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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

Eコマース担当者が「上手に手を抜ける」日本初ツールとマーケットの行方

Eコマース市場が年々拡大していく一方で、物販系Eコマースに携わる人たちの作業は煩雑化している。複数のプラットフォームに出店し、自社ECサイトも運営し、かつ広告にも頭をめぐらせる日々……。売上管理を一元的にもっと手軽にできないか。複数の広告に対する反応をダイレクトに知るには。そんな問いに対してソリューションを提供するのが、DMT株式会社が提供するIgnite(イグナイト)だ。同社のシニアアカウントマネージャーの老田亮一氏に、Eコマース担当者の作業の効率化と戦略化を支援する新たなツールIgniteと、成長を続けるEコマースマーケットの行方を聞いた。

担当者を悩ます、手作業でデータ収集&分析する手間

「広告の反応はどうだったの?」。「楽天とAmazon、どっちが調子いいの?」。Eコマースに取り組む企業でマーケティングや営業に携わる人の中には、そんな質問を上長から受けて、内心「面倒だなぁ……」と思った経験がある人もいるだろう。物販を行う多くの企業はいま、販売機会を増やすために楽天など複数のプラットフォームに出店、並行して自社ECサイトでのD to Cに注力していることも少なくない。加えてSNSやメールマガジンなど複数の媒体で販売促進を実施、オムニチャネル化を進めている。

 

そんな現状は一方で、Eコマースに従事する人のタスクの煩雑化にもつながっている。売上管理やデータ分析は、各プラットフォームにログインしてCSVをダウンロードしてマクロを組んで……と手作業で管理していることがほとんどだ。

 

「企業によっては、営業やマーケティングの部署の中に、楽天の担当者、Amazonの担当者、自社ECサイトの担当者と役割が分かれていたりします。そしてそれぞれが会議の時に売上報告をするという形をとっていることもあるようです」と言うのは、DMT株式会社のシニアアカウントマネージャーの老田亮一氏だ。こうした企業では担当者の一人が会議を欠席すると、「じゃあ楽天の件は、また来週で」などと、なんとも歯切れの悪い会議の終わり方になったりする。企業におけるオムニチャネルの課題として、各種プラットフォーム毎に必要な在庫管理・商品ページ作成・流入施策・分析などの一元管理が難しく、迅速な意思決定や最適なマーケティング戦略策定、作業効率化を実行できない要因になっている。

コーヒー=寒い時期の飲み物、は誤解だった!?

こうした現状を打破するのが、同社が提供するツールIgnite(イグナイト)だ。これは各プラットフォームのAPIを通じて、自社ECサイト(Shopify、Adobe Commerce)、Amazon、楽天に代表されるリテールメディア、そして広告チャネルを統合し、一元管理をサポートする日本初のサービスだ。英国を拠点にするAcorn Intelligence社が開発を担い、DMTが日本におけるエクスクルーシブ販売パートナーとしてサポートを行っている。

 

「Igniteはこれまで手作業でデータ収集して分析していたものを、ダッシュボード上で一元的に分析できます。たとえ担当者が会議を欠席しても、上長がログインすれば瞬時に楽天もAmazonも統合したデータが見られます」。Igniteはこれまで費やしていた人的、時間的コストを省略して「上手に手を抜く」ことをサポートするサービスであり、それに統合的なデータに基づく綿密な戦略意思決定を可能にする。同様のサービスはなく、「日本初」なのがセールスポイントだ。「こうしたデータ収集に苦労してきた担当者に概要を話すと、非常に興味を持ってもらえます」。

 

これらのデータは企業ごとにカスタマイズが可能だ。例えば日本のどの地域でいつどれだけ売れたかを可視化することもできる。「コーヒーを扱う企業で、これまでコーヒーといえば寒くなる季節の飲み物という概念があり、その時期になると全国的なプロモーションを実施していたそうです。ただ実際にデータをとってみると、北海道では8~9月からすでに売り上げがあがっていた。それを見て、北海道でのプロモーション開始時期を早めたそうです」。

