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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

煩雑な「取締役会」の時間を大幅に圧縮! 取締役会に特化したDXプラットフォーム

上場企業ないし、その準備段階の企業で設置が必要となる「取締役会」。上場に関連する企業では、毎月開催することが求められる。企業の重要な意思決定を行う会議運営となれば当然多くの人が関わることになり、それゆえに日程や議案の調整、必要な情報の伝達、議事録の作成や押印など、アナログで煩雑な作業も多く存在する。前述の通り、事務運営に時間がかかり、肝心な重要事項の審議時間に時間を割けられていないのが課題だ。

企業の営利活動においてはPDCAサイクルを回し、改善を行うのが経営の常。それを日本の取締役会にもなんとか反映させられないか……。そこでミチビク株式会社によりリリースされたのが、取締役会DXプラットフォーム「michibiku(ミチビク)」。「経営を、あるべき姿へ導く。」という動機からその名が付けられたソリューション「michibiku」のポテンシャルとは。開発した代表取締役の中村竜典氏に話を聞いた。

取締役会に必要なデータをまとめて見える化

企業の決定事項を議論する重要な「取締役会」にフォーカスしたDXプラットフォーム「michibiku」。提供する価値は、大きく2つある。1つは取締役会における煩雑な手続きをデジタル化すること。承認工程におけるペーパーレス化や脱ハンコはもちろん、取締役会に必要なデータを一つのプラットフォームに集約。取締役会のフローにおけるさまざまなフェーズをアナログからデジタルに置き換えることで、業務を効率化する。具体的には、取締役会の準備から完了までの時間を1/3ほども圧縮できるというのだ。

「開発の動機は、私の実体験から。監査法人、スタートアップ企業、IPO支援と、これまでのキャリアでさまざまな立場を経験してきた中で、取締役会は最高意思決定の機関、経営を推進するための機関であるにも関わらず、なかなか本質的な議論に時間を使えていない実態がありました。招集通知、議事録の作成、その後のハンコのリレーなど……。旧態依然のアナログな運営により発生する煩雑な業務に時間を割かれていました。重要会議に関わる人の人件費は当然とても高いですし、彼らにはクリエイティブなことを生み出せるブレーンもあるにもかかわらずです。そういった部分に課題感を感じたのが入り口でした。上場企業の取締役会で決定されることは、日本経済においても影響力が大きく、おのずと生活者にも結びつく。取締役会がスムーズに遂行され、PDCAが回ることで、ひいては日本全体が良くなるに違いない。これは取り組む価値がある、そう感じました」(中村氏、以下同)

「michibiku」の正式版がリリースされたのは、2022年の8月。ちょうど1年経った今、サービスの利用状況はどうなのか。

 

「比較的順調です。『取締役会DXプラットフォーム』と標榜してはいますが、取締役会だけではなく、監査役会や監査等委員会、経営会議、リスクコンプライアンス委員会といった、組織図に載るレベルの大きな会議は広くカバーできるサービスとなっています」

 

とはいえ、それでは現場で働く人にとってはなじみが薄い。例えば営業、マーケティング、製造などの現場においてサービスを利活用できたら、かなり便利そうだけれど……。

 

「そういったご要望もいただくのですが、システム開発において何でもできるソフトは、何もできないソフトであることと同じ。汎用的にしすぎるよりも、資本や人的リソースが限られている我々のようなスタートアップは領域を特化し、まずは新しいマーケットを切り開いていこうと考えています」

稟議の無駄を省き、自動分析。AIによる要約も

「michibiku」のもう1つの提供価値は、その会議の質や中身を分析するサービスにある。AIによる議事録作成支援や会議の内容が定量的に可視化されることで、取締役会におけるPDCAサイクルを回すきっかけになり得る。

 

「取締役会の準備にあたっては目に見えない煩雑な作業が多く、結構な時間を取られます。そこをシステムに預けられるようになるので、効率化できますし、使う頭が空くことで発想を違う部分に転換できます」

 

