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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「企業リリースは世相がわかる真の流行語大賞!」PR TIMESランキングから2024年のトレンド考察

プレスリリース配信サービスのPR TIMESには、日々多くの企業からさまざまなプレスリリースが寄せられる。そんなPR TIMESが、企業が配信するキーワードをまとめてランキングしたのが「PR TIMESキーワードランキング」。そのランキングを分析してみると、世相が如実に表れて興味深い。ランキングの発表・分析を担当する株式会社PR TIMESの経営管理本部 PR・IRチーム PRリード杉本秋氏に、ランキングから見えてくること、そして今後の予想について伺った。

国内の上場企業の54%超をカバー、8万3,000社以上が利用するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMES。同社には多くの企業からプレスリリースが寄せられるが、その際に企業は10個まで関連するキーワードを指定できる。PR TIMESはそのキーワードをピックアップし、ランキング化している。毎月のランキングに加えて、2023年は上半期のランキングも発表した。分析のベースとなるプレスリリースは上半期だけで計14万1,703件もあったという。

 

膨大な数のプレスリリースから抽出されたランキングを見ていると、見事に世相を反映していて興味深い。果たして、2023年の上半期に1位に輝いたキーワードは……?

ランキングの定番、3つのビッグワードとは

答えは「DX」である。やっぱりと思うだろうか、それとも意外に思うだろうか。

 

そもそも「DX」という言葉が年間ランキングの20位以内に登場したのが2020年のこと。初登場16位だったのが、2021年には急上昇して1位を奪取、2022年は惜しくも2位だったものの、2023年上半期は見事1位に返り咲いた。この「DX」というキーワードの変遷だけを見ても、ドラマが感じられて興味深い。

 

しかしどんな企業がどんなプレスリリースに「DX」という言葉を使うのだろうか。

 

「1位になるキーワードは通常、幅広くさまざまなジャンルの企業が指定してきます。IT企業が新たなサービスを開始するときもそうですし、例えば外食系の企業が新メニューを出して、それをタッチパネルで注文するというプレスリリースにも『DX』が指定されています」(杉本氏、以下同)

 

ランキング上位になるキーワードは、業種を問わず広く使われるビッグワードが占めることが多いという。その意味では「新商品」「イベント」「キャンペーン」といったフレーズは定番として強いという。

 

「ただ『イベント』という言葉は、最近本格的にランキングに戻ってきた印象です。2019年は1位だったのですが、その後コロナになり2020年、21年と6位にランクダウン。それが2022年に3位になり、2023年上半期は2位までアップしてきました」

 

コロナ禍、特に初期には緊急事態宣言なども出され、各地でのイベントが減ったのは記憶に新しい。ランキングにはこうした世相が如実に反映されている。

 

実際、2020年のキーワードの1位に輝いたのは、「コロナ」だ。2019年にはランクインどころか、キーワード自体が存在しなかったことを思い出す。

 

「コロナの3年間はランキングに入るキーワードが頻繁に入れ替わる、激動の時代だったと思います。平時であれば『イベント』『新商品』『キャンペーン』といった抽象的なワードが強いのですが、それが影を潜めて新しい言葉が上位にきました。ランキングを抽出し、分析している我々も興味深かったです」

特にコロナ一色だった2020年はその傾向が強い。いまや市民権を得た「テレワーク」が7位、同様の意味の「リモートワーク」が14位にランクイン。9位にラインクインした「おうち時間」に関しては、もはや懐かしさすら覚える。

 

「実はコロナが広がりだして、企業からのプレスリリースの数は増加しました。リアルでの営業活動ができなくなったぶん、プレスリリースなどで情報発信したいと考える企業が増えたのが一因だと思います。例えばマスクを新たに発売したり、キャンペーンのノベルティとしてプレゼントしたりするなど、2020年には『マスク』というキーワード自体の使用も増え、ランクインしています」

同類のキーワードは自然に絞り込まれていく

ほかにも興味深い傾向としては、似たキーワードが同時にランクインすることだ。2020年は「コロナ」が1位だったが、4位には正式名称の「新型コロナウイルス」もランクインしている。それが翌2021年には「コロナ」が5位にランクインしたが、「新型コロナウイルス」という言葉はランキング外に。呼び方が自然と「コロナ」という短縮形で定着したことが見て取れる。

 

「似たキーワードが自然にひとつに統一されていくことはよくあります。例えば2023年上半期のランキングの注目キーワードが『ChatGPT』なのですが、それとともに使用されたキーワードを調査したところ、最初は『ジェネレーティブAI』『チャットAI』『生成系AI』と様々な呼び方が使用されていましたが、現在は『生成AI』という呼び方が増えていて、一般的な呼び方としてはこれが定着したという印象があります」

