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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

昭和から続くギャルマインドで社会の「バイブスをアゲアゲ」に。令和の「AIギャル」に気軽に相談も

90年代に渋谷の街を闊歩した「ギャル」は、ガングロやルーズソックスなど、数々のファッションカルチャーを創出した。その在り方は時代とともにマイナーチェンジを繰り返しているが、「好きを貫く姿勢」「自身の欲望や直感に従う勇気」「ポジティブな思考」という「ギャルマインド」はずっと変わらない。彼らのパワーにどこか惹き寄せられるものがあり、令和となった今の時代において、さらに新たな形で注目されつつある。

 

そんな「ギャルマインド」こそ不確実性の高い現代において必要なエッセンスと考え、ビジネスに繋がる価値へと転換させる活動を行っているのが、合同会社CGOドットコム。ミッションは「ギャルマインドで世の中をアゲにすること」。今回は、同社総長・バブリー氏に、活動内容やギャルの未来について話を聞いた。

「ギャルマインド」でビジネスコミュニケーションを円滑に

同社でCGO(チーフ・ギャル・オフィサー)として活動するメンバーは、「『ぎょういた(=業務委託の略)』ギャルちゃん」達。アーティスト、居酒屋店員、ダンサー、タレント、サラリーマンと、経歴はさまざま。CGOドットコムでは、ギャルの直感的で忖度のないコミュニケーションを体験できる「ギャル式ブレスト®︎」をはじめ、ビジネスにおける自己肯定感や対話能力の向上などを目指した「ギャルマインド講座」、ギャルマインドの社会実装を目的に展開する「ギャル式スタジオ」などのサービスを提供する。ギャルマインドをビジネスに活用するとは、目の付け所が非常にユニークだ。

 

「立ち上げは、2019年の2月。きっかけは私がギャルを好きだったという、本当にそれだけ。ギャルの何が好きかというと、かわいい見た目はもちろん、生き方や芯の強さというバックグラウンド。現代社会の『サゲ』な部分を、ギャルマインドがあればアゲられるんじゃないかな、と思ったことが起点です」(バブリー氏、以下同)

 

そう笑うバブリー氏は、もともとはいわゆる「ギャル」ではなく、どちらかというと優等生タイプだったという。中学、高校と真面目に育ったが、高校2年のときに不登校になり、退学。家出をし、そこで出会ったのがギャルだった。

 

「それまでの自分は、『勉強』『社会』『親』という目線にがんじがらめになりながら生きていましたが、出会ったギャルたちは自分の軸をもって行動していました。それが、輝いていて。なんといっても、ポジティブ。『とにかくやってみようよ!』という彼女たちの感覚が、素敵だなと思いました。彼女たちと接することで、私も自分らしくいられて救われた。そんな経験があり、ギャルを好きになりました」

 

それをビジネスへと転換したきっかけは大手会社で中間管理職として勤める「元・ギャル男」の存在だったという。「若い頃は忖度なくギャルとして生きてきた。けれども大きい会社に入った今は、上には忖度をし、下には『パワハラ』と言われないように気を遣って生きている」という彼の悩みを聞き、「誰しもが持っている『ギャルマインド』を引き出せば、うまくいくこともあるのでは?」と考えたという。

 

「ギャルとビジネスマンという、対極のカルチャーがブレストして掛け合わさることで、何か気づきがあると思いました。ただ、社員とギャルがブレストをすると、普段の活動フィールドが違うだけに、話が全く噛み合わないんですよね。気まずい雰囲気になることも……。例えば『サステナブル』という言葉を参加者が使うとする。するとそれが分からないギャルが『サステナブルって何?』と騒ぎ出す。それをフックに言葉の意味を議論するうちに、ギャルが『無限ぐるぐるってことね』と解釈し、新しい言葉ができあがったり、両者にコミュニケーションが生まれたり」

 

クライアントによって、悩みごとや相談内容はさまざま。「自社商品を忖度なくフィードバックしてほしい」や、「上下間のコミュニケーションを円滑にしたい」など人事フィールドからも斬り込んでいくというお題も多い。とはいえ、社員とギャルがすぐに打ち解けられるとは限らない。そこで、「ギャル式ブレスト®︎」の現場では、参加者がコミュニケーションを取りやすくするために、いくつかのルールを定めているという。          

「『ギャルになりきる』『持っている中で一番派手な服を着る』『敬語は禁止』『役職名ではなくあだ名で呼び合う』などのルールを決めて、盛り上げ上手のギャルたちが仕切り、参加者が発言しやすい雰囲気を作ります」

 

さらにユニークなルールが、「自分の中のギャルをおろす祈りの時間」を設けていること。ギャル語のポジティブワードやリアクションが参加者にレクチャーされつつ、「ギャルを心に飼う」ことを説く。

 

