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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

悪いオンライン会議を改善する5W1H 【コミュニケーションスキル専門家が指南】

一つのウイルス蔓延から、大きく変わった我々の生活。ニューノーマルという言葉が定着するなかで、そのインフラを支えるのがオンラインだ。時代の半歩先を見つめる書籍著者の言葉から、オンライン活用方法を見直す。

 

仕事のリモート化が進み、オンライン会議が浸透した2020年。今後コロナの影響が落ち着いたとしても、この新たな働き方が標準化するのは明らかだ。これまで15年にわたり、ファシリテーションやコーチングなどのコミュニケーションスキルの指導や活動支援を行ってきた谷益美さんも、大半の講義や講演がオンライン化していると言う。『チームの成果を最大化する オンライン会議BASICS100』を上梓したばかりの谷さんに、オンライン会議の今について話を伺った。

谷 益美

MASAMI TANI

株式会社ONDO 代表取締役

ビジネスコーチ、ファシリテーター。建材商社営業職、IT企業営業職を経て独立。早稲田大学ビジネススクールで非常勤講師。NPO法人国際コーチ連盟日本支部顧問。NPO法人日本コーチ協会四国チャプター相談役。

谷 益美

自己流手書きスライドがオンライン会議にマッチ

本書は、職場や会議のコミュニケーションを追求してきた谷さんが、オンライン会議に特化した初の書籍。基礎から応用までのオンライン会議のポイントがまとまっていて、初心者はもちろん、あらゆるレベルのビジネスパーソンの助けになる一冊だ。そんな谷さん自身がオンライン会議を初めて行ったのは2018年。早稲田のビジネススクールの講義が台風により休講になりかけ、ZOOMにトライしたのが始まりだそう。

 

「これは便利だし面白い!と思いました。前職でIT企業に勤めていたので、もともと新しいITツールに対しての抵抗は低かったんです」

 

オンラインでの会議や講義では、前々より活用していたiPadでの“手書きスライド”を画面共有して進めている。評判は予想以上に良かった。

「2015年頃から、iPadとApple Pencilでスライドを書きながら講義を進める、というのをやっていたら、やり方を教えてほしい!という要望を多くいただいて。『手書きスライド術』のセミナーを開催したり、手書きスライド&オンライン会議をセットで話題にしていただくことが多くなりました。たぶん双方の親和性が高いんだと思います」

手書きスライド

こちらが、谷さんが今回の取材時に起こしてくれた手書きスライド。通常の資料を見ながらの講義は単調になりがちだが、こちらは目の前で少しずつ資料が出来上がっていくので、集中しやすい。さらに谷さんの場合、本人の筆跡そのままで、時折カジュアルなイラストも登場するから、オンラインには無い“手触り感”が感じられ、リラックスして話が聞けそうだ。

 

「こういった『リアルタイム議事録』は2つの用途で使います。1つは自分が話し手になり、話す内容を見える化して相手に伝えたい時。2つ目は自分が聞き手になり、対話を見える化したい時です。2の場合、聞きながら同時に書くと混乱するので、相手の話を聞いて、内容を確認し、確認できたら書く、という3ステップで行うのがポイントです」


谷さんは本書でも、オンライン会議での「リアルタイム議事録」の重要性を説いている。

 

「情報がほぼ音声だけになるオンライン会議では、誰が何を発言したのか混乱しがちです。決まったノートにみんなの意見を整理して書き、画面共有するだけで、会議はかなりスムーズになります」

どう解決する?オンライン会議“あるある”

オンライン会議の大きな悩みの一つが「聞き手の反応が見えなくて不安になる」ことだと言う。

 

「そもそも一生懸命人の話を聞く時、表情が“止まる”人は多い。加えて、リアル会議でも大人数になると話を邪魔しないようにと思い、相槌を打つなどの反応を返さなくなりがちですが、ましてや常に話し手が1人というオンラインでは余計無言になります。できれば、聞く側は見られていると自覚して、リアクションを意識してとるようにしてください。とはいえなかなか難しいので、話し手としては“反応はなくて当たり前”と構えておくくらいがちょうど良いでしょう」

 

谷さんのお勧めは、反応がほしい時にはOKサインや手を挙げるなどのアクションをリクエストし、応えてもらうといった方法。時にはチャットを使って反応をみるのも効果的という。

「もう一つ、『時間が長い』というお悩みも多いです」

 

これはリアル会議の課題でもあるが、オンライン会議では「タイムマネジメントがより求められる」のだと谷さんは指摘する。

 

「リアル会議の場合、会話が数名ごとに分かれるなどしながら、会話は同時並行的に進みます。対して、オンラインでは基本1人しか喋れないので、その分全体の時間がかさんでしまいます」

 

これには、入念な時間管理や会議をサクサク進めるファシリテーションスキル、また事前の準備などが有効だそう。具体的には、タイムキーパー役を設けたり、ストップウォッチを使うといったアイデアが本書でも紹介されている。

オン・オフライン会議の違いを知って対処する一方で、オン・オフ共通のポイントもある。本書にも登場する「5W1H=Why(なぜ)、What(何を)、Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、How(どのように)」は特に重要だ。

 

「5W1Hというのは、会議の目的やゴールを定めて、会議の全体デザインを考えるための枠組みです。これを開催者がきちんと考えられていなかったり、参加者に共有できていないパターンが非常に多い。これを会議の目的やゴールを最初に設定し、参加者全員で共有することで、初めて良い会議が作れます」

オンライン会議

谷さん曰く、悪い会議とは、“なんとなく参加させられる会議”や“意見を求められるもののはなから結果が決まっていてシラケる会議”などなど。良い会議を作るのは意外と大変なのだと続ける。

 

「でも、良い会議が文化として浸透すれば、みんなの会議の意識が変わり、思考力やディスカッション能力がぐんと伸びる。お互いが切磋琢磨して成長できる、良い場となるはずです」

 

オンラインコミュニケーションに必要なスキル

「受発信を意識的にするコミュニケーションスキルです。リモートワークでは、様々な情報を意識して発信し、取りにいかなければなりません」

 

とはいえ、リモートワークが定着すれば、今後はまた新たな課題が生まれてくる。特に携帯への5G導入が始まれば、オンライン会議だけでなく、働き方そのものが大きく変わるというのが谷さんの予想だ。

 

「本書でも冒頭で、会議の成否を決めるのは“通信環境”と書きましたが、逆にいうと、それさえあればどんな会議も働き方も作りやすい社会になっていきます。そんな時代の中では、リモート環境でも早い段階で相手と関係性が作れる。そんな特殊なコミュニケーションスキルが、今まで以上に求められると思います」

 

働き方のリモート化がもはや避けられないなか、オンライン会議のコミュニケーション能力は、今を生きるビジネスパーソンに必要なスキルとも言えそうだ。

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