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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

オウンドメディアは生き残れるのか? デジタルマーケティングから未来を予測

さまざまな企業がオウンドメディアを展開し始めた2010年ごろ。自社サービスへの集客や認知拡大のために、ブームとも言える勢いで続々立ち上がった。

 

しかし、ローンチして3年、5年と過ぎると、クローズするメディアが増えていったのもまた事実。思うように目的を果たせず、目に見えた成果が上がらなかったことが背景にありそうだ。SNSの普及に伴い、個人の発信力・訴求力が強くなった流れも影響しているのかもしれない。

 

今後のオウンドメディアはどうなっていくのだろうか。幅広くネットを活用したマーケティング手法を紹介した『図解デジタルマーケティング・ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者であり、カーツメディアワークス取締役の石黒孝昇氏に話を聞いた。

石黒 孝昇

カーツメディアワークス取締役

2008年PRエージェンシーに入社。FOREVER21日本上陸時プロモーション等担当。2011年サイバーエージェントに入社。WebPR事業の立上げをはじめ複数メディアを運営するとともにLINE、MERY、SmartNewsなどの新規メディアの活用法を広める。その後スマ婚などのブランドを手掛けるブライダル企業のマーケティング部長を経て現職。企業の戦略PRおよびデジタルマーケティング戦略立案を行う。「図解デジタルマーケティング・ハンドブック」を著書に持つ。

オウンドメディアは生き残れるのか

ブログやSNS、口コミサイトなど、消費者が起点となって投稿・拡散される〈シェアードメディア〉が台頭する中で、オウンドメディアは生き残ることができるのだろうか。石黒氏は「今後、より重要度が増す」と予想する。

 

「オウンドメディアブームのときは、他もやっているからという理由でさまざまな企業がトップダウン的に取り入れたり、事業者本位の視点で情報を発信しようとしたりして、ユーザーのニーズを考慮した情報提供が足りていなかったのかもしれません。結果、思うように成果を上げられず、確かにここ最近はブームが沈静化の傾向にあるかと思います。

 

一方で、コロナ禍を通してオンラインの重要度が増したのと同時に、リアルの大切さも感じるようになった。

 

とはいえ、実際に買い物に行って接客を受けて商品を手に取るなどのリアルな体験は、状況的になかなか厳しいですよね。そこで、ユーザーはリアルな体験に代わる情報を求めて、正しい情報が集約されたオウンドメディアを活用することが増えていくのではないかと思います。リアルを補完する役割として、オウンドメディアの重要度が増したと言えるでしょう」

 

ネット上に散らばった情報を拾い集めて咀嚼するのは、たとえネットリテラシーがあっても骨が折れる作業だ。企業のサービスや商品に興味を持ったユーザーが、手に取ってみたり足を運んでみたりするようなリアルの体験ができない今こそ、オウンドメディアを頼りたいときなのかもしれない。

過去の失敗からオウンドメディアは何を学ぶべきか。大切なのは2つ

コロナにより重要度が増したオウンドメディア。とはいえ、これまでと同じ運用や施策を繰り返しても結果は変わらないだろう。今から始める企業は、どのようなことに気をつけるべきなのだろうか。

 

「過去の失敗から学び、コストをかけすぎないことです。まずはハードルを下げて運用することをおすすめします。オウンドメディアブームのときは、編集体制や人件費にパワーをかけていて、投資対効果が得られずクローズする企業が多かった。まずは手軽にできることから始めてみましょう」

 

いきなりコストをかけて凝ったサイトを制作するよりも、たとえばKIRINやロート製薬のようにnoteをプラットフォームにするのも一つの手、とのこと。コストをかけるほどにリターンを期待され、うまくいかなくなるのかもしれない。

 

「最近のケースでは、サーバー契約をして、ドメインを決め、ワードプレスをインストールし、9,800円でウェブサイトのテンプレートを購入、年間運用で10万円もかからずに手軽にサイトを持てるようになった」という。いずれにせよ、オウンドメディアを継続していくためには低コストで始めると良さそうだ。

 

