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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「歯医者じゃないみたい」ユーザーの感想多数 リモート矯正サービス「Oh my teeth」が作る未来の歯科体験

オンライン診療が進む医療業界でも、歯科矯正はオンラインに置き換えるのが難しいとされてきた。定期的な通院とカウンセリングが必要なためだ。今回ご紹介するのは、そんな従来のシーンに一石を投じるように登場したリモート矯正サービス「Oh my teeth」だ。“自宅で歯並びが治せる”というコピーで、20~30代のビジネスパーソンやIT企業の経営者など、特に上昇志向の高い男性に支持されているこのサービス。注目すべきは、ユーザーの評価が高い点だ。初回の歯型スキャンを行う表参道の実店舗はGoogleレビュー4.84、ユーザーへのアンケートでサービス推奨度を測る指標NPS®(ネットプロモータースコア)では業界内でも高いスコア74を記録している。自宅で歯並びが治せる仕組みと高い満足度の理由について、株式会社Oh my teethの代表取締役CEO西野誠氏に伺った。

西野 誠

Makoto Nishino

株式会社Oh my teeth 代表取締役CEO

1994年生まれ。学生時代に物流スタートアップ「オープンロジ」にて創業期を経験。新卒でワークスアプリケーションズに入社し、大規模基幹システムの開発業務に従事。2019年10月、株式会社Oh my teethを共同創業。代表取締役CEOに就任。日本初の歯科矯正D2Cブランド「Oh my teeth」をローンチ。2021年2月時点で希望者含むユーザー数は5,500名を超える。Onlab第21期のDemoDayにて、最優秀賞とオーディエンス賞を受賞。ICC FUKUOKA 2021 スタートアップカタパルト入賞。

ハードルが高くて歯科矯正を諦めた

「自宅で歯並びなおしませんか?」

 

歯並びで悩んだことのある人なら、Oh my teethのサイト上に現れるこのフレーズにハッとするだろう。歯科矯正には、初診はもちろん、進捗を確認し器具を入れ替えるための定期的な通院が欠かせないからだ。そんな従来の矯正シーンを一新しているのが「Oh my teeth」だ。コンセプトは“どんな人でもサクッと始められる矯正体験”。その始まりは、自身の矯正体験だったと西野氏は振り返る。

 

「過去に歯並びを治したく数軒の歯医者さんに行きましたが、挫折したんです。まず第一に金額が高い。総額で90-120万するので『歯並びがちょっと気になる』レベルでは手が出せない金額です。また、近年主流のマウスピース型は自分で装着する必要がありますが、自己管理で1日20時間以上つけないといけないと言われ、正直続けられる気がしませんでした」

そして極め付けは、「2-3週間に一度の通院」だったという。当時、西野氏はIT企業で働くエンジニア。平日は仕事で、閉院時間に間に合うように何度も通うにはハードルが高すぎた。もちろん予約は必須で、予約しても待つこともある。「今じゃないな」というのが、当時抱いた率直な意見だという。この「価格」「継続」「通院」の課題は、矯正を試みる人が必ずぶち当たる壁でもある。西野氏がリサーチをしてわかったのが、マウスピース矯正を始めた人の3割が途中で離脱している事実だった。

サービスの工夫で“誰もがサクッと”を可能に

Oh my teethには、そんな西野氏の原体験が存分に生きている。初回は東京・表参道と大阪・心斎橋にあるマウスピース矯正「Oh my teeth」を専門に扱う提携クリニックに来店する必要があるが、自分に合うマウスピースが自宅に届いたら装着して始めるだけ。その後の診療は原則オンラインで。この「矯正開始までの来店を最低1回に抑える」点はもちろん、その初診ですら30分以内に完了することにこだわっている。従来では、まずはカウンセリングをして(初診)、歯型をとるなどの検査をし(2回目)、マウスピースが完成した段階で初めて装着がスタートする(3回目)。Oh my teethではどうしてこんなコンパクトな診療が可能なのか?

