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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「見落とした!」が損失につながりうる契約書の怖さ。AIによるレビュー支援ツールでその不安を払拭する

万一の時には企業のリスクを軽減し、時に損失を与えることもある契約書という存在。だからこそミスは許されないが、一方でそこに割くリソースが少ないという悩みを抱える企業も多い。

 

それを解決するツールが、LegalOn Technologies が提供するAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」と、契約締結後の管理をサポートする「LegalForceキャビネ」だ。AIは、契約業務の救世主となりうるのか。同社の角田望代表取締役に聞いた。

契約書を作るなんて水臭い!?

日常生活の中でも契約書を目にする機会は多い。家を借りるとき、スマートフォンを新規契約するとき、スポーツクラブに入会するときetc...。契約書の存在は意外と身近だ。ビジネス上でも新規企業と取引を始めるとき、新たに業務委託をするときだけでなく、既存でも取引内容の見直しや法律の改正に対応する際など、契約書が登場するシーンは多分にある。

 

ただ「契約書」と聞くと「難しい」「わかりにくい」など苦手意識を持つ人も多いのではないだろうか。見落としてはいけないと思いつつ、「甲が乙に……」という見慣れない文面や難解な表現などで、気が削がれたりもする。

 

「昔から付き合いのある企業との取引などでは、『契約書なんて、そんな水臭い……』と言われることもあるかもしれません。けれども、契約書は決して『水臭いもの』ではありません。企業が成長を続けるにあたり、契約書の重要度はさらに増しています」と角田氏は語る。

 

「例えば見積書と発注書だけをとって、契約書を作らずにビジネスを進めるケースもあります。クローズな関係で問題が発生しない状態では成り立ってきたかもしれません。けれども問題が発生した際には、どの範囲まで損害賠償を請求するのか、また損害請求されるのかなど契約書に定めておかなければ後々大きなトラブルに発展する可能性を秘めています。新規取引を始める企業同士はもちろんのこと、長年取引がある企業同士でも、契約書は非常に重要です」(角田氏)。

法務担当者の人材不足

「LegalForce」を導入している企業の担当者からは、「審査しなければいけない契約書の数が増えている」という言葉をよく耳にするという。事業環境の変化に合わせて、新規事業を開始したり、取引先を国外にも広げたり、グローバルへの展開を視野に入れる企業も多い。企業が多角化を目指すほど、契約書が必要な場面も増加。さらに新規だけではなく、既存の契約書の更新や、法の改正に対応する必要もある。また、企業法務が担う業務は契約審査だけではない。法律相談や紛争の対応、コンプライアンス、コーポレートガバナンスへの対応も増えている。企業が成長し拡大するほど法務担当者の負担は増えていく一方だ。しかしその人材育成は容易ではない。

 

「法務部門の人材育成には時間がかかると言われています。キャリアを積むには、専門的な知識も経験も必要です。とはいえ、外部から採用することも難易度が高い、と嘆く企業も少なくありません」。

 

増える一方の契約業務を少数で対応しなければならない……多くの企業でそんな課題を抱えているのだという。また、担当者の習熟度によって契約審査の質やスピードに差が生じる。

 

加えて、契約書の審査は「見落とした」では済まされない。契約書は将来的に起こりうるリスクを回避する役割があり、訴訟になった場合、契約書の有無や内容がその行方を左右するからだ。また、契約書は一度締結してしまうと戻れないという不可逆性を持っている。

「この文面、なくて大丈夫?」見落としや抜け漏れの発見を支援してくれる

こうした契約審査にまつわる課題について解決をサポートするツールが「LegalForce」だ。契約書をアップロードするだけで、契約書に潜むリスクの発見をAIがサポート。契約書の見落としや抜け漏れの発見、さらには自社独自の確認項目や修正方針とのずれ、表現のばらつきを教えてくれる機能などを搭載し、契約審査の効率化と品質向上を支援している。

例えば「執筆」に関する業務委託契約を締結する時の契約書を見てみよう。一言で「執筆」といっても、執筆に必要な資料集めや調査・取材など業務は多岐に渡る。「LegalForce」を活用して契約書をレビューすると、業務内容について記載する条項に「執筆業務」としか書かれていない場合には、「それに付随する業務」という文面を入れてはどうかと検討を促す文言が表示される。

 

人間の特性として、文章中の誤記や修正点は比較的見つけやすい。一方で記載がない項目、本来入れるべき項目が書かれていないことに気づき、加筆するというのはなかなか気づきにくいものだ。こうした抜け落ちや見落としに関して、「LegalForce」はリスクの洗い出しを支援する。

700以上ものひな形を収録。「インフルエンサー」「テレワーク」といった最新事情にも対応

「LegalForce」では、弁護士が監修した契約書や社内規定などのひな形を700点以上搭載している。これらは、新たな契約書や社内規定を作成する際に有用だ。これまでは作成する契約書の元となる情報を探すところから始めていたが、「LegalForce」を使用すれば、信頼度の高いひな形をすぐに使用することができ、その手間が省ける。

 

