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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

「映え以上に大事なものがある」SNSネイティブなZ世代の価値観と、大人たちの誤解

SHIBUYA109を拠点に、Z世代に特化したマーケティングを行うSHIBUYA109 lab.。SNSネイティブであるZ世代はSNSといかに向き合い、コロナ禍を経てこの社会とどう向き合っているか。そして、そんなZ世代を「大人」はいかに誤解しているか。

 

毎月Z世代と言われる彼女たちと向き合い、言葉を交わしてきたSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏に話を聞いた。

「コギャルの聖地」から変わったところ、変わらないところ

SHIBUYA109といえば、1990年代に「コギャルの聖地」として注目を浴びて以来、常にファッションやカルチャーの発信拠点であった。渋谷で再開発が進められる今も、「基本的には好奇心旺盛な若者を対象としているところは、今も昔も変わりません」とSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏は語る。

 

そんなSHIBUYA109を拠点に、そこに集う若者たちの声を拾い、分析し社会や企業に落とし込んできたのがSHIBUYA109 lab.だ。マーケティングチームとして、いわゆるZ世代と言われる若者の意識やトレンドを調査。毎年発表しているトレンド予測を注視している企業やビジネスマンも少なくない。さらに、こうしたZ世代を対象とする企業には、リアルな声と様々なソリューションを提案してきた。

例えば2022年夏には、SHIBUYA109渋谷店に展開する「IMADA KITCHEN」にて、キリンビバレッジ株式会社とコラボレーションし、ティースタンドをオープン。「キリン 午後の紅茶」を使用したオリジナルメニューを展開した。ドリンクにはパールパウダーやジュレ、金箔を使用したという。

 

「商品は写真に撮りたくなるようなキラキラ感のあるものにしました。それだけではなく、会場には動画・写真映えするスポットも用意。写真を撮って、さらにSNSにアップして拡散したくなる仕掛けを重視しました。単に商品を楽しみたいというだけでなく、それを共有して『皆で楽しみたい』というのもZ世代の特徴のひとつです」(長田氏、以下同)。

「エモい写真」で伝わる、Z世代の共通感覚

Z世代の最大の特徴として、SNSネイティブであることが挙げられると長田氏は語る。子供の頃からSNSが身近にあり、常に手の中と世界がSNSを介して繋がっている。

 

「Z世代が一番すごいなと思うのは、やはりSNSの使い方です。画像や言葉から受け取る情報量の多さには驚かされます。さらに詳細に言語化されていないことを再現するスキルの高さもあります。例えば、彼女たちに『エモい写真を撮ってきて』とお願いすると、それだけで皆きちんと同じような『エモい』写真を撮ってきてくれるんです」。

 

一方で、そんな彼女たちを見て、それより上の世代は誤解をしていることも多いという。

 

「Z世代がSNSを使うのは、インフルエンサーになりたいとか、有名になりたいというのがモチベーションではありません。多くのZ世代は、何かを成し遂げたいわけではなく、もっとゆるく繋がった『コミュニケーションツール』としてSNSを使っています」。

Z世代が「映え」よりも大切にすることは

さらにリアルで会う人間関係が制限されたコロナ禍を経て、SNSの使い方にも変化があるという。

 

「コロナはZ世代にも影響がありました。一部では若者に対する批判の声も聞かれましたが、多くのZ世代の若者たちが感染状況を気にしながら、真面目に感染症対策に取り組んでいた印象です。会う人にも制限が生まれるなか、必要な交友関係だけを大切に、狭く深いコミュニティーの中でトレンドを楽しむという価値観に変化したように感じます」。

 

そうした傾向はツールの変化にも表れている。例えば、Z世代が今注目しているアプリは、1日に1回、フィルターなしの写真を投稿する「BeReal」や、撮影した写真を友達のホーム画面に送り合える「TapNow」など。これらのアプリを使って、自分が信頼しているコミュニティーで、より自然な姿を共有する傾向があるという。より多くの人に、より良く見せようとする傾向は減速している。

 

さらに、Z世代が大切にするコミュニティーの選択自体にも、SNS時代ならではの変化が表れているという。

 

「SHIBUYA109に来ている子たちに『どういう友達なのか』と聞くと、これまでなら『同じ学校』というパターンが多かったかもしれませんが、今はそれに限りません。全然違う学校でも『ヲタ活で推しが同じ』だったり、さらにSNSで知り合った学生と社会人というパターンもあります。中には部活の先輩、後輩の間柄でも敬語を使わず、普通にタメ口で会話していたりする子もいます」。

 

Z世代同士はSNSを通じて世界を広げ、その中からより自分にフィットしたコミュニティーを選択している。だからこそ「大切なのはそのコミュニティーの世界観」だと長田氏は言う。

 

