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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

企業DXと個人DXの違いとは?「2025年の崖」を超えるためのヒント

経済産業省が「2025年までに取り組まなければ、企業は存続できない」とした、いわゆる〈2025年の崖〉のワードと共に広く知られるようになった「DX」。

 

テレワーク時代の今、仕事の効率化は企業だけでなく個人にも求められている。そのため個人の仕事にもDXを取り入れるべきと提案しているのが『超DX仕事術』の著者でDXコンサルタントの相馬正伸氏だ。

 

氏が提唱する、効率化に加えてコミュニケーションや生産性もアップする個人の「DX仕事術」について教えていただいた。

手始めに使いたいDXのための仕事効率化ツール

相馬氏によれば、企業で取り組むDXは「会社の売り上げを上げるため、コストを削減したり、顧客満足度を上げたり、ビジネスモデルを変えたりすること」。それに対して個人で取り組むDXは「仕事効率化、生産性向上、関係者への信頼性向上のため仕事のやり方を変えること」。またDXを取り入れた個人の仕事術とは「データとデジタル技術を活用して、継続的に仕事のやり方を変革させること」(相馬氏)であるという。

『超DX仕事術』より引用

 

個人のDXを推し進めるにあたり、手始めに取り組みたいのがデータ活用だ。例えば「Googleアラート」を使うと、特定のキーワードが含まれる情報がweb上で更新された際、自動で通知される。よく調べるワードを都度検索する手間が省け、またキャッチアップの漏れが少なくなることが期待できる。仕事DX化の取っ掛かりとして、自身の仕事に有用なツールが新たにリリースされたり、更新されたりしていないか知ることに役立ててはどうだろうか。

 

また自動化の面で大きな成果が期待できるのが、「RPA(Robot Process Automation)」だ。これは「ロボットがパソコン上の手順=手作業を自動化するシステム」で、例えば、

 

1. 顧客からメールで問い合わせを受信

2. 問い合わせ内容をGoogleスプレッドシートに転記

3. 特定のキーワードでコメントをピックアップ

4. チームメンバーへチャットで共有

5. キーワードごとにGoogleスプレッドシートのシートを振り分け

6. 問い合わせデータを集計

 

といった、一連の事務作業をすべて自動化できるようになるという。

 

RPAはこれまで専門知識を有するプログラマーによるプログラミングが必要だったが、2021年10月に提供が開始されたWindows11に標準搭載されている「Power Automate for desktop」には、個人でRPAを始めるには十分な機能が備わっており、誰でも直感的に操作できるそうだ。

生産性10倍アップの動画編集ツール

個人が使いやすいツールには、GoogleやMicrosoftが提供するものが多く『超DX仕事術』に紹介されているのもそれらが大半を占める。それ以外ではどんなツールがあるのだろうか。相馬氏は例えば、動画編集にいつも「Vrew」というツールを使っていると教えてくれた。

 

「Vrewは、話した言葉を文字起こししてテロップに変換してくれます。また、ジャンプカットといってユーチューバーがよくやっている、音声のない区間を削除する手法も自動的にやってもらえます」(相馬氏)。

 

Vrewを導入する以前、相馬氏が動画を作る際は「耳で聞いて文字起こしし、動画編集ソフトへ入力」、「音声のない区間を動画を見て判断し、手動でカット」といった膨大な手間のかかる作業が発生し、10分程度の動画編集作業に5時間程度かかっていたという。ところがVrewを使うと、同じ作業が30分でできるようになったというから驚きだ。「10倍の生産性が上がったということですよね」(相馬氏)。

 

さらに最近、同ツールにはAI音声機能が追加され、入力した文字を老若男女含む様々なキャラクターが読み上げてくれるように。「この機能を使えば、声出ししたくない方でも動画も簡単に作れてしまいます。しかも、現在のところこれらすべての機能が無料。使わない手はありません」(相馬氏)。