「提携クリニックと密な連携を取り、通院が最低1度で、かつ30分以内で終わることを目指し、矯正開始までの検査を詰め込んでいます。リアルタイムでカウンセリングができるように、歯型とりの方法も粘土のような印象材でとるタイプではなく口腔内3Dスキャナーを採用しています」

 

この初回の歯型スキャンが無料というのも、“誰もがサクッと”を実現するための設計と言える。矯正開始後は通院は不要で、進捗状況はアプリを通してデータで管理され、計画に遅れそうなときはアラートで教えてくれる。つける期間は平均で約3ヶ月という。なぜこれほど短期間でできるのか?

 

「一つには、治したい部分に特化した矯正だからです。軽度な出っ歯やすきっ歯など、前歯だけが気になる人は多いので、そこに集中して治すことで期間の短縮が可能になります。加えて、計画に遅れないようにする様々な工夫を凝らしています。アプリでは装着のリマインドをはじめ進捗状況や残り日数、歯並びがどう変化しているかのシミュレーションなど、矯正生活を可視化できるように。また、スキャンから矯正期間の終了まで、専属医療チームによる24時間LINEサポートがつくのも大きいです。ドクターとはLINEで繋がっているので、何かあればすぐに修正できますし、装着ルールを守れず期間が伸びていくのも防げます」

 

遠隔とはいえドクターとの距離感はかなり近く、これがモチベーションUPに繋がっている。「継続率は97%」というのも頷ける。料金も通常より安く一律で、上下前歯の部分矯正プランであれば33万円、全体矯正でも66万円だ。この金額を実現するためにも、予定通りの期間で終わらせることは重要。それができているのが、このサービスのすごさといえる。

歯科矯正は近年のトレンドに

Oh my teethが伸びている理由の一つに、近年の歯科矯正の市場の盛り上がりがある。従来のワイヤー型より目立たないマウスピース型が主流になったことも大きいが、もう一つの理由は新型コロナウイルスによる新たな生活様式にあると西野氏は推測する。

 

「歯科矯正をやるなら人に会うことが少なく、かつ口元が隠せる今のうちに、という声が増えてきているためです。特にOh my teethは業界初のリモート矯正ということもあり、そうした方々に注目していただいているようで、コロナ前後で月あたりの利用者は約40倍になりました」

 

歯科矯正は幼少期にやるもの、というイメージも強いが、近年では大人が始めるケースが増えているという。これは日本特有の傾向なのだという。もともと日本では歯並びもアイデンティティの一つとして捉えられることが多かった。例えば、諸外国では悪いイメージの八重歯も、日本では個性の一つとしてポジティブにみられたりするように。一方、特に欧米では歯並びが悪ければ幼少時に矯正を済ませるのが当たり前だ。「矯正せずに、大人になってから悩んでいる人の割合は、日本は諸外国よりも多いのでは」と西野氏は言う。

 

加えて、これは医療全般に言えることだが、日本の保険制度もその理由だと西野氏は指摘する。

 

「日本では保険治療が発達しているので、『病気になったら病院へ行く』意識が強い。かたや海外では、いざ病気になれば医療費がとんでもなく高いので、普段からリスクを減らすように意識されている人が多いです。審美目的だけでなく、虫歯になりやすい歯並びであれば幼い頃から整えておくし、日頃から予防のために通院するのです」

歯科医療も初診はオンラインが当たり前に

オンラインでできることが確実に増えていく時代において、そんな日本人の意識も変わっていくだろう。異常を感じれば、「まず病院に行く」から「まずオンラインでドクターと話す」が主流の時代へ。オンライン診療が進めば、それを支える様々なデータや技術もシステムにより統合されていく。人をあらかじめ分散させることで待ち時間を減らしたり、デバイスがクラウドに繋がることで自宅ケアと医師との連携が取れたり、どこの病院に行っても自分のカルテがクラウドで共有されていたり……。とはいえ、こうしたオンライン診療に対してユーザーの壁はまだ厚いと言うのが西野氏の見解だ。

 

「先日、自社で行なったアンケート調査によると、オンライン診療の認知は56%で、利用率は11.2%。さらに歯科のオンライン診療ともなると、利用どころか認知も10%程度だったのです。まさか9割が知らないとは驚きました。Oh my teethが、効率よく最適な医療が受けられる世界の一端を担っていければと思います」

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