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ENILNO いろんなオンラインの向こう側

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ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。
これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

カスタマーサポートは「カスタマーケア」の時代へ。オンラインが変えた仕事の質

「カスタマーサポート」と聞き、どのようなイメージを持つだろうか。「ユーザーの不満や不安を解消する役割」という印象が根強いかもしれない。だが、オンライン化が加速し、サービスの提供形態が変化を遂げ、ユーザーの反応が拡散されるようになった今、その役割は変わりつつある。オンライン時代のカスタマーサポートはどのように変化していくのか。役割が変わりゆく中で、カスタマーサポートに求められる力とは。Zendeskカスタマーサクセス部シニアマネージャーの佐藤祐子氏に聞いた。

佐藤 祐子

株式会社Zendesk カスタマーサクセス部 シニアマネージャー

りらいあコミュニケーションズにてキャリアをスタート。 コンタクトセンターの新規立ち上げ、オペレーション改善に従事。その後、PwCコンサルティングなどのコンサルティングファームでCRM関連のプロジェクトに多数参画。2011年、日本法人初のCustomer Success ManagerとしてRightNow Technologies(現 日本 オラクル)へ入社。日本におけるCustomer Success Teamの立ち上げに従事。 2017年にZendeskへ入社、Customer Success Teamの立ち上げ、マネジメントに従事しながら、Zendeskのユーザー様の"Success"ために日々邁進中。筑波大学大学院 国際経営プロフェッショナル専攻(MBA-IB)卒。

返答時間は1/4に。オンライン化の進行で起きた変化

Zendeskは、カスタマーサポートに特化したクラウドサービスを提供している企業だ。現在は世界140カ国で、チャットやメール、電話など、ユーザーからの問い合わせを一元管理できるソフトウェアを提供している。

ユーザーと企業をつなぐチャネルは、この近年で多様化してきた。従来の電話やメールに加えて、LINEなどのメッセージアプリ、FacebookやTwitterといったSNSが台頭する。Zendeskを活用することで、チャネルの多様化によって分散しがちなお問い合わせ情報などのユーザー情報を集約できる。結果、社内での情報共有がスムーズになり、ユーザーへの理解が深まる。その上、管理工数が削減でき、カスタマーサポート担当者の業務効率化にもつながるのだ。

 

同社は2007年に創業。オンライン化が急速に進んできた2000年代後半から10年以上にわたり、「カスタマーサポート」の変遷をみてきた。特にここ数年は、カスタマーサポートの重要性が増してきていると、佐藤氏は語る。

Zendeskの管理画面(提供:Zendesk)

「もともと、日本のお客様は、企業の商品や対応への期待値が諸外国に比べて高い印象があります。特に近年は、その傾向が強まり、顧客体験に求める質が高くなってきました。

 

理由は、オンライン化が進んだことによる2つの変化です。1つ目は、WebサイトやSNSなどで、商品やサービスへの評価が可視化されるようになったこと。2つ目は、商品の提供の仕方が、単発の利益を積み重ねる『売り切りモデル』から、アプリなどを介して継続的にサービスを提供する『サブスクリプションモデル』に切り替わってきたことです。商品を販売したあとのサポートが充実していないと、お客様が離れ、悪い評判が広がっていく可能性があるんです」

 

顧客体験の質だけではなく、スピードも求められている。かつて手紙で数日かけて行われていた文章のやりとりは、2000年代にはメールへと変化。2010年代からはメッセージアプリが普及し、「リアルタイム性」が求められている。ユーザーの肌感覚の変化に伴い、カスタマーサポートに求められる対応時間は、従来の半分から1/4にまで減っている。

 

「かつて、お客様への対応はメールや電話が主流でした。メールでお問い合わせをいただいた場合は、24時間以内にお返しすることが一般的だったんです。しかし、今はSNSやメッセージアプリでのやりとりも増えつつあり、6時間から12時間以内にお返しする企業が多くなっています」

見直されるカスタマーサポートの価値

顧客体験の質とスピードが求められる中で、感度の高い企業はいち早くカスタマーサポートに注力してきた。しかし、すべての企業が顧客体験向上に力を注げていたわけではなかった。ユーザーの獲得に力を入れるあまり、商品を販売した後のサポートに目が向いていない企業も存在したのだ。