Igniteの特徴のひとつとして、売上分析だけでなく、在庫管理や広告データとの統合があげられる。インターネット広告費は成長を続けており、電通が発表した2021年のインターネット広告費は前年比121パーセント増、2兆7,052億円を記録した。「そのうち物販系ECプラットフォーム広告費は1,600億超とシェアはまだ少ないですが、前年比123パーセント増で今後も増えていくと見込んでいます。企業の中には、売上はマーケティング部門が、広告は広告宣伝部門がそれぞれ管理するところもありますが、Igniteはそうした組織でも横断的にデータを閲覧し、戦略を立てることを可能にします」。

 

こうしたリテールと広告の関係で言えば、米国では現在、リテールメディアの成長が著しい。同国のリテールメディアの市場規模は6兆円を越したとも言われ、その約8割を占めているのがAmazonだ。日本においても同様に、リテールと広告とは接近し、お互いを補完する傾向は強まりそうだ。

Amazonは最重要、Tik Tokとは連携、Twitterも今後検討

一方で日本においては「Amazon離れ」という言葉も聞かれる。「確かに首都圏、若年層を中心にそうした傾向もあると思います。一方で例えば化粧品口コミサービス@cosme(アットコスメ)と資本業務提携するなど新しい動きもあり、現在もニーズは引き続き大きく、最重要チャネルです」。ちなみに日本では、Facebookで広告に接触したカスタマーがどの程度Amazonで購入しているのか、計測できていないのが現状だ。海外ではこれはAmazonアトリビューションで対応できている。日本でも来年以降この機能がローンチされる予定で、すでにグローバルで実装されているIgniteは日本でもすぐにも対応可能だ。

 

もちろんAmazon以外の多様なECサイトならびに広告プラットフォームの台頭は常に意識している。「年内を目標に、早ければ今月末にもTik Tok広告APIと連携します」。ソーシャルコマースの領域もこれからも成長していくと捉え、注力していくという。

 

一方で日本のマーケットでいえばTwitterも重視するべきSNSとなるため、開発の検討を進めているとのこと。「顧客のニーズをキャッチアップし、アップデートしたりカスタマイズしたりということを常に行っていきます。常にベータ版というか、成長を続けていくツールだと思っています」。

 

さらにIgniteは在庫管理とも連動しているのが特徴だ。Amazon内で特定の商品の在庫切れが近くなると、自動的にAmazonスポンサー広告の管理画面上でその商品の広告配信を停止する機能が備わっている。「消費者にネガティブな購買体験をもたらす在庫切れを避ける仕組みが備わっています」。

大規模な機器から食品まで、悩みは皆同じ

成長を続けるEコマースマーケット。「急成長を遂げたコロナ禍の2020年と同様というのは難しいかもしれませんが、これからもマーケットは成長を続けていくと見ています。それに伴い、ECプレイヤー、ECチャネルリテール、広告分析のプラットフォームのチャネルはさらに多様化していく。リテールや広告に関する戦略的なデータ管理の需要はさらに大きくなっていくと考えています」。

 

多様なデータを前に頭を抱えるのではなく、いかにスマートにデータを抽出してアナライズするか。そして統合的なデータに基づいていかに綿密な戦略を練るか――。多様化するEコマース市場において、企業側は今後ますますそんなアクションが求められていきそうだ。

実際、Igniteをローンチ以降、導入企業は着実に増加中だという。「特徴的なのは、顧客には大企業も中小企業もいて、企業規模はあまり関係ないということです。しかも扱う商材も大規模な機器から小さな食品までいろいろあります。やはりどんな業態であっても、皆同じような課題を持っているのだと思います」と老田氏。

 

今後の目標を聞くと、力強い答えが返ってきた。「Igniteをご活用いただく企業が増えることで、空いたリソースでの商品開発への注力や、戦略的なマーケティング施策に取り組める企業が増え、ユーザーが今よりもさらに質の高い購買体験ができるようになると考えています。その結果、Eコマースでモノを買うユーザーがさらに増え、マーケットが拡大していくことに繋がると思いますので、そういった形で日本のEコマースマーケットの発展に貢献していければつながればと願っています」。

老田 亮一

Ryoichi Oita

DMT株式会社シニアアカウントマネージャー

エリアマーケティングに特化した広告代理店を経て、電通グループ内のデジタルマーケティングカンパニーCCIに従事。プログラマティック広告の運用コンサルティングや位置情報マーケティング、Amazon広告などその時々のトレンド領域を中心に担当。その後はSNSを中心にクライアントを支援。2022年より現職。

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