フタを開けてみると結局報告や稟議ばかりに時間を費やしていた、という取締役会の現状を、クリエイティブで新たな発想が生まれるように変えていく。「michibiku」の導入で、取締役会に関わる人材のリソースを最大に活かせる形を実現できるというのだ。

 

「リソースが生まれたことや分析ができたことによって、意思決定の近くにいる役員においても、何を議論すると会社が良くなるのか、業績が上がるのか、株価が上がるのか、従業員が良くなるのかといった、未来の活動に意識を割けるようになっていきます」

 

さらにこの7月には、ChatGPTを活用し、発言の要約、会議時間・議論傾向を可視化する機能「michibiku~見える化~」β版の提供がスタートした。時間のかかる会議の書き起こしにAIを使ってサポート。書き起こしされたテキストデータを、さらにAIで解析し、会議の内容を自動要約。要約結果は、議事録の文章に使える形式までサポートされる。時間の使い方についても解析し、表やグラフ等で見える化。議案やテーマなど、自由度の高い可視化を実現している。議論時間の傾向を可視化することで、PDCAを回すための定量データが自動でできあがるというわけだ。

例えば、社会的責任の大きい大企業においては、サステナビリティ関連事項も重要な検討事項に上がっているために取締役会で議論するべきではあるが、目の前の業務課題に追われて、そこまでなかなか到達できない場合も多い。

 

「旧態依然で稟議にばかり時間を取られている状態に課題感を持たないまま進むと、企業によってはサステナビリティ関連事項が置き去りになってしまう可能性が高くなってしまいます 。『michibiku』では、人と会議の見える化をすることによって、将来的に、例えば『サスティナビリティについて議論してください』といったアラートを鳴らすことも可能になります」

デジタルやAIが台頭しても、結局人が決定を下す

中村氏が見据える2030年とは? 聞いてみた。

 

「コロナ禍もあり、特にここ1〜2年は変化が非常に早くなっています。モビリティ系の革命だとか、核融合のエネルギーが使えるようになっているとか、今とは全然違う世界になっているとは思います。ただ一方で、意思決定自体は人が行うのは変わらないと思うので、私たちのサービスもどうやってうまくDXテクノロジーを使いながら進化させていくかが、引き続きの課題です」

 

AIでは不可能で、人にしかできない。それが意思の部分であり、それがよりクリエイティブに繋がっていく。AIと人の分業化が現在よりもさらに進んでいく未来が容易に想像できるからこそ、選択を適切にできる人材をいかに確保できるかが大切だ。AIの頭がどんどんよくなっていくそばで、人もさらに、リスキリングをしていく必要がある。取締役会のメンバーである役員レベルの方にとっても、リスキリングは必要不可欠であると中村氏は話す。

 

「既にスキルを持つ役員レベルのリスキリングは不要と思われるかもしれませんが、むしろ役員の方こそが常に新しい知識を入れ、適切な意思決定ができるようになっていく必要があると思います。世界的にも、上場企業における役員の30%〜過半数は社外役員にしていく動向です。社外役員であると客観的に意思決定を監督できることもあり、大企業では積極的に登用する気運があります。ただ、社内役員よりもどうしても情報量が少なくなってしまう部分がある。どれだけ情報をキャッチアップできるかという意味においても、リスキリングは非常に重要になってくると考えます」

 

上場企業における利用率100%を目指すという「michibiku」。効率的でより風通しのいい取締役会のスタンダードが確立されれば、社会や生活者にとっていいインパクトをもたらす決定がなされる。それを実感できる日も、近いだろう。

中村竜典

Tatsunori Nakamura

ミチビク株式会社代表取締役CEO

愛知県出身。高校卒業後にトヨタ系企業に入社しライン作業に従事。退職し、1年半の勉強期間を経て公認会計士試験に合格。2013年にPwCあらた有限責任監査法人に入所し、東証一部上場企業を中心にインチャージとして財務諸表監査、内部統制監査業務等に携わる。その後OKANに入社、コーポレート責任者を経て、2018年に独立。2021年4月にミチビクを創業。

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