「自分の本当にやりたいことやなりたい姿を、少しでも外に出せることが大切。どうしてもビジネス上では肩書きに縛られる部分が多く、本来の自分として発言する機会がかなり少ない。そんなときに『ギャルマインド』を思い出しつつ、殻を少しでも破れたら何かが変わるのかなと」

 

「どこ会社の誰々」というスタンスではなく、個人として初めて会話をする機会創出こそが、コミュニケーションを円滑にするためのまず一歩の雪解けだ。これまであまり接してこなかったギャルカルチャーに触れることでギャップを感じつつも、新しい気づきがある。

 

「最近気がついたのが、ギャルは『ウチら』という言葉をよく使うんですね。例えば打ち合わせが平行線だったとき、『ウチら気まずくない?』と声を発す。それって、ある意味『この場の空気はみんなで作ってる』という表れなんですよね。そのようなギャルの発言から『個と個』が繋がり、連帯感が生まれるきっかけになったりもします」

オンラインからオフラインへ。AIギャルに仕事や人生を相談

コロナ禍で立ち上がった「ギャル式ブレスト®︎」。当初はオンラインでの開催が多かったが、現在はオンラインとオフラインを行き来するようなプロモーションにも挑戦しているという。2023年、「ギャル式ブレスト®︎」で生まれたアイデアを形にするため、新規事業として新たに立ちあげたのが「ギャル式スタジオ」。アイデア創出だけにとどまらず、その先の社会実装を目的に商品開発やPRをクライアントと共創し、TikTokやInstagramなどのSNSで発信する。さらに1年ほど前に始動した、ChatGPTを使った「AIギャル」サービスも好調だとか。

 

「『AIギャル』ではギャルの会話を、そのままAIに学習させたチャットボットを提供しています。そこに寄せられるのは、ビジネスから人生の相談まで幅広い。AIギャルに軽い気持ちで悩み相談や愚痴をこぼしてみると、潔く斬ってくれる。私たちのサービスの認知度も上がり、ユーザー層も拡大しました」

 

また、企業との共創にとどまらず、札幌市役所とのプロジェクトや福島第一原発への視察など「地方創生」の実現に向けたプロジェクトも各所で進行中。さまざまな事例に継続的に取り組むことで、ギャルマインドを通して、いかに社会課題の解決に取り組んでいけるのかを、模索中だ。

画一的な未来が見える。だからこそ「バイブス」を大事に

90年代から変わらない、ギャルマインド。彼らの自分軸・直感的・ポジティブ思考は、未来を切り拓くきっかけになり得るのか。

 

「これからDX化やAI導入が進めば、社会に "似たようなもの"が増えていくはず。そこで私たちは『ギャルマインド(=自分軸・直感性・ポジティブ)』を活用し、クライアントさんの強みを引き出していくことができたら。プロダクトを作る上で私たちの大事にしている『バイブス』に注目することで、情緒的側面からアプローチしたり、不確実性なことへの対応をしたり、リアルな手触りなどを作っていくことができると考えています」

 

先行きの不透明なことが多い世の中。しかしだからこそ、偶発的に生まれうる面白さや、新たな可能性が存在する。少なくともギャルマインドをもっていれば、それを楽しむ余白が生まれるのだ。

 

「『ダイバーシティ』という言葉の裏側で起こっている価値観の分散を繋ぎ合わせて、新しい価値にしていく作業ができる人は、決して多くはない。私たちはそれを小さくてもやり続ける会社でありたいし、『違う人同士』がどうコミュニケーションを取っていくかに取り組んでいきたい。価値観が多様になってきたからこそ、お互い『いいじゃん』と讃えあうことがすごく大事だと思っています」

 

2030年の未来では、ギャルはどのような進化を遂げているのだろうか。それともこの先も変わらないのだろうか。

 

「90年代のギャルはファッションカルチャー中心でしたが、今ではギャルという言葉がマインドセットを指す表現として使われるようになりました。見た目も時代とともに、変わってきています。今後は『ギャル』という言葉自体が多様化して、アップデートされるのかも。もしかしたらギャルという言葉も、なくなっちゃうかもしれない。ただそんな中でも自分のスタイルで生きるということは、やっぱり変わらず大事になってくるのではないかと思います」

 

なかなか交わることがない価値観を持つ者同士のコミュニケーションだからこそ、いい化学反応が生まれる。ギャルがビジネスシーンに与えるスパイスは、これからの日本の社会を「アゲ」に軌道修正してくれる、面白い可能性を秘めている。

バブリー

Bubbly

合同会社CGOドットコム 総長

人生で3回学校を中退。 高校中退後は大阪へ家出しギャルマインドに感銘をうける。「ギャルマインドで世の中をアゲにする」ことを目指し、合同会社CGOドットコムを設立。企業や団体にギャルを送り込む『ギャル式ブレスト®︎』を展開する。「Forbes Japan 世界を救う希望100人」、「日経クロストレンド 未来の市場をつくる100社」に選出。バブリーという名前は、本名の竹野理香子の「竹(バンブー)」と「理香子」に由来。

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