「『界隈』という言い方がありますが、コミュニティーが細分化されている中、Z世代にとってはどの『界隈』に属しているかが重要です。K-POPが好きなのかアニメが好きなのか、さらにその中でも特に好きなのは……と細分化されているのです」。

だからこそ、例えば企業が取り組むインフルエンサーマーケティングでも、フォロワーの数よりも重要なものがあるという。それはすなわち、そのインフルエンサーが「どの界隈に受け入れられているか」ということだという。

 

「SHIBUYA109 lab.では、例えば『令和ギャル』とか『フレンチガーリー』、『韓国モノトーン』といったZ世代の子たちが好むテイストごとにSNSの閲覧用アカウントを設定しています。それにより彼女たちがSNS上で見ている世界観を再現しているのですが、それぞれのアカウントによって、見える世界観はまったく違います。好きなテイストによってテーマパークやカフェでの過ごし方も違いますし、表示されるSNS広告もまったく違うんです」。

Z世代が長けている、SNS活用法

すなわちSNSの台頭により「Z世代とは」とひとくくりにするのが難しい時代がやってきたといえよう。さらに彼らは学校用、親友用、推し活用など複数のアカウントを持ち、それぞれのアカウントを器用に使い分けている。

 

「プラットフォームも同様です。ニュースを知りたいときはTwitter、トレンドを知りたいときはInstagram、冒険したいときはTikTok、もっと踏み込んで知りたいときはYouTubeと、それぞれの特性ごとに使い分けています」。

 

ただし、こうしたプラットフォームの使い分けは、なにもZ世代に限ったことではない。SNSが発達することによって、世代間の差なく情報にアクセスすることが可能になった。離島に住む高齢者も、SNSをうまく駆使すれば、Z世代が聴く最新のヒットチャートに容易にアクセスできる。1990年代ならSHIBUYA109に来なければ買えなかった女子高生の必須アイテムも、いまやクリックひとつで地方の自宅にも届く。

 

「確かに情報収集のためのツールとしてSNSはどの世代にも広く開かれていますし、誰でも情報にアクセスできます。Z世代はそこからさらに、最新のヒット曲に合わせてダンスをしてみたり、オリジナル動画を投稿したり、参加していくのがうまい。バズらせたりとSNSを盛り立てていくモチベーションの高さがあります」。

Z世代ならではの「失敗したくない消費」と、企業の向き合い方

それは、彼らの消費行動にも表れているという。

 

「例えば、Z世代が何か新しい商品と最初に出会う場所は、圧倒的にSNSが多いんです。広告はもちろん、フォローしている人が使っていた、など」

 

だからこそ、消費者と企業はSNS上でどれだけ関係が深くなれるかが非常に重要だという。一方で、それがしっかり実現できている企業は意外と少ないと長田氏は言う。

 

「Z世代には特に、詳細な情報を求めます。『詳細はホームページへ』ではなく、SNS上でスムーズに情報に繋がれるかが大切です。さらにその情報も、例えばリアルなイベントを行うにしろ、『行ってからのお楽しみ』ではなく、どのフロアにあって営業時間は何時までか、現地でどんな写真が撮れるかなど、事細かに知れることが重要です」。

Z世代の若者は概して真面目だと長田氏は言う。だからこそ、慎重にSNSで下調べして情報を得る。こうした消費行動については、長田氏の初の著書となる『若者の「生の声」から創る SHIBUYA109式Z世代マーケティング』(プレジデント社)にも「失敗したくない消費」と名付けて記されている。

 

「だからZ世代は、失敗しないよう買う前にリアルの場で改めて商品を確認したりします。さらにコロナを経て、リアルだからこそできる体験の重要性も高まっていると感じます。そんな背景もあり、SHIBUYA109ではリアル体験を大事にしていきたい。単に商品を確認して買うだけでなく、写真を撮ってSNSにアップしたり、自分の好きな世界観に触れられたりと、それ以外の楽しみもギュッと詰まった場所でありたいと思っています」。

 

さらに長田氏は、こうしたZ世代にエールを送りたいとも語る。

 

「時に失敗しても、思い切ってやってみることがあってもいいと思うんです。多少枠から外れてしまっても。だからこそ慎重な若い世代に向けて『ちょっとぐらい失敗しても大丈夫だよ』と、背中を押すような活動が今後もできればと思っています」。

長田 麻衣

Mai Osada

SHIBUYA109 lab.所長

総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、18年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround 20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。セミナー登壇・ABEMA「アベマヒルズ」TBS系「ひるおび」出演、その他メディア寄稿・掲載多数。3月31日にはプレジデント社より初の書籍『若者の「生の声」から創る SHIBUYA109式Z世代マーケティング』が発売になる。同書では約5年間で一万人の若者から直接聴いた生の声をもとに彼らの価値観や実態を解説するとともに、SHIBUYA109のマーケティング活動について記している。

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