「LegalForce」で提供しているひな形は「業務委託契約」だけでも100を超える。ひな形の中には「受託者有利/中立/発注者有利」といった立場別のひな形も提供している。

 

また、「テレワーク就業規定」や、SNS上で活動するインフルエンサーとの「業務委託契約」など、昨今の社会情勢や業務形態に合わせたひな形が日々追加されているという。

 

これらのひな形は弁護士監修のもと、さまざまな法改正にも対応している。法律というのは変化していくものだ。同社ではこれまでも契約書に関わる法改正を都度キャッチアップし、迅速に対応してきた。

 

さらに自社独自の契約書のひな形を登録することで、自社基準でのレビューが活用できるようになる。過去案件の修正・交渉経緯を確認したり、アップロードした過去の契約書や自社ひな形から欲しい条文を検索したりすることも可能だ。「ナレッジとして蓄積し、それを共有することによって、知識が属人的にならず、法務に関わって日が浅い若手の育成にも役立ちます」。

 

こうした機能により、契約書の質の向上に加え、時間削減を実感している法務担当者は少なくないという。ある導入企業からはこれまで1つの契約審査に2時間かかっていたが、「LegalForce」の導入後は1/4に作業時間が短縮したという声も寄せられている。

 

さらに「LegalForce」は英文の契約書にも対応する。「グローバル化が進むにつれ、海外との取引を行う企業も増えています。非英語圏の企業でも契約書は英文でという企業も多くあり、ニーズの高まりを感じています」(角田氏)。

 

昨年12月には米国法人としてLegalOn Technologies, Inc.を設立。米国での契約レビューサービスの展開を発表している。

「同じ法務業務を担うからこそわかる悩み」法務担当者同士の交流にも注力

「LegalForce」は、2019年4月に正式版をリリースしてから2022年9月時点で、導入実績は2,500社を超える。導入企業はサントリーホールディングス株式会社、日本たばこ産業株式会社(JT)、ENEOSホールディングス株式会社といった大企業から中小企業まで、規模も業務形態も多岐に渡る。常に多数の契約審査を行う法律事務所も導入企業に名を連ねる。

 

法務に携わる人材もいわゆる「一人法務」から、法務部だけで20人を超える大所帯まで様々だ。「企業の規模によって契約業務に関わる人数や感じている課題は異なります。中小企業の場合、法務専門の担当者がいなかったり、ほかの業務と兼務しているケースも多々あります。契約業務の質の向上や業務効率化への課題が多いようです。一方で企業規模が大きく、法務部門の体制が整っている企業では、契約審査の基準や業務が属人的になっていないか、過去からの情報が蓄積されているかなど、ナレッジマネジメントに対する課題を持っている方が多いようです」。

 

前者の場合はレビュー機能やひな形の活用が有効なのは前述のとおり。後者のように、複数人が契約書に関わる場合に有効な機能も複数ある。

 

そのひとつが案件管理機能。担当者や進捗状況を可視化することにより、タスク漏れをなくし部署内のマネジメントの効率化につなげている。

さらに昨年12月にはオンラインエディタ機能のオープンβ版をリリース。契約書の編集・保存をはじめ、コメントの追加・返信や変更履歴が残せるようになり、「LegalForce」上で契約書の編集作業が完結できるようになった。オンラインエディタ機能で編集した契約書は、自動的に最新バージョンとして保存され、修正した契約書をその都度アップロードする手間も省けるようになった。

 

導入後のサポートも注力していることのひとつだ。同ツールにはチャット機能を搭載しており、ユーザーは疑問点を即時に質問することができる。

 

さらに定期的にユーザー向けのセミナーやイベントを開催し、「LegalForce」の新機能の活用術のレクチャーや、各社の活用法をシェアする場を設けている。「法務業務を担う方同士の交流の場はあまりないようで、ここで聞いた話を自社の参考にしていますと言っていただくことも多いです」。

法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会の実現を

契約書は締結して初めて法的拘束力を持つ。締結前の審査も大事だが、契約締結後の管理も重要だ。ひとたび契約が締結したことで、安心してしまって放置することもまたリスクだ。不要な契約だったのにずっと更新を行って無駄な支出を招いたり、気づかずに契約上の義務に違反して損害賠償を請求されてしまうケースもある。

 

同社はこうしたリスクを回避すべく、締結後の適切な契約管理をサポートするAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」も提供する。「契約書を登録することで、例えば更新期限をリマインドするなど、管理を自動化できます」。

 

自身も弁護士であり、弁護士として働く中で、「自分自身、あったらいいなと思ったツールを開発してきました」という角田氏。

 

「テクノロジーでやりたいことはたくさんあります。『法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る』というのが弊社のパーパス。契約書はビジネスの根幹となるもので、そこに携わる方々の役に立てればと思っています」。

角田 望

Nozomu Tsunoda

LegalOn Technologies 代表取締役

2010年京都大学法学部卒業、旧司法試験合格。2012年に弁護士登録、2013年に森・濱田松本法律事務所に入所する。2017年に法律事務所ZeLoと株式会社LegalForce(現:株式会社LegalOn Technologies)を創業し、同社の代表取締役を務めている。

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