ。OTA=Online Travel Agentの略で、オンラインで完結する宿泊予約サイトのこと。宿泊施設はこれらに空き部屋を掲載することで予約を募るが、多種存在するそのOTAを一元管理するクラウドサービスがサイトコントローラーといわれるシステムだ。これを使うことで、宿泊施設は複数のOTAを介した宿泊予約を簡単に管理することができる。

 

そのサイトコントローラーのなかでも、民泊向けに開発された稀有なサービスがBeds24(ベッヅ・トゥエンティフォー)。民泊業界でのシェアは7割。最大の強みは “ドタキャンを防げる”ことだというが、一体どういうことか? そもそもドタキャンが2割の確率で発生するという民泊運営事情をはじめ、サービスの強みについて、Beds24を運営する株式会社WeInsの長坂創太氏に話を聞いた。

民泊業者に手の届く価格帯

楽天トラベル、じゃらん、一休.com、Booking.com、Airbnb……といったOTAから宿泊施設を予約するのが当たり前になった今、現在日本ではホテル・民泊を含む全ての宿泊施設のうち「3〜4割がサイトコントローラーを導入している」と長坂氏は推測する。サイトコントローラーを使えば、それまで各OTAの設定画面から手動で行っていた在庫管理や料金設定を一括で行えるため、手間が省け、人件費削減につながるのはもちろん、在庫連携のミスやタイムラグにより生じるダブルブッキングなども防ぐことができる。

とはいえサイトコントローラー自体は真新しいものではなく、日本でも既に数社がシェアを握っている。Beds24が優れているのは、こうしたサービスを初期費用なし・月額3,960円から民泊事業者向けに提供していること。というのも、Beds24の登場以前は、サイトコントローラーは「民泊が使える価格帯ではなかった」のだと長坂氏。

「それまでサイトコントローラーの導入には宿泊施設1棟あたり、初期費用が100万円、毎月の使用料が3万円というのが業界標準でした。例えば、50部屋ほどある中規模のビジネスホテルでは、売上が毎月1億円ほどになります。そうしたホテルにとっては許容範囲の料金ですが、1棟貸し(1棟につき部屋が1つ)がほとんどの民泊では、売上は多くても月200万円ほど。サイトコントローラーは手の届く金額ではありませんでした」

 

そこに狙いを付けたBeds24は格安の金額に設定して、機能も民泊事業者向けに絞り込んだ。今やユーザーの98%が民泊事業者だという。

 

では、なぜこれほど安価で提供できるのかというと、その土台は「オープンAPI」にある。APIというのはソフトウェアやプログラム同士をつなぐ窓口のこと。従来のサイトコントローラーではこれを閉ざした「クローズドAPI」が大半だったのに対し、Beds24ではこれを開放することで、他システムとの連携を迅速・容易に行え、時間やコストを抑えて新機能を宿泊施設に提供できるのだ。

業界が諦めていた「ノーショー」を回避

宿泊業者が最も恐れているものに、ノーショー(No Show)がある。宿泊業界用語で、ゲスト(宿泊者)がキャンセルの連絡もなく当日に現れない事態のことを指す。キャンセルの連絡がないため、新たな予約を入れることもできず、予定していた売上げはゼロになる。Beds24には、そんなノーショーを防ぐ機能もあるという。秘密は、Beds24が連携する決済システムにある。

 

一般的にOTAで予約する場合、ゲストはクレジットカード情報を入力して予約を行うが、カードの決済自体はゲストのチェックイン時に施設が行う。従来の決済サービスでは、入力されるクレジットカードが使用可能かどうか、決済時まで分からなかった。対して、Beds24の決済システムではカード情報の入力時(予約時)に使用可能かどうかを判別できる。支払い能力の無いカードの場合、施設側が予約をキャンセルすることができるので、結果ノーショー(ドタキャン時の料金未回収)を回避できるというわけだ。

 

民泊のマッチングサービスサイトのなかには、決済をサイト自体がゲストに対して直接行うところもあり、ノーショーのリスクがないこともある。だが、より効率よく予約を獲得するため、複数のOTAに掲載する民泊事業者は多い。Beds24の最大のニーズはそこにある。

ノーショー2割は泣き寝入り

サービスの始まりについて訊ねると、自身の民泊運営がきっかけだったと長坂氏は言う。後にBeds24を運営する株式会社WeInsの共同創業者となる2人のメンバーと東京で民泊を運営していたが、毎月予約金額の2割はノーショーが発生していたという。

 

「複数のOTAに掲載しサイトコントローラーも導入していましたが、宿泊料金を回収できる術はなく、ノーショーは最も辛い事態でした。ですが、これは民泊業界では当たり前のことだったのです」

 

泣き寝入りしかないのか……と悔しい思いを抱えていたところ、創業メンバーの1人が当時ドイツでリリースされていたBeds24の存在を発見。ベルリン本社に日本語版のローカライズを持ちかけたところ、交渉は成立。すぐさま楽天トラベルやじゃらんといった日本独自のOTAと連携し、2018年2月に日本語版をリリースすると、問い合わせが殺到したという。新型コロナ感染が始まる前の2019年には、利用施設は毎月7%ずつ上昇した。現在伸び率はゆるやかだが、それでも毎月1%は上昇を続けている(2022年9月1日時点で2,239施設がBeds24を利用中)。

オープンAPIの強みを生かして

Beds24では、様々な機能とのスムーズな連携も可能だ。例えば、近年導入する民泊が増えている、スマートロックを活用した無人チェックイン。民泊オーナーがスマートロックや無人チェックインのアプリと契約することで、Beds24とも連携される。宿泊予約が入れば、民泊オーナーは何もせずとも、スマートロックのパスワードが自動で発行され、Beds24からゲストにそのパスワードが送信される。

こうした連携が素早く安価でできるのも、オープンAPIだからこそ。この強みを生かして、今後もBeds24では「早く、安く、新しいソリューションを提供していきたい」と長坂氏。具体的には、AIによるメールの自動返信やダイナミックプライシング(商品やサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組み)による自動値付けなど、様々なシステムを連携させて機能を充実させていく。

 

新型コロナの水際対策が緩和され、2022年9月からは日本への入国者数の上限は5万人に引き上げられた。今後もさらなる緩和が見込まれ、インバウンド増加にも期待が集まる。民泊ニーズも高まることが予想される。

 

「現在日本の空き家は1,000万件とも言われています。こうした空き家を民泊として再生させることで、民泊市場自体を大きくしていきたい。その一つが2022年10月から始まるtwitter上でのコミュニティ運営です。民泊を始めたい方者向けに民泊向きの空き家物件を紹介し、民泊事業者同士の交流も深めていきたいです。民泊オーナー、ゲスト、そして空き家の増える地方。三方良しの流れを作れたらと思います」

長坂 創太

Sota Nagasaka

株式会社WeIns代表取締役

2007年、株式会社タナベ経営に新卒で入社。2011年に株式会社タナベ経営を退職、バックパッカーとして世界50カ国を周る。この経験を通して旅行に関わる仕事をすることを決意。2014年に早稲田大学大学院商学研究科を卒業。同年、同研究科仲間2人と株式会社WeInsを立ち上げCEOに就任。

更新

  • 公式Facebookページ

取材:池尾優

新着記事

お問い合わせはこちら

CLIP 暮らしにリプする IT・インターネットをより楽しむためのエンターテイメント情報満載

OPTAGE BUSINESS