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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

社内交流に飲み会やスポーツ大会の時代はもう過去。「大人数参加型の謎解き脱出ゲーム」が一つの解になるか

今や当たり前になったリモートワーク。利便性が高まったことも多い一方で、同僚や上司と対面で会う機会が減り、関係性の構築が難しい……というつぶやきも。会社の廊下やトイレで顔を合わせたときにする、ちょっとした雑談の大切さ。日々のコミュニケーションで打ち解けているからこそ仕事がやりやすくなる、というのがなかなか難しい時代に。コミュニケーションの最適解とは? その課題感に着目したのが、リモートワークがベースでも社内コミュニケーションによるチームビルディングができることを目的とした、大人数参加型の謎解き脱出ゲーム「リモ謎(りもなぞ)」。コンシューマ向けでは見かけることもあるオンライン謎解きだが、同サービスはBtoB用に特化しているところがポイントだ。

同サービスを開発したのは「あそび総合カンパニー」という新ジャンルを築く、株式会社IKUSA。今回は同社広報・小谷野真歩氏に、リモ謎の可能性や出社勤務が増えている現状に伴うサービスの変化について話を聞いた。

リモートでもできる。ゲームで見える「人となり」を業務に活用

社員のコミュニケーション向上を目的とするリアルイベントを開催していた同社だが、コロナ禍でそれらがすべて白紙に。そんな中、「事業のバイオリズムを止めない」という同社代表・赤坂大樹氏のかけ声のもと緊急事態宣言直下で全社員でアイデアを出し合い、わずか3週間というスピードで完成したのがリモ謎。オンラインのチャット通話を使い、ストーリーに沿った謎を60〜90分間で解き脱出を目指すゲームで、大人数での参加が可能。一度に1,000人が参加したという実績もある。

「ゲームですが遊ぶことが目的ではなく、あくまでも企業におけるコミュニケーション促進や、チームビルディングの構築を目的としているBtoBのサービスとなっています」(小谷野氏、以下同)

 

リモートワークで「仕事上では関わるが実際に会ったことがない」という社員同士でも、謎解きゲームでなら気軽に話すことができる。ゲームを通じたコミュニケーションで人材の適材適所を判断し、企業におけるチームビルディングに役立てるのだ。

 

開催事例は、企業や自治体、商業施設など幅広い。ゲームの内容は基本的には業種を問わない一般的なものだが、企業理念や業界の常識などを取り入れた形式にするなどのカスタマイズも可能。遊びながら社員のリスキリングができるという可能性も秘めている。

 

クラウド会計ソフトfreeeを提供するフリー株式会社では、オリジナル問題を導入しカスタマイズで利用した。実施後のアンケートでは「フルリモートで薄まったつながりが補強されたと思う人」が80%を達成。部署が違うと、同じ会社にいてもビジネス上では接点が全くないという場合も多い。一度リモ謎に参加しコミュニケーションをすることで、「顔が見えなかった人たちの顔が見えるように」なる。

 

「遠隔地間でのイベントに活用されることも多いです。例えば新卒内定者の交流イベント。オンラインであれば交通費などのコストをかけずに、すぐ繋がれます。内定者は会社の雰囲気を掴むことができますし、人事担当は内定者の『人となり』をウォッチでき、入社後のポジションを決める大きな判断材料にしていただけます」

 

ゲームを通じたコミュニケーションで、「ユニークなアイデア出しに長けている」「業務中はおとなしいがファシリテーターとしてのスキルがありリーダー向きである」「周りを見て意見をできる」などの各人の個性が垣間見える。そこを活用するからこそ、適材に人員采配ができ、効果的なチームビルディングが可能に。

 

「謎解きをしながら会話を展開してもらいたいので、私たちは『巡回員』としてゲームを監視させていただき、謎解きに詰まったときにヒント出しなどをさせていただきます。その際に繰り広げられる会話のログを残し、ゲームが終了した後にレポートいたします」

ゲームを通じてのコミュニケーションでは、業務上で見える姿とはまた違う、その人の隠れた人間性やキャラクターが見えてくる。仕事を進める上だとスキルや知識、ポジションが邪魔をして、発言ができない場合が往々にしてある。ゲームではそれがなく、皆平等。「素」をさらけ出す可能性を、存分に秘めている。

「オンライン<リアル」に戻りつつある今、オンラインの価値は

2023年5月に新型コロナが5類に移行し、リモート勤務から出社勤務に切り替わった企業も多い。それに伴い、イベントもリアルへの回帰の傾向が多いにある。同社では、2023年のオンラインと比べたリアルイベント開催比率は75.7%となった。さらに2024年は、より多くのリアルイベントが実施されると予想される。

