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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

日本のマニュアル文化をAIが救う。「すごいベンチャー100」にも選出されたマニュアル作成管理ツールのメリット

どこの企業も作成・共有・管理しているマニュアルという存在。ナレッジの共有に関しては欠かせないものだが、そこには多くの課題も潜んでいる。その解決ツールとして累計2,000社以上の導入実績がある「トースターチーム」について、サービスを提供するnoco株式会社の代表取締役・堀辺憲氏に話を伺った。

マニュアルは業務の効率化にとって欠かせないもの。ひとつもマニュアルが存在しない企業はなかなか存在しないのではないだろうか。

 

「日本ではマニュアル文化が定着しています。製品の使い方マニュアルはもちろん、玩具の取り扱いマニュアル、お料理のレシピなど、ありとあらゆるものが手順書化されています」と指摘するのは、noco株式会社の代表取締役である堀辺憲氏だ。

 

ただこうしたマニュアルの存在が、時に企業にとって悩みの種になることがある。制作にコストが発生するうえ、常に最新の情報へと更新作業も求められる。さらにマニュアルそのものが行方不明になることも。人的資源が流動的な現代、こうした課題を克服し、マニュアルによってスムーズにノウハウや知識などのナレッジが共有できるか否かは、業務の効率化にとって重要だ。

 

こうしたナレッジの共有に関して、ソリューションとなるのが、noco株式会社が提供するクラウドサービス「トースターチーム」だ。これはAIを活用したマニュアル作成管理ツールで、業務の見える化を通じて、業務効率や生産性の向上、人材の即戦力化を目指すもの。

 

同サービス開発のきっかけは、堀辺氏がかつて経験した、社員教育現場における違和感だという。

 

「大学卒業後、大阪に本社がある大手製造メーカーに入社したのですが、現場研修として3カ月間にわたって製造所で輸出向けトラクターの製造現場でOJTによる研修を受けました。ただ時間が経つにつれて、同じ環境にいるにもかかわらず同期の中でも教わっていること教わっていないことがでてきました。現場での知識やノウハウの有無など、学んでいる情報に差が出てきたのです。これが積み重なっていくと、身に着けるべきスキルやノウハウにも差が出ます。社員教育においては、学習にかける時間そのものにスポットライトが当たりがちですが、教える側と教わる側がそれぞれ最適な状態と環境にあることが重要だと気づいたのです」(堀辺氏、以下同)

 

堀辺氏のエピソードは新入社員時代のものだが、転職・配属替えなど社員教育を必要とする場は少なくない。その際は教える側が一定の品質が確保されたマニュアルを用意し、必要な時にいつでもマニュアルを参照、活用できる環境を揃えることが重要だ。

マニュアルは課題が山積み!? 作成・共有・管理に関する複数の課題

そもそもマニュアルには、「作成・共有・管理」の3点において、それぞれ課題があると堀辺氏は指摘する。

 

「作成」に関しては、誰もがわかりやすいマニュアルの作成自体が難しいということが挙げられる。そのためマニュアル作成を外部のマニュアル制作会社に委託する企業も多いが、これには時間とコストが発生する。

 

さらにマニュアル作成のもうひとつの課題は、作成者によって品質に差が出てしまうこと。フォントや文字サイズなどの表記ルール、手順の詳細説明の濃淡に差があると、マニュアルを利用する人たちの理解に影響が出てしまい、時には業務オペレーションの悪化や事故を招いてしまうことも。「マニュアルをワードやエクセルで作成されている会社さんが多く、その結果、異なるフォーマットによるファイル形式のマニュアルが社内に点在する状態が生まれています」

 

「共有」に関する課題としては、作成したマニュアルを特定のメンバーに、短時間で配布することが難しいという点である。紙のマニュアルの場合、印刷したものを配布先の部門・部署に届けるだけで相応の時間とコストが発生してしまう。当然ながらマニュアル情報が更新されると同じ作業を速やかに行う必要がある。また、社内限定のマニュアルの場合だと、そもそも共有範囲を指定することは非常に難しく、情報セキュリティやコーポレートガバナンスの課題に直面しがちだ。

 

マニュアルの「管理」に関する課題では、先に挙げたように多くの企業が社内マニュアルをワードやエクセルで作成し、それらをファイルとして管理するため、結果としてマニュアルを利用する従業員には必要なマニュアルを見つけるための検索リテラシーが求められてしまう。またファイル形式で保存されていて、ファイル所有者本人でしか触れられないことも多い。そのため、ファイル管理が徹底されていなければ、マニュアルの更新作業が滞ってしまう。結果として社内の誰からも信頼できない、いわゆる「使えない」マニュアルが生まれてしまうのだ。

AIがマニュアル作成をサポート! 時短&コスト削減以外のメリットも

トースターチームは、マニュアルの作成・共有・管理におけるさまざまな課題をワンストップで解決するソリューションとして提供されている。

 

テンプレートに従って、テキストや画像を入力していくだけで、統一化されたフォーマットでマニュアルが作成できる。スマホで撮った動画も利用できるため、現場での作業風景を手軽に動画マニュアル化できる。

さらにAIがマニュアルを自動作成してくれる機能も備えている。「一般的にマニュアルを一から制作するのは非常に時間がかかってしまいます。AI自動マニュアル作成機能を利用すれば、必要なマニュアルのタイトルを入力すれば、数秒でAIが下書きをしてくれるので、マニュアル制作の時短化とコスト削減が可能です」

 

