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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

『空き家対策』から『高校生の教育プログラム』まで、「売れない……」Eコマース事業者を救うメルカリ事業

日本におけるEコマース市場は拡大を続けるが、一方で「思ったよりも売れない」、「人材が避けない」と悩む事業者も少なくない。そんななか、2021年10月にCtoC市場で高い知名度を誇る「メルカリ」がBtoC向けEコマースプラットフォームである「メルカリShops」をオープンした。

 

「メルカリ」から「メルカリShops」まで、カスタマーサポート(CS)に従事し続けてきた株式会社ソウゾウのディレクターである山田和弘氏は、日々こうした事業者の声に向き合っている人物だ。CS組織を重視する同グループは、こうした事業者の声にどう答えるのか。「メルカリShops」のバックグラウンドからこの1年の経過、そして目指す未来まで、山田氏に聞いた。

ECサイト参入への課題をクリアする、「かんたんで、売れる」ソリューション

株式会社ソウゾウは、メルカリグループにおける新規事業の企画・開発・運営を担う。同社は2021年10月にEコマースプラットフォームである「メルカリShops」をローンチした。そのソウゾウでカスタマーサクセスを担うのが、同社ディレクターの山田和弘氏だ。

 

まずはCtoCのEコマースで圧倒的な知名度を誇るメルカリが、BtoC事業に参入した背景について聞いてみた。

「日本における2020年のBtoCの物販に関して、市場規模は全体で約150兆円です。そのうちEC市場規模は12.2兆円、つまりEC化率は8パーセント程度しかない。これが米国のEC化率は15パーセント前後、中国のEC化率は30パーセント以上となっています。世界水準で比較すると、日本はまだまだ上昇の余地があると考えています」。

 

さらに近年はコロナ禍の影響もある。緊急事態宣言の発出時には、三密を避けるため、日本政府もEコマースを積極的に利用するようにと呼びかけていた。「事業者の方もオフラインでのビジネスの場が減少し、オンラインのソリューションの必要性はより高まっていきました。けれども特に生産者や小規模事業者では、EC化を進められていない状況がありました」。

 

ソウゾウでは事業者がEコマースに参入しにくい理由を以下のように挙げている。EC事業に参画していない事業者では、①管理・運営できる人がいない、②売れるかどうかわからない、③ITに関する知識・経験がない、が理由のトップ3だという。

 

さらにECサイトを開設したが商品が売れていない理由としては、①ECサイトへ集客できていないから、②商材に1点ものが多いから、③ECサイト運営の知見・ノウハウがないから、が3大理由だと分析している。実際にソウゾウが実施した意識調査の中で、ECサイトを開設している小規模事業者のうち商品が「売れている」と回答したのは25.3パーセント、約4人に1人という結果も出ている。

「だからこそ、誰でも簡単にショップが開設でき、さらに売れる、ということをメルカリShopsは目指しています」。そのコンセプトは、「メルカリShops」のキャッチコピーである「かんたんで、売れる」というシンプルな言葉に集約されている。

なじみの「メルカリ」だからこそ、「メルカリShops」販売へ

「メルカリShops」の出店者には、もともと「メルカリ」の利用者も多いという。「メルカリになじみがあるからと、メルカリShopsに参加してくださる事業者さんは少なくないです」。それは「メルカリShops」の先行出店申し込み者のうち、実に55パーセントがEC初出店という数字にも表れている。

 

「さらにメルカリアプリには月間2,000万人以上の利用者がいます。その集客力を通して、事業者さんには『売れる』という体験をしてもらいたいと思っています」。「メルカリShops」では頻繁に各種キャンペーンや特集などを実施、さらにメルカリで培ったUI/UXへの知識やAI技術なども活用し、売れる仕組みをアップデートしている。

 

一方でBtoC向けのECプラットフォームには、「メルカリ」以外の先駆者もいる。「メルカリShops」は後発として、競合といかに差別化していこうと考えているのか。そんな少し意地悪なことも問うてみた。

 

「競合かと言われると、難しいですね。事業者の方にとっては、プラットフォームが増えることは、販売のチャネルが増えることです。もしメルカリShopsが一人勝ちするような状況があれば、それは事業者の方にとっては必ずしも良いことではないと思うんです」。

 

市場のパイを奪い合うのではなく、市場規模を拡大させてパイを増やしていく――それが     「メルカリShops」の志だ。

空き家対策や高校生の教育支援も「メルカリShops」で

実際に運用を開始し、この1年はどうだったのか。「メルカリ」のアプリ内には「ショップ」のタブが設けられ、以前は目にする機会が少なかったジャンルの商品も増えた。「これまでのメルカリでは1点ものが多かったのですが、メルカリShopsの事業者の方は、多くの在庫を持つ方も少なくありません。食品を含め、販売されるものはさらに豊富になりました」。

