ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

ハーバード大学院卒の著者が執筆した、いまの10代に伝えたいこと。2050年に活躍するために知っておきたい38の話

日米を行き来しながら活躍するベンチャー投資家の山本康正氏が、10代に向けた新刊を上梓。2050年の未来予測をしつつ、未来を生きる上で必要なことを伝えている。同氏が現代の日本の若者に感じる危機感とは? そして彼らが明るい未来を拓くために必要なものとは? 山本康正氏に話を伺った。

新鮮かつリアルな2050年の未来予測

「きみたちは宇宙でなにをする?」。そんな問いかけがタイトルになった書籍に、ハッとさせられる人もいるのではないだろうか。サブタイトルは「2050年に活躍するために知っておきたい38の話」。著者はハーバード大学院理学修士であり、かつてGoogleで活躍した経歴もあるベンチャー投資家の山本康正氏。同書はテクノロジーとビジネスに関する書籍を数多く上梓している同氏が、10代に向けて、未来予測をしつつメッセージを記した新刊だ。

 

2024年を迎えたいま、宇宙旅行は一般になったとは言えないが、それでも夢のまた夢というほど遠くもない。テクノロジーがさらに発達する2050年にもなれば、「宇宙でなにをする?」という問いかけも、きっと突飛なものでなくなっている……。本書を読んでいるとそんな未来が見えてくる。

 

実際、同書で予測されている2050年には新鮮でありながら、よく考えるとリアリティがある。例えば「ファミレスはロボットが、そして高級店は人間が接客する」、「運転手がいないクルマが当たり前になる」。一方でハッとさせられる予測も少なくない。例えば「ひとり1票の選挙から、信頼できる人に0.5票を託す時代が到来」。確かにありそうだが、その時代の政治はどんなものになるのだろうか。本書のターゲットは10代だが、親世代や教育に関わる人にも興味深いトピックスが続く。

 

日本の学生に感じる「内向きさ」への危機感

教育面での未来予測として山本氏が挙げるのが、「学校の先生はAIのマッチングで選べるようになる」。コロナ禍を経て世界的にオンライン授業が急速に定着した今、確かに現実的な未来に思える。

 

「もともと教育に興味があり、また自分が通っていた中学校や高校などで講演する機会もあって、本書はそんな10代に向けて書きました。彼らはテクノロジーの影響を大きく受ける世代でもあります」と語る山本氏。

 

同氏は京都大学院の特任准教授も務めており、大学院生と向き合う機会がある。彼らと関わっていると、危機感を覚えることもあるという。同大学院は海外からの留学生も多いが、国際的な環境の中で見ると、日本人学生の「内向きさ」が際立つというのだ。

 

「日本人の学生は、非常に真面目だと感じます。一方で正解はどこかから降ってくるような、『待ちの姿勢』であることも多い。今の世の中、答えがないことは少なくありません。そんなときにどう考え、ディベートの中で答えを導き出す能力は、特に今後非常に重要になってきます」(山本氏、以下同)

 

そんな日本の学生の「内向きさ」の背景には、日本の教育現場における独特の空気感も影響しているという。「日本の学校で手を挙げると、『意識高い系』に見られたりして恥ずかしいなど、同調圧力に負けてしまう空気があります。それが海外だと逆で、授業でどんどん手を挙げなければ点数を取れません。そして自分だけでなくクラスにとって良い質問することが評価に繋がります」

 

こうした日本の現状に対し、打開策のひとつとして山本氏は「海外の大学に行くのも選択肢のひとつ」としている。自身は高校を卒業後に京都大学に進学したが、もしその時に戻れるなら、海外の大学に進学していたかもしれないという。

 

だからこそ本書では「これだけはしっかり勉強しておこう」という科目のひとつに、英語を挙げている。むしろ絶対にサボってはいけないという。

翻訳アプリが発達しても、英語ができる強みは大きい

山本氏が英語学習をすすめる理由のひとつに、当然ながら多くの人と有意義なコミュニケーションがとれることがある。日本語を話せる人は約1億人、英語を話す人は10倍以上の15億人以上と言われ、日本以上に優秀な人も多い。翻訳アプリが発達しようとも、直接コミュニケーションがとれる方が楽しいし話が早く、また得るものが大きい。

 

さらにそれ以外に大きな理由として、インターネット上における情報量の差を挙げる。インターネットを日本語で検索すると、日本語の情報にあふれているような錯覚に陥るが、実際はネット上のわずか1.9%だという。もちろん最大言語は英語で、全体の63%。ネット上の英語での情報は、日本語の約33倍もあるのだ。今後の世界にインターネットやテクノロジーが欠かせないことを考えると、英語でコミュニケーションができ、さらに膨大な英語の情報を取得できるメリットは大きい。