AIが下書きしてくれるメリットは、時短のほかにもある。それまで「これはわが社ではこうやってきた」「こういう書き方、伝え方がベストだ」と思い込んでいた作業手順を、AIが生成したマニュアル・手順書のアウトプットと見比べることで、改めて簡潔でわかりやすい表現や文量などを見直す機会にもなるのだ。

マニュアルを「共有」する際にもトースターチームは有効だ。マニュアルはすべてセキュリティを担保したクラウドにあるから、誰もが容易にパソコンやスマホからアクセスすることができる。また、社内マニュアルの一部を社外の協力会社や顧客に限定共有したり、一般公開したりすることも可能だ。

 

「作成したマニュアルそのものをQRコード化して共有することも可能です。サービス業の店舗や製造業の工場現場で、それぞれの機器や機械にマニュアルのQRコードを添付し、業務用のスマホでそれを読み込んで活用している事業者の方もいらっしゃいます。従来、マニュアルは一カ所に集約して管理することが求められてきましたが、QRコードという形でマニュアルが利用される現場に分散することで、マニュアルを検索することなく、クイックに活用することができます」。こうしたQRコードは、例えば病院・クリニック、介護施設など複数の機器を使う現場でも有効だと堀辺氏は指摘する。

 

「管理」に関しては、マニュアルを利用するグループやフォルダによる管理、またマニュアルを横断して検索可能なラベルの貼付など、組織軸やマニュアル種別で探せるため、マニュアルの利用はもとより更新作業の負担も減る。

累計2,000社を超すシェア拡大の要因と、予想に反した実績

「トースターチーム」のβ版サービスを開始したのが2020年2月のこと。それから約2年で、累計導入企業は2,000社を超えている。スタートアップとしては急速な成長である。

 

その成長の一因としてコロナ禍があったと堀辺氏は語る。

 

「ちょうどサービスの提供を始めたのが、コロナの感染が急激に拡大した時期でした。多くの企業が急速にテレワークを導入し、職場環境が一変しました。業務指示や教育、引き継ぎなどの対面で行っていたことが難しくなり、非対面での業務の見える化としてマニュアルのデジタル化が求められました」

 

さらにはそのリーズナブルな導入コストも、多くの企業が導入を決めた一因だと堀辺氏は分析する。「社内で業務マニュアルを整備し活用する企業の多くが、一度はマニュアル作成ツールの導入を検討されるのですが、導入と維持管理にかかるコストに苦しんでいました。そのため、50名まで月額料金3万5,000円の料金で利用できるライトプランを用意し、中小企業の方が導入しやすい価格設定にしました」。導入した中小企業の多くが、業務の時短化やコスト削減につながり、ひいては従業員教育のパフォーマンス向上に繋がっていると評価する。

 

さらに予想に反した実績も上がっている。「サービス開始当初は、マニュアルのニーズが顕在化している製造業やサービス業の導入が多いと予想していましたが、それ以外にも税理士事務所や会計士事務所など『士業』の方々がサービスに着目くださり、導入が加速しました。士業の方々にお話をお伺いしてみると、業務マニュアルを社内はもとより社外のクライアントでも活用されていらっしゃるそうです。法律・法令の改正に伴うマニュアルの改訂など、あらゆる業務でマニュアルがオペレーション化されていることを教えていただきました」

 

ほかにも民間企業に比べて異動が多い自治体からのニーズもあるという。自治体はその業務の広さから文書の取扱い量が多く、それも多くの部門・部署に渡っている。さらにはデジタル化を課題としている自治体も多く、トースターチームを有効活用できる余地は大きい。

 

こうした背景もあり、トースターチームは高額な広告運用によるマーケティングは行わず、主に口コミや紹介、メディア掲載などのチャネルで現在まで広がってきたという。その実績もあり、noco社は今年、週刊東洋経済の特集企画「すごいベンチャー100」に選出されている。

ビジネスの課題は時に万国共通。だからソリューションもグローバルに

さらに同社は2024年春、AIによるお問い合わせ管理やお問い合わせフォームを提供し、顧客サービスの品質向上と効率化を目指すカスタマーサポートに特化したサービス「ヘルプドッグ」をリリース予定だ。

 

「営業活動に注力していらっしゃる企業さんが多いなか、顧客になったお客様のサポートやリテンションで悩んでいる企業さんが増えています。ヘルプドッグでは、ワンストップでカスタマーサポートが簡単に実現できるツールを提供します。ヘルプドッグはカスタマーサポートに特化したAI機能を搭載することで、省力化と省人化を果たしながら、顧客満足度の向上やサポート品質の向上を実現します」

 

さらなる新サービス提供を目指すnoco株式会社。その目指す先は、グローバルだ。

 

「ビジネスにおける課題は、日本だけのものではありません。多くの国で日本と同様に労働人口が高齢化しており、また働き方も多様化しています。それに対して、労働におけるパフォーマンスを最大化する道は避けては通れない課題です。私たちはヘルプシステムの提供を通じて、組織が直面するリソースの課題を解決していきたい。チームで働くひとりひとりが生き生きと活躍できる場を、日本だけでなく世界で提供していきます」

堀辺憲

Ken Horibe

noco株式会社・代表取締役

株式会社クボタや住友スリーエム株式会社で、BtoBおよびBtoC製品の営業・マーケティングに携わる。2012年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。企業広報および危機管理広報に従事。2016年、mixtape合同会社を設立。共同創業者 兼 COOとしてフォーム作成管理ツールの開発に携わる。2017年5月、noco株式会社を設立。代表取締役に就任。AIマニュアル作成ツール「トースターチーム」、AIヘルプ管理システム「Helpdog ヘルプドッグ」のプロデューサーも務める。

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