「リアルイベントが戻りつつありますが、オンラインだからこその利便性は、引き続き活用される傾向です。オンラインのメリットは、なんといっても移動などのコストを削減できること。遠方や海外拠点を繋ぐコミュニケーションとしての需要が大いにあります」

 

同社ではコロナ禍までのリアル形式とコロナ禍で築いたオンライン形式に加えて、ハイブリッド形式を提案。3つの開催方法で、クライアントの要望に柔軟に対応する。ハイブリッド形式とは、各拠点間で大型のスクリーンなどにリモ謎を投影し、遠方同士のコミュニケーションを図るといったもの。

 

さらに今の若い世代は、社内コミュニケーションに時間を費やすことに重きをおかない傾向にある。そういった部分にもオンラインベースのコミュニケーションは価値があり、今の時代にフィットしている。

 

「デジタルネイティブ世代には、オンラインコミュニケーションがすっと入りやすかったりします。かつては社員の交流目的でスポーツ大会が行われていた企業も多かったですが、こういったものですと業務外での実施となってしまいます。オンラインゲームでのコミュニケーションであれば、業務時間内でもどこにいても、1時間でぱっと交流できる。そこ価値を感じていただいています」

 

「オンラインとリアルのいいとこ取り」というハイブリッドの時代がやってきた。そこで新たに生まれたというスペースの不足の課題にも、同社は画策中だとか。

 

「コロナ禍でオフィスも手放した企業も多いので、いざ対面のイベントやるとなるとそのスペースがないという例が多くあります。それに対応すべく、100人単位で使えるスペースを構築しているところです」

 

時代の潮流や世代感覚が変化するにつれ、コミュニケーションの形も進化していく。その時代にフィットするコミュニケーションを遊びという形で提供するからこその化学反応があり、そこに新たな可能性が生まれる。

時代に沿ったリスキリングを。SDGsや防災の知識を遊びで深める

それまでのソリューションにこだわって考えると、今求められているものに既存サービスが合わなくなってくる。そんな中であくまで「顧客の課題解決」にフォーカスし、「あそび」で課題を解決する視点を持ちサービスを展開するというのが、同社の強み。これからの時代に向けて展開予定のサービスについて聞いた。

 

「『SDGs』や『防災』に関連したサービスを、行政などとも連携を計りつつ、リアル・オンライン・ハイブリットの三本柱で進めています。SDGsも防災も『自分ごと』になってはじめて知識のなさに気付かされることがあります。少しでも興味を持つべく、知識を0から1にするためには、ゲームはとても有効だと考えています」

 

SDGsや防災の知識をネットで収集する人も増えているが、間違った知識が発信されていることも多い。だからこそ、遊びながら正しい知識を身につけていくことに意義がある。

 

さらに同社が目指しているのは、企業の人材離れを減らすこと。人材不足が大きな課題になっている社会だからこそ、適材適所で人が仕事し活躍することが、いいビジネスを生み出す。

 

「1人を採用するのには、莫大なお金もかかります。社内研修でしっかりとリーダーシップ、PDCA、ロジカルシンキングなどのフレームワークを学ぶと同時に、心理的安全性が担保されるゲームでのコミュニケーションを通じてアイスブレイクすることが重要になってくると思います。そうすることで、愛社精神が芽生えて採用の定着やエンゲージメント向上に繋がりやすいと考えます」

 

2030年に向けても、リモートワーク人口は増加傾向にあるだろう。そういった中でのコミュニケーションツールとして、時代にフィットした「あそび」のサービスを提供していくという同社。

 

「遊びが好き」という人の根幹は、これからの時代も変わらない。そこに目をつけ、人間の本質を解き放ち、ビジネスに繋げるという面白い発想。世の中には「楽しい」が必要で、楽しいことで解決できることも多い。「楽しさを科学」しながら社会課題を解決するサービスに、期待が高まる。

小谷野真歩

Maho Koyano

株式会社IKUSA 広報

立命館大学卒業後、商業施設の施設管理と販促に従事、施設開業を経験。その後、あそびで社会課題を解決するという理念に共感し株式会社IKUSAに入社。自社ソーシャルメディアの運用やメディアリレーションなど、社内外の広報に従事。あそびと採用定着、あそびと防災といった、企業や団体のチームビルディングや、防災意識向上の普及活動のため、広報活動やメディア出演を行う。

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