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mineoがIoT領域に新たな一手。新規事業支援サービス「DENPA to」の狙いとは?

2023年末、ストリーミングサービス「Twitch」が韓国からの撤退を発表した。

 

「Twitch」はゲーム配信に特化したライブ配信サービスであり、全世界で月700万人以上が配信、訪問者は1日3500万人以上という大人気サービスだ。そのサービスが韓国から撤退した理由として発表したのが、「韓国におけるネットワーク料金が諸外国に比べ約10倍高額」という文面だ。韓国ではトラフィック増加やネットワーク接続料などの問題が紛糾しているが、この騒動でひときわ「ビジネス」と「ネット回線(料金)」が注目されている。

 

そんな折、日本で光ファイバー通信サービス「eo光」やモバイル通信サービス「mineo」を提供する株式会社オプテージが、ビジネス×モバイル通信を支援する「DENPA to」プロジェクトを立ち上げた。ビジネスにおけるネット回線をオプテージが無償提供し、新規事業の立ち上げを支援するプログラムだ。支援は通信だけではなく、渋谷のイベントスペースの提供やプロモーション支援、必要なパートナーとの繋ぎあわせなどと多岐にわたる。

 

その意図は何なのか? 株式会社オプテージ モバイル事業戦略部の山下慶太氏に伺った。

コンシューマ向けとは違う法人向けで見えてきたもの

スマホが生活に欠かせなくなった今、できるだけ通信料は安く抑えたいものだ。MVNOや格安SIM、格安スマホといった言葉でサービスを探していると、緑色が目印の「mineo」の名前を目にすることがある。2014年に開始された格安スマホ・SIMサービスのmineoは、2023年時点では120万回線の契約数を誇り、MMD研究所2023年10月の調査によるとメイン利用のMVNOで12.9%のシェアに位置している。

 

これらコンシューマ向けサービスと同じく、企業向けサービス「mineo法人」も展開。一度に数百にも及ぶ回線の用意や、トリプルキャリア対応、不正利用対策、VPN接続など、企業のニーズにあわせたさまざまなプランを対応している。基本的にはコンシューマ同様にSIM販売となるが、企業と接点を持つことで見えてきたものがあると山下氏は語る。

 

「mineo法人は、基本的にはお客さまに必要な回線を用意してお渡しするサービスになりますが、お客さまの用途をお伺いしているうちに、商品やサービスにSIMを組み込むことで付加価値が生まれるケースがあると気づきました。SIMを渡して終わりではなく、事業やサービスのスタートアップから、通信会社として協力できることがあるのでは?と考えました」

 

スタートアップやサービスの立ち上げ前には検証期間がつきもので、その時に余計なリソースはかけられない。その当初の検証時に、SIMの無償提供や通信ビジネスに関するノウハウを提供するのが、「DENPA to」の中核となる支援だ。

 

DENPA to は2023年11月に立ち上がったばかりのプログラムだが「すでに多数の応募が寄せられています」と山下氏。いったいどのような応募があったのだろうか? そもそもビジネス×モバイル通信とはどのようなものがあるのだろうか?

モバイル通信で付加価値が生まれるものとは?

「商品例としてわかりやすいのは監視カメラです。例えば1万円で監視カメラを売った場合、利益はワンショットになってしまいます。そこに通信SIMを組み込むとどうなるか? 遠隔地や山奥といった通信できない場所でも利用できますし、通信費用や月額費用分がサブスク・ランニング費用として継続的な収益を得ることができます。サービスと収益の拡張が期待できるのです」

 

他にも、自動販売機に組み込んで在庫管理、移動式デジタルサイネージに組み込んだりと、SIMの利用や手法はさまざまだ。このような通信SIMは比較的想像しやすい商品だが、変わった例として年配の方が使う「杖」のレンタル商品を山下氏は挙げた。普通の杖ではなく、杖にSIMを組み込むことで行動データを蓄積し、万が一倒れた場合などにアラートを発信するといったIoTだ。こういった今までにない商品が生まれる可能性があるのがDENPA toのユニークな点だ。