また、ハードルを下げることに加え「ユーザーニーズを正確に把握することも重要」と石黒氏。

 

「ユーザーがどういう行動をして、どういう感情を抱いていて、どういうことに困っているのかなど、カスタマージャーニーをしっかり定義しないと、作るコンテンツもぶれます。たった一人のペルソナのニーズを考えて作ることが大切です。

 

ペルソナの悩みや課題が顕在化していなくても、潜在的には『この人はどういうアドバイスをあげたら喜んでくれるのだろうか』と考えましょう」

長い目で見てSEOでいくべき? ベストなコンテンツの手段

SEOコンテンツの制作にシフトチェンジするメディアが増えた昨今。収穫に時間はかかるものの、種まきしておくに越したことはないが、SEO記事に全振りするのが果たして正解なのだろうか。

 

「トレンドを拾ったフロー記事や、確実に狙いに行くストック記事など、それぞれの配分のバランスも重要だと思います。ですが、コンテンツの手段やテクニカルな部分にこだわるよりも、本当にターゲットユーザーが必要とする情報を伝えることに専念することを第一優先で考えるべきです。オウンドメディアで重要なのは、ユーザーに必要な情報を提供できたか、ユーザーに好感を持っていただけたかです。SEOなのかどうかは、その結果に過ぎません。手段や配分にこだわりだすと、目的を見失いがちになります」

 

目的のために手段がある。周囲の方針に惑わされぬよう運用していきたい。

 

トレンドコンテンツをつくるなら、なるべくSEOコンテンツのような息の長いものを目指したいが、たいてい旬が短い。フロー記事の最大瞬間風速を上げ、時流に乗りムーブメントを起こすには「シーズナリーで必ずくるトピックスと、そのタイミングのトレンドを掛け合わせること」が重要だという。

 

「たとえば今の時期であれば、『夏の風物詩(グルメならそうめんやかき氷など)』がシーズナリーのトピックス。今のトレンドは『オリンピック』ですよね。この掛け合わせから、自社のサービスに重なる部分を提案するなどして、トレンドの先を設計するといいかもしれません」

インフルエンサーマーケティングは有効なのか?

認知拡大のためにインフルエンサーに拡散してもらうなど、インフルエンサーマーケティングを積極的に行うメディアは少なくない。シェアードメディアが勢力を増す中、オウンドメディアがインフルエンサーを介してコンテンツを発信するのは有効に働くのだろうか。

 

「知っている人が紹介しているものは信頼度が高くなるので、有効です。ただし、インフルエンサーに案件を依頼する側のリテラシーが要。フォロワー数が多いインフルエンサーにお願いすればいいというものではありません。

 

インフルエンサーの投稿の内容に自社のブランドがマッチしていることはもちろん、インフルエンサーのフォロワーの属性の見極めが重要です」

 

最近はインフルエンサーを起用したPR案件に、ユーザーは拒絶反応を示すようになったように見受けられるが、依頼する側が事前にリサーチを徹底していれば、ミスマッチは防げるし、より信頼も獲得できそうだ。

どうやってユーザーを巻き込んでいく? きっかけづくりが重要

最後に、オウンドメディアを介して自社のサービスを知ってもらうだけでなく、ファンになってもらうにはどうすべきか教えてもらった。

 

「有形商材だと写真を撮影して投稿するなどUGCが発生しやすいですが、金融やコンプレックスなどの無形商材はそれがなかなか厳しいですよね。

 

無形商材でもできることは、たとえばユーザーに向けてイベントなどの場を提供すること。ユーザーとの接点を増やしましょう。今だとオンラインでもできますよね。そこで情報を発信し、感想などを指定のハッシュタグを使ってユーザーに発信してもらう。

 

自然発生的なUGCを待つのではなく、そういう仕掛けを作って、ユーザーが発信するきっかけを与えることが重要です」

 

オウンドメディア運用担当者は、まずは第一にユーザーのニーズを満たすことを考え、そして自社のサービスのファンになってもらえる施策を検討すること。事業者目線になっていないか、テクニカルな部分にこだわりすぎてないか、今一度改めてユーザーファーストを心がけたい。

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