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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

人材不足のIT業界、女性が働く環境に変化アリ。女性向けDX人材養成スクールも登場

各企業がDXを促進するなか、IT業界では特に専門職の働き手が不足している。そこで、IT業界におけるさらなる女性躍進を目指し、女性向けDX人材養成スクールを立ち上げた女性社長がいる。現状をどう分析し、どんな人材養成を目指すのか。株式会社トラントの小川直子代表取締役社長に話を伺った。

人材不足のIT業界、なのに女性比率はいまだに……

「20年以上IT業界にいますが、女性の割合はこの間ずっと変化していません」。そう語るのは、株式会社トラントの代表取締役社長を務める小川氏だ。そもそも日本における女性の就業率はコロナ禍で一時的に減少した以外、近年ずっと上昇を続けている。それにもかかわらず、IT業界においては女性の割合は約2割と増加していないのだ。

 

世界的に見てもこの傾向は顕著で、ヒューマンリソシア株式会社がIT分野におけるジェンダーギャップに関するグローバル調査を行ったところ、情報通信業で就業している女性の割合は日本が28.9%で、47カ国中30位と低迷している。

決してIT業界に席が空いていないわけではない。むしろ慢性的なエンジニア不足の状態で、2019年3月に経済産業省が発表した調査結果によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足するという試算が出ているほどだ。

 

ITが必須の現代社会において、この人材不足は深刻だ。この状態が続けば日本が国際社会から遅れをとり、ひいては経済の停滞につながる可能性がある。政府はリスキリングなどの「人への投資」に5年で1兆円を投入、DX人材を増やす戦略を掲げているが、根本的解決にはつながっていない。

「これまでIT業界において女性の割合が増えなかったのは、入ってくる人が少ないという理由ではありません。IT業界といえば忙しいというイメージがあり、出産などのライフイベントを機にやめてしまい、女性が定着しなかったのです」(小川氏、以下同)

 

加えて理系の人材が多数を占めるIT業界において、もともと文系が多い女性人材が、プログラミングなどへの興味を持てずに辞めてしまうケースも多いという。

 

「理系の人は数学の問題を解くのにワクワクするような気持ちでプログラミングなどに取り組むこともあります。けれど文系出身だとなかなかその面白さがわからず、『向いていない』と感じてしまって辞めてしまうこともありました」

世の中が変化して、IT業界も変化した

一方で時代の変遷とともに、ITビジネスの価値観も変化している。文系の女性でも十分に活躍できる環境が整ってきているのだ。

 

これまではサービスのリリース前などは、勤務時間が長くなることが課題であった。それがコロナ禍もあり、リモートワークが急速に導入され、労働時間の柔軟性が増した。特にIT業界はテレワークの実施率が高い業界だ。総務省が令和3年版として発表した情報通信白書によると、テレワークの実施状況は、情報通信業が55.7%と他業種を引き離している。これにより、例えば育児中の女性も自宅で仕事をすることが可能になり、子育てとの両立がしやすくなった。

 

また世の中全体のDX化も、女性のIT業界進出を後押ししている。これまでのITやシステム開発は、金融や公共事業といった大規模プロジェクトが中心で、関わる人数も多く、時に短期間のスケジュールを設定されることが少なくなかった。

 

「それが現在、中小企業もDXを推進していて、SaaSを導入する企業も増えています。そこにサポート的に参加するなど、計画的に進められる仕事も増えています。時短の人や、残業ができない人でも問題なく仕事ができる環境が整ってきています」

 

さらにプログラミングに対するハードル自体が下がってきている。従来、IT業界にはプログラミングの知識など高い専門性が要求された。それが現在、新しい概念である“ノーコード”や“ローコード”が登場し、プログラミングの知識がなくても業務をこなせるようになった。これにより、文系女子でもIT業界で活躍する道が広がっている。

 

さらに現在ITビジネスで重要視されているのが、“カスタマーサクセス”。顧客の問題を解決して成功体験へ導くのが仕事のため、柔軟な発想力とコミュニケーション能力が求められる。

 

「コミュニケーション力など、ポータブルスキルが高い人がカスタマーサクセスに向いています。さらに人をサポートしたい、人が喜ぶ姿がうれしいと感じられる人。そういう素質を持つ女性の人材は沢山いると感じています。細かいところに気がつくのも女性が多く、そうした力はカスタマーサクセスに役立ちます」

変わりつつある、IT業界と女性の相性

小川氏が経営する株式会社トラント自体、女性社員を積極的に採用しており、現在社員の中の女性率は6割を超える。その多くがIT業界未経験で入社してきており、研修を受け、現場で経験を積み、IT人材として活躍する。

そもそも、IT業界で働く現場の女性は、現状をどう感じているのだろうか。

 

「以前、IT業界で働く女性で集まる機会があったのですが、キャリアの長い方が皆口をそろえて『IT業界でよかった』と絶賛していたのが印象的でした」

 

その理由を尋ねると、人手不足ということもあり、たとえブランクがあっても、再び戻れる業界であることも一因だという。

 

「ライフイベントなどで離職しても、復帰することは歓迎されます。もちろん時代の変わり方は早いので情報をアップデートする必要はありますが、土台がある人は大丈夫です」

 

新しい業界だからこそのメリットもある。「私自身、これまで“女性だから”と損した記憶はありません。性別にかかわらず評価される業界ですし、自分が頑張れば、男女問わずに良いポジションにつくことが可能です」

 

IT業界は他業種に比べて平均年収も高く、女性でもキャリアアップが狙える。株式会社トラントの社員でも、前職に比べて収入がアップしたケースが少なくないという。

学ぶだけでなく、人生を伴走してくれるオンラインスクール

こうした背景から、株式会社トラントでは女性向けIT人材育成オンラインスクール「DXクリエイターズ」を立ち上げるに至った。同社の女性社員がたどってきたように、IT未経験の文系女性も受講でき、IT人材へと成長できるスクールだ。

 

スクールはオンラインで受講でき、月額5,500円。さらに初回3カ月は無料というキャンペーンも実施される。カリキュラムはウォーミングアップから基礎講座、さらにはその先のアドバンス講座まで用意されている。PCが働く仕組みやアプリケーションの基礎といった、知っていそうで知らない知識から、カスタマーサクセスに必要なスキル、さらには実践編として企業に対するDXソリューションの提案など、IT業界で役に立つスキルが身につく。

 

ただしITスクールは競合が少なくない。他のサービスとどこが違うのか。

 

「就職支援までがサービスに含まれており、キャリアパスを形成しながら学習できるところです。単にスキルを身につけるだけでなく、その後のキャリアまで一緒に考えていくスクールです」

 

スクールでは勉強法のアドバイスはもちろん、利用者の性格や得意分野を分析し、向いている職業や働き方まで提案してくれる。さらにはそれに合ったカリキュラムを選択することも可能だ。

 

「スクールに通ってもらうのがゴールではなく、女性の人生に向き合っていくことを目指しています。そのためにコーチングに時間をかけていきます」

 

株式会社トラントは2004年創業。IT業界で20年にわたって数多くの企業とのコネクションを築いてきたからこそ、就職支援までできるのだろう。

 

「このサービスに共感してくださる企業の方をも巻き込みながら、サービスを発信していきたいです。IT業界における環境を整えて、女性向けの働き方改革につながればと思っています」

小川直子

Naoko Ogawa

株式会社トラント 代表取締役社長

短大卒業後、金融系のエンジニアとして就職。その後、中堅規模のソフトハウスに営業として転職。2年半でグループ会社2社の取締役に就任する。2004年に株式会社トラントを設立。

  • 公式Facebookページ

取材:松岡絵里

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