 

「ビジネス×通信は、IoT領域は特に親和性が高く、付加しても違和感はありません。企業としては月額をアドオンでき、収入増が狙えるのです」

 

DENPA toはそのようなIoTサービスを視野に入れている企業の後押しをするプログラムというわけだ。現時点で応募があったサービスには、こんな変わったものもあるという。

 

それは、「アイドル」の行動データ販売。アイドルにSIMを渡し、アイドルの行動をデータ化するものだという。アイドルは時にインフルエンサーとなり、Z世代の代表ともいえる行動をとる。そういったアイドルの購買データ・行動データを販売するという内容だ。また、アイドルの通信料金をファンが負担するサービスも検討中だという。推し活としてファンが通信を負担するという、「投げ銭」ならぬ「パケット投げ」というべきものだ。

 

ただし、これらはそのサービス企業自身がMVNO通信事業者になる必要があるという。かなり難易度の高い事業化のように思えるが、山下氏はこう語る。

 

「お客さまにも『通信事業ができるとは思ってなかった』とか『めんどくさそう』といった反応をいただくのですが、総務省への届け出や諸般の手続きを経れば可能なんです。我々としては培ったノウハウでそこをサポートし、通信事業者を増やして、(mienoの)SIMの利用を拡大していくのが狙いです」

インキュベーションSHIBUYA QWS などの支援

東京・渋谷駅直結の渋谷スクランブルスクエアには、東急が運営するインキュベーション施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」がある。渋谷界隈のIT企業なども集まる、流行の最先端のイベント・コミュニティ施設だ。mineo(株式会社オプテージ)もコーポレートメンバーとしてここに参画しており、DENPA toの募集や相談も同施設でも行っている。そもそもは同施設内で繋がった企業との話の中で、DENPA toが形作られてきたのだという。この場を中心として、今までにないパートナーを探している企業もサポートしていくのがDENPA toのもう一つの強みだ。

 

「我々が現在パートナーと繋がっていなくても、その先で繋がっている企業と引き合わせたりするケースが多々あります。通信を組み込むためにはどうすればいいか、どういった運用がよいかといったノウハウが我々にはあります」

 

また、現時点で募集があったものは、2024年3月末でお披露目会を行う予定だという。場もSHIBUYA QWSにほど近い、マイネオ渋谷内「マイラボ渋谷」だ。今まで世になかったサービスや考えがどのような形になっているのか発表されるのは非常に楽しみだ。

 

東京ばかりの名が挙がったが、全国で広げていく動きももちろんあるという。主要都市にインキュベーション施設に声をかけており、同じような座組で募集や窓口を増やしたい考えだ。

2030年、格安SIM業界はどうなる?

今よりもモバイルやIoTが生活の中心部を担う時代になるであろう2030年。しかし、未来は決して明るくはないという。

 

「eSIM化や5Gも進み、より高速化、大容量サービスはリッチになると思います。物理から、ソフトウエアや、クラウド化されるものが増える未来になるでしょう。ユーザーの利便性はあがりますが、SIMを取り扱う事業の構造自体は大きく変わらないと思います。そこに危機を感じています」

 

mineoのようなMVNOは、大手の移動通信事業者から回線を借り受けてサービスを提供しており、インフラを持っているわけではない。そうなると、他のMVNO会社との差別化は価格帯でしか勝負できず、このままではいずれ淘汰されると山下氏は語る。

 

「今までにないビジネススキームやサービス基盤の提供など、他社がやれないこと、新しい価値を生み出さないと生き残れないと考えています。SIM単体ではなく、ビジネス全体で仕組みが生み出せることが必須。この一つがDENPA toであると考えています」

 

DENPA toは2024年3月末でいったん募集を締め切るが、現状の応募数や反応などを見ると今後も継続したい考えだ。mineoがどういった未来を描いていくのか、期待したい。

山下慶太

Keita Yamashita

株式会社オプテージ モバイル事業戦略部

  • 公式Facebookページ

取材:ENILNO編集部

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