好きなことだけが仕事になる日

こうしたツールを活用し、DX仕事術で仕事効率化、生産性向上、関係者への信頼性向上を図った先にはどんなビジョンがあるのだろうか。「DX仕事術にゴールはない」と語る相馬氏に、個⼈の仕事の理想的なあり⽅をあえて教えてもらった。

 

「自分しかできない仕事や好きな仕事以外はやらないこと、逆に言うと、だれでもできる仕事や苦手な仕事はやらないことだと考えます」(相馬氏)。なるほど、至極シンプルだ。

さらに氏は「生産性向上に特化した『守りのDX仕事術』で効率化自動化をおこない、ターゲットの満足度向上を目指す『攻めのDX仕事術』で、新しい仕事のやり方にチャレンジする。それを繰り返しながら、DX仕事術スパイラルを引き起こし、仕事を変革。それを個人にとどまらずチームで共有し、同じことが誰もができるようになれば一番の理想と考えます」と教えてくれた。仕事の改革を常に推し進め、思考停止に陥らずに最適化していくことが重要なのだ。

 

さらに今後、メタバースが⼀般的になっていくなどの社会変化と併せて、DXが進んだ10年・20年後の未来の「仕事」はどんなものになっていくのだろうか。

 

「昔は一部の人しか使えなかったExcelやスマホが、いまは使えて当たりまえの時代となりました。これと同じように、RPAやノーコードツールによるアプリ開発もだれでもできる時代が来ると考えます。

 

メタバースも同様に、誰もが使える時代が来るはずです。メタバースが⼀般的になれば、仮想空間のアバターが自分の代わりに定型業務や、やりたくない仕事をやってくれるようになるかもしれません。

 

例えば、私は営業が苦手なので、自分の代わりに別の人格で形成されたアバターが営業をやってくれるようになったら良いですよね。現在のMA(マーケティングオートメーション)やCRM(customer relationship management、顧客管理システム)を発展させれば、実現可能だと思っています」(相馬氏)。

 

自分の苦手な分野を請け負ってくれるアバターとは、なんとも理想的だ。「はい。本人は本当にやりたい仕事以外はやらない、面倒な仕事はアバターに任せる、といった区分けができるようになる日が来ると思います」(相馬氏)。

 

IT化が加速した将来には、シンギュラリティ(技術特異点。AIの進化が人間の能力を超えるポイントのこと。アメリカのAI研究の権威であるレイ・カーツワイル氏は2045年にシンギュラリティが起こると予測している)の悲観論もある。

 

「シンギュラリティにより懸念事項も多く出てくるはずです。今後はそういった対策のための法整備が加速すると予想されます。特に仮想空間だけに適用する法律もできるかもしれませんね」(相馬氏)。

相馬 正伸

Masanobu Soma

アカリンク合同会社代表 DXコンサルタント

1972年東京都葛飾区生まれ。これまで、IT歴25年で延べ3万人以上のITについての相談に乗り、合計100億円以上のシステム導入に携わる。
現在は、経済産業省認定のIT導入支援事業者として、ITツールを50以上取り扱い、DX化の推進を行っている。2019年、一般社団法人協会総研の理事に就任し、企業だけでなく協会のIT化にも力を入れる。高校の入学祝いで、当時最先端だったNEC PC-8801を購入してもらいITに興味を持つ。大学卒業後、富士通で医療システムの開発を約10年間行う。ウィルコムで社内SEとして、社内システム導入、システム監査、保守・運用など幅広くシステムを担当。ソフトバンクと統合した後、システム企画部門で社内業務改善や大規模な社内システム統合プロジェクトに携わる。
会社員時代はエンジニアにもかかわらずプログラミング能力がなく、生産性も悪いと罵られたダメリーマン。それを補うためにITツールを活用するようになり、便利なITツール探しに没頭する日々を送る。2018年にITコンサルティング会社を設立。経済産業省認定のIT支援事業者、スマートSMEサポーター、デジタル化応援隊のIT専門家にも認定され、企業や個人へIT化サポートを行う。
すべての人がITと共に未来を創造し、普及させることを人生のミッションとしている。
著書に『超DX仕事術』(サンマーク出版)がある。

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取材:小野好美

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