ちなみにこの「ChatGPT」というキーワードに関しては、2023年1月~5月の4カ月で32倍という増加ぶりだ。特定企業による個別サービスが総合ランキングで上位に入ることはこれまでになく、異例のランクインだという。

さらに細分化、トレンドが表層化する業界別ランキング

このキーワードランキングは、総合部門に加え、パソコン/企業向けシステム・通信・機器/エンタテイメント/出版・アート・カルチャー/ゲーム・おもちゃ/スポーツ・アウトドア/自動車・バイク/外食・中食など26部門にわたる業界別ランキングも集計している。これらを見ていくと、業界ごとにキーワードがさらに細分化されているのがわかる。

企業向けシステム・通信・機器カテゴリでは、「DX」が1位、「AI」が2位と上位には例年通りのキーワードが並ぶ中で、8位には急成長ワード「ChatGPT」が入っている。さらに14位「Web3」、16位「ブロックチェーン」、18位「メタバース」と、先進的な技術を示すキーワードもランクイン。

外食・中食部門では、ブームと言われる「アフタヌーンティー」が11位、さらには「ヌン活」も25位にランクインしている。

 

「外食・中食部門に関して言うと、コロナ禍では例えば『テイクアウト』という言葉がぐっと増えました。また2022年には『自販機』という言葉が前年比6倍に増えたこともあります。もともと『自販機』自体は身近にありますが、コロナ禍による非接触を目的に、ラーメンやふるさと納税の自販機など、さまざまな新しい自販機が登場し、話題を集めてトレンドになりました」

業種別「ホテル・レジャー」のカテゴリでは、外国人による訪日旅行を意味する「インバウンド」のキーワードが12位にランクイン。よく耳にするようになったキーワード「リスキリング」「人的資源」とあわせ、前年に比べて3倍以上も増えた「上昇ワード」にも選ばれている。

 

「ただ実はこの『インバウンド』は、もう少し上にランクインするかなと予想していました。街中を見ていても外国人観光客は増えましたし、報道でも『インバウンド』という言葉に頻繁に触れます。ただこのランキングは2023年の上半期で、本格的にインバウンドが増え始めたのは1月よりも後、春先ぐらいからでしょうか。その意味では下半期や2024年に関して『インバウンド』はさらにランクアップする可能性があると思っています」

2023年下半期、2024年のランキング予想

「インバウンド」以外にも下半期や来年、ランクアップするキーワードの予想はあるのだろうか。

 

「2022年に1位になったのが『SDGs』でしたが、今年も4位にランクインしています。企業としては、自らの活動がSDGsに配慮していることはこれからもアピールしていきたいと思いますし、今後もランクインするでしょう。一方で今年は『GX』という新しいキーワードが、昨年に比べて4倍も増加しています。こうした『SDGs』や『サステナブル』とも関連するキーワードは、これからも上位にあると思いますし、新しいキーワードも増えていくのではないでしょうか」

 

さらに「SDGs」や「サステナブル」と組み合わせるキーワードには、業界ごとの特色も出てきているという。例えば外食・中食部門であれば「フードロス」、ものづくりをするメーカーであれば、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」など。業界別ランキングには、それぞれの業界がいかにSDGsに向き合っているのか紐解ける。

企業が責任を持って発信する、真の「流行語大賞」

世相を反映し、未来を予言するキーワードランキング。各企業にはリリースの際にこうしたキーワードを意識して、業界動向の分析などにも役立ててもらいたいと杉本氏は話す。

 

「このランキングには企業がプレスリリースによって伝えたいことが表れています。各企業、ひとつひとつのキーワードに責任を持って発信していて、『今後こうしたサービスを提供していく』という企業全体の意思も見えてきます」

 

PR TIMESが紹介するキーワードランキングは、いわば企業が責任を持って発信する「流行語大賞」と言えそうだ。今後も定点観測していけば、企業動向とメッセージがキーワードから見えてくるだろう。

杉本秋

Shu Sugimoto

株式会社PR TIMES 経営管理本部 PR・IRチーム PRリード

TV制作スタッフとして情報バラエティ番組の現場を経験し、2017年に営業としてPR TIMESに入社。大手企業からスタートアップまで多様なクライアントのPRの相談を受けるほか、マーケティング施策としての業務提携やイベント企画に携わる。2020年にPR・IRチームに異動し、自社発表を通じてプレスリリースの可能性拡大を目指すとともに、CMや広告をはじめとするコミュニケーション施策も担う。

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