 

そういった企業でさえも、顧客体験の向上を意識せざるを得なくなる事態が起きた。新型コロナウイルスだ。Zendeskの「カスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021 ニューノーマル時代のCXとは?」によると、多くのビジネスがオンラインへと場所を移したことで、カスタマーサポートセンターへの問い合わせは、週平均で20%上昇。これに伴い、顧客体験向上への投資を優先してこなかった企業の1/3が、投資検討をすることとなった。(関連リンク〈デジタル化の促進〉参照)

顧客体験向上に向け、デジタル投資を強化する企業は増加傾向にある(出典:Zendesk「カスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021 ニューノーマル時代のCXとは?」)

 

「パンデミックの影響で、企業はオンライン化への変化を余儀なくされました。これまで、セールス担当者や実店舗のスタッフが、リアルで対面してお客様の声を汲みあげる役割を担っていましたが、それらが機能できなくなったんです。そこで、非対面で要望を伝えられるカスタマーサポートがお客様との重要なタッチポイントになりました」

 

ユーザーの声を汲みあげる場として、カスタマーサポートの役割は大きく見直されることになった。もともとは、商品やサービスに対して、不安や不満を持ったお客様のサポートをする役割として位置付けられていた。ところが、商品やサービス改善のタネを分析する役割として見直されたのだ。

 

「ビジネスのサポートではなく、売り上げを上げていくための『起点』として捉え直されていますね。これまでも、お客様の声を分析して各部署へのフィードバックは行っていました。ただ、あくまで『補助的な役割』として見られていたので、その声が反映されないこともあったと伺っています。本来、お客様の声は、商品やサービスをより良いものにしていくうえでは、非常に重要です。パンデミックによって、ユーザーの声を聞く『頼みの綱』となったことで、カスタマーサポートもマーケティングを行ううえでの重要な役割と位置付けられるようになっていると感じます。

とはいえ、諸外国に比べると、日本は顧客体験向上の重要性を実感している企業が少ないんです。(関連リンク〈CXに注目〉参照)まだまだ伸び代がありますし、私としてはもっと重要視されるべきだと感じています」

日本は、顧客体験の向上を優先する企業が、海外に比べて少ない(出典:Zendesk「カスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021 ニューノーマル時代のCXとは?」)

ポストコロナ時代のカスタマーサポートのあり方

近年のオンライン化の加速とパンデミックによって、カスタマーサポートには、地殻変動が起きている。今後、消費者の満足度を高め、良質な体験を届けていくために、オンラインはどのような役割を果たすのだろうか。

近年はAIによるサポートも増加しつつある(提供:Zendesk)

「いつでもどこでも、企業がお客様とつながれる接続点として、重要な役割を果たすと思います。特に今は、SNSやメッセージアプリなど、多くのチャネルが登場しています。それらをカスタマーサポートとして、いかに活用していくかが問われますよね。合わせて、チャネルごとに分断させるのではなく、シームレスにつないでいくことも求められます。チャネルが分断されていたとしても、ユーザーから見れば一つの企業。お客様から得た情報をいかにスムーズに他の部署へ届けていくかは、顧客体験を向上させるうえでは欠かせないと思います。そのためのツール選定や仕組みの構築さえできれば、オンラインはお客様にとって心地のいい体験を届ける場になりますし、お客様の声を財産として貯められる場所になるはずです」

 

さらに、オンラインは、「カスタマーサポート」という職種そのものの価値を高めてくれる可能性を秘めている。

 

「近年は、AIによるチャットボットも登場していますよね。今後、マニュアル化された対応は、AIが担うようになると思います。カスタマーサポートの仕事が『どのように顧客体験を作っていくのか』という、クリエイティブな方向へと変わっていくはずです。実際にZendeskのお客様も、自動化によってオンラインでの自己解決が促進され、人だからこそできるサポートにより力を注げているとおっしゃっていました。今後、カスタマーサポートの重要性はさらに増していくと思いますし、役割がどのように進化していくのか、私自身も非常に楽しみです」

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