 

山本氏自身は大学時代に交換留学でニュージーランドに留学、さらに東京大学大学院卒業後は三菱東京UFJ銀行に入行、すぐにニューヨークで勤務した。その後ハーバード大学で学び、現在は米国と日本を行き来していると聞くと、当初から英語に長けていたのだろうと思えてくる。

 

しかし実際は「英語は相当、苦労しました」と自身の過去を振り返る。「学生時代、初めてアメリカ、ニューヨークやボストンに行ったときは愕然としました。それまでに受験勉強に加えNHKビジネス英語なども勉強してきましたが、現地の人が何を言っているかさっぱりわからないし、こんなにも通じないものなのかとショックでしたね」。そんな山本氏が「英語は手を抜くな」と語るからこそ、そこには説得力がある。

さらに同氏が初めてアメリカに降り立って狼狽したように、10代の若者には思い切って旅をすることも必要だと語る。コスパ、タイパを重視する若者世代からすると、旅をすることで何を得られるのか? とつい費用対効果を考えてしまうこともあるのかもしれないが……。

 

「コスパという言葉にとらわれないほうがいいと思います。時間軸は10年後など長期的にとられていないことが多く、何が分母のコストか何が分子のパフォーマンスかもわからないまま、『これはコスパが悪い』とあきらめてしまうのはもったいない。英語ができなくてもまず、バックパッカーのように海外に飛び込んでみる、冒険してみるということも若い世代には必要だと思います」

問題を解決し、人生を切り拓く基礎になる学問は

山本氏がもうひとつ、10代の学生に向けて「絶対にサボってはいけない」と語る科目が数学だ。本書では「この世界は数学でできている」と表す。数学によって論理的な思考能力を鍛えることは、さまざまな問題を解決する力も高まると言う。それはすなわち、人生を切り拓くスキルとして応用することもできる。

 

「いま日本の大学にデータサイエンス学部がどんどんできていますが、もっと早い時期にできてもよかったと思います。膨大なデータを活用できる人は、今後さらに活躍の場が広がっていくでしょう」。本書でも将来性のある分野をひとつ選ぶとしたら、人工知能やデータサイエンスと即答するとしている。それも行列や確率などの数学が分かることが前提だ。

 

一方で、「そこまでがんばらなくてもいい勉強」が忌憚なく述べられているのも本書の魅力。学校の先生が教えてくれない本音が綴られている。そのひとつが「暗記をがんばる暇があったら、むしろ生成AIで壁打ちをしよう」。AIの回答を丸写しするのはNGだが、AIを道具としてうまく活用できるようになれば、より良いアイデアを生み出すこともできる。だからこそ10代にはなるべく早く生成AIに慣れ親しんでいこうと提案する。

 

こうした山本氏の提案は、10代向けに書かれているものの、ビジネスパーソンにも響くものが多い。特にリスキリングという概念が定着してきた今、改めて英語に触れ、数学に触れ、そして最新のテクノロジーに触れても、きっと遅すぎることはない。

失敗するかっこ悪さよりも、挑戦しないかっこ悪さ

第一線でキャリアを積んでいるように見える山本氏だが、自身の10代を振り返ると、「モヤモヤしていた」という。勉強も運動も、上を見ればさらに上がいる。一時は挫折感を覚えてやる気をなくしたこともあるし、「僕は天才ではない」と本書でも綴っている。

 

そんなモヤモヤした10代の心を理解している山本氏だからこそ、「どんどんチャレンジしよう」と呼びかける。それは学習だけでなく、恋愛もコミュニケーションも、失敗を恐れずに場数を踏んでいくことで見えてくるものがあると語る。

 

「失敗してかっこ悪く見えることを恐れて、何も挑戦しないのが結局一番かっこ悪い。特に若い世代は失敗しても許されるから、どんどん挑戦してほしいと思っています。そして、自分の頭で考える力がある方が増えていければと思います」

山本康正

Yasumasa Yamamoto

京都大学経営管理大学院客員教授

1981年、大阪府生まれ。東京大学で修士号取得後、三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)米州本部にて勤務。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得後、Googleに入社し、フィンテックやAIなどで日本企業のデジタル活用を推進。京都大学大学院総合生存学館特任准教授も兼務。おもな著書に『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)、『2030年に勝ち残る日本企業』『入門 Web3とブロックチェーン』(ともにPHP研究所)などがある。

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