「メルカリShops」ならではの新たな試みも行っている。「最近では自治体の方の参加も増えています。自治体の方がセレクトしたその土地の名産品を特集したりもしています。また、これまでなら現地でしか買えなかった地方の銘菓などの販売も開始しています」。

 

コラボレーションの仕方も多彩だ。鳥取県南部町と連携し、空き家対策として、まだ使える家財などの販売に取り組んでいる。熊本市立千原台高等学校との提携では、生徒の提案した販売戦略を基にした、地場産品販売もスタートした。高校生たちが「メルカリShops」を舞台に、Eコマースの利用方法や販売戦略を学べるユニークな教育支援になっている。

 

こうした商品や出店者の多様化は「メルカリ」単体だけの時にはなかった、新たな動きも生んでいる。「意外な動きのひとつに、観葉植物を販売する事業者さんで、かなりの売り上げをあげた方がいたことです。メルカリのお客さまにはもともとインテリアの意識が高い層も多く、さらにコロナ禍で自宅滞在時間が増えた背景もあり、うまくマッチしたのかもしれません」。

 

これまで「メルカリ」ではあまり売られてこなかったものもヒットしている。「お米の需要も高いですね。やはり重くて持ち運びが大変だから、オンラインで購入するという方も多いのだと改めて気づかされました」。

CS事業が成長のドライバーとなるように

山田氏自身は2014年にメルカリに入社してから、複数のCS組織立ち上げに参画してきた、いわば「CSのプロ」。2022年1月からはソウゾウにてCSを担当している。「メルカリ」と「メルカリShops」で、カスタマーからのニーズは異なるのだろうか。

 

「メルカリでのお客さまからの問い合わせは、例えば発送方法など実務的なことが中心でした。一方のメルカリShopsでは、例えば入金に関することなど、よりビジネス的な側面が強い。さらに『どうやったらさらに売れるのか』というご相談も多いですね。参加してくださる事業者の方々の本気度を感じます」。

 

実はメルカリは創業時から「サービス拡大の要」として、CSを重要視してきた。「CSは直接お客さまと向き合い、トラブルを解決していきます。お客さまの体験に直接関われる部門でもあります」。

 

そして単にカスタマーに満足してもらうだけではなく、その一歩先も重要だという。「力を入れているのは、蓄積されているお客さまの情報を、しっかりと事業やプロダクトにフィードバックしていくこと。CSは事業を伸ばしていくための成長のドライバーの役割を果たしています。CSがプロダクトを開発していく上での意思決定に関わるのが、メルカリのユニークなところかもしれません」。

 

一方で「メルカリShops」という新規事業に携わるソウゾウならではの一面もあるという。「お客さまからの問い合わせや要望はメルカリ同様、非常に多いですね。ただメルカリとは会社として持っているリソースなどアセットの規模が違います。その分、フットワークを活かし、スピード感を持って意思決定をできればと思っています」。

 

とはいえ、重要なのはスピード感だけに留まらない。「お客さまへの向き合い方は、グループ全体で共有されていて、対応も共通化されています。全体に情報を周知していくこと、業務を標準化するプロセスは綿密に作っています。そこはかなり気を遣っているところでもあります」。

AIも活用し、お客さまと愚直に向き合っていく

こうしたお客さま対応の共通化のソリューションとして、AIを活用したDX化も重視している。引き続きAIに投資し、さらに利便性をあげていこうとしている。「現在もメルカリでは商品を出品する際に、画像から商品を特定し、商品カテゴリや売れやすい価格帯をサジェストするなど、AIを活用の幅を広げています」。

 

さらにAIの活用方法は多岐にわたる。「CSの仕事はお客さま対応だけでなく、不正に対する対策も含まれています。出品された商品に不正の可能性があれば、AIで検知される取り組みを行っています。お客さまに安心・安全で公正な利用環境を提供していくことは、マーケットプレイスとして規模を拡大していく中での責任だと思っています」。

 

山田氏と話していると、何度も「お客さま」という言葉が出てきて、日ごろからカスタマーの声に真摯に耳を傾ける姿勢が伝わってくる。「メルカリもソウゾウも、愚直にお客さまに向き合っている企業で、そこはずっと変わっていない。そしてそれが企業の成長の原動力になっています」。

山田 和弘

Kazuhiro Yamada

株式会社ソウゾウ ディレクター

株式会社ミクシィのカスタマーサポート部門の責任者として約7年間従事。ソーシャルゲーム業界団体の立ち上げ、青少年保護に関わるサービス健全化施策を実施。2014年4月に株式会社メルカリに参画。カスタマーサービス部門のマネージャーに就任し、仙台拠点やカスタマーサービス・トラストアンドセーフティー(Trust and Safety、不正検知)の立ち上げ、メンバーの採用・育成を担う。2021年より株式会社メルコインで暗号資産事業立ち上げ、NFTサービスのCS体制構築に従事したのち、2022年1月からソウゾウCSを担当する。

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