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ニューノーマルライフの先

ニューノーマルライフが当たり前の時代。その中で生き抜いていくための解はどこにある? 時代の半歩先を行く書籍著者のインタビューからそのヒントを探る。

内向的だった人ほど評価される? オンライン採用とリアル採用の違いと対策

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オンラインツールはリアルなコミュニケーションの補助的なもので、一時しのぎの手段という認識であったが、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により必要不可欠な存在になった。採用活動についても同様の局面で、面接や説明会も対面からオンラインに切り替える企業が増え、採用する側もされる側も、これまでにない現状に戸惑い、模索している最中だ。オンライン採用のノウハウが確立されていない中、企業も求職者もこれからどうあるべきなのか。書籍『オンライン採用』の著者であり、組織サーベイや人事データ分析を提供する株式会社ビジネスリーチラボ代表取締役の伊達洋駆氏に話を聞いた。

伊達 洋駆

youku date

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役

神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。

採用におけるオンライン・リアルの決定的違い

オンラインでのやりとりはリアルに比べて、いささか“伝わっている感”が得にくく、コミュニケーションに難しさを感じるシーンは少なくない。実はリアルでのコミュニケーションにおいては、発する言葉の内容よりも、相手の感情や雰囲気の方を情報としてより多く受け取っているのだという。

 

つまり、人は相手の話を〈言語〉より〈非言語〉で判断しているということだ。これは面接シーンにも同様のことが言えるそうで、「オフラインと比較してオンラインでは、『非言語的手がかり』(言葉以外の情報)が伝わりにくい」と伊達氏は話す。

 

「リアルの面接における求職者は、快活な人が得をしてきました。企業側も、求職者の話している言葉の中身に到達する前に、見た目や身振り手振りで〈明るい=印象がいい〉と評価してしまっていたんです。ところが、オンラインになるとそうした側面が伝わりにくくなっています」

 

他方で、オンラインを通すことで、言語情報の伝わる程度が増えるという。

 

「オンライン採用では非言語的手がかりによるバイアスがかかりにくい分、話す内容がダイレクトに伝わり、それが企業側の採用判断に大きく影響を与えます。そのため、例えば、これまで内向的な印象を持たれていた求職者ほど、オンライン面接の方が、評価が高くなることもあります」

 

このように、採用方法が切り替わったことで、採用されやすい人とされにくい人の特徴に逆転の現象が起きたようだ。もちろん、求職者の話す内容が重視されることになるため、快活な人も内向的な人も、伝える言葉を意識したい。

 

このように、採用方法によって判断軸が左右されてしまうとなると、採用する側もされる側も、これまでのやり方や対応から何を変えなければならないのだろうか。

 

「リアルが持っていた要素を取り戻すために『オンラインではオーバーリアクションで振舞うほうがよい』などと言われていますが、そもそもリアルのやり取りは完璧だったでしょうか。リアルでは第一印象が面接評価を決める、という研究もあります。リアルにおける非言語的手がかりにも問題があるわけです」

 

その上で「必ずしもオンラインで非言語的手がかりをカバーしようとする必要はない」と伊達氏。

 

「それよりも、オンラインの得意な部分を伸ばす対策を練る方が良いと思います。企業側はオンライン・リアルの特性を理解した上で、その時々の目的に合った方を選んでいくべきでしょう」

 

例えば、企業は〈求職者の人柄を知りたいならリアル〉〈話す内容をしっかり聞きたいならオンライン〉とどちらもうまく使っていくことが重要なようだ。そうしていくことで、オンラインやリアル一択の面接より、企業や求職者どちらにとってもお互いをより正しく理解し合うことができそうだ。

オンライン下で求められる自律とは?

従業員に多様な仕事をあてがう〈メンバーシップ型雇用〉から、仕事に従業員をあてがう〈ジョブ型雇用〉のニーズが高まる傾向になって久しいが、その背景にはオンライン化も関係している。

 

コロナの影響によりリモートワークが普及し、社員のマネジメントが難しくなった。そのため、職務記述書に役割を明記したり、自律的に動ける人材を求めたりする流れが強まり、〈ジョブ型雇用〉に追い風が吹いている(ただし、職務記述書を作成すれば、すなわちジョブ型雇用になるわけではないし、自律性とジョブ型雇用は本来、関係がない問題だ)。

 

では、オンライン採用が主流になりつつある今、オンライン採用はジョブ型雇用を推進する方法として適しているのだろうか。

 

「ジョブ型雇用では、そのポストにあった経験や実績がある人をとれればいいので、オンライン・リアルを問わず、面接という方法に依存する必要はありません。業務を遂行する上で必要な資格や経歴を確認したり、業務の一部を実行してもらったりする(ワークサンプル)などの選考方法もあります」

 

なお、自律的な人材という意味で重要になるのは、企業が〈自律〉の意味をどのように認識しているかどうかだ。

「現在の状況においては、オンラインでのやりとりは、面接の時だけでなく入社後も続きます。なので、リモートワークにおける自律の意味について考えるべきです。リモートワークの中で、一人でも自走できる人材を求める企業もありますが、実はオンライン環境の方が、一層コミュニケーションが大事になってきます。一人に任せっきりになると、仕事がうまくいかなくなります」

 

メンバーシップ型雇用にせよジョブ型雇用にせよ、リモートワーク下においてコミュニケーションは欠かせない。では、リモートワーク下での自律とは何だろうか。

 

「コミュニケーションを自ら取りにいけることが自律ではないでしょうか。フィードバックをもらいにいったり、不明点をすぐさま確認したり、自発的に人と関わっていけることを自律と定義しましょう。採用する側もされる側も、この認識が一致していないと、リモートワークにおいて活躍する人材を採用できません」

 

他者との関わりを積極的に持とうとする人かどうかを、オンライン採用の判断基準に加えたい。

これからのオンライン採用に必要なのは〈セレンディピティ〉

オンライン採用で不利な点は、企業が自社の情報を十分に提供できないことにある。インターネットは情報の海と言われているが、対面より非言語的手がかりは得られにくい。

 

「コロナの影響で対面でのOB・OG訪問や合同説明会などができなくなってしまった今、求職者が現場の空気感や企業の文化を知ることが難しくなりました。その結果、求職者はネームバリューといったわかりやすい判断材料で企業を選んでしまう懸念があります。

 

だからこそ大切なのは〈セレンディピティ(=偶然性)〉です。たとえば従来の合同説明会は、求職者が自分の知らない企業のブースに訪れ、求職者と企業が偶然出会っていましたよね。オンラインでもこのような偶然性を誘発する取り組みが必要です。業界やターゲットの異なる企業とオンライン上で合同説明会を開いてみるのもひとつの手です」

 

また、「求職者側にとっても、自分の知らない可能性や興味関心と出会うチャンスは重要」とも伊達氏は話す。

 

「本ひとつとっても、例えば、Amazonのレコメンドはパーソナライズされていて便利です。しかし、自分の関心をもとに本が紹介されるにとどまります。他方で本屋に行けば、自分の関心の範囲を超えた本との偶然の出会いが待ち受けています。オンラインとリアルの特性を理解した上で、偶然性を大事にしていけたら、採用する側・される側両者にとって、よりフィットした採用が実現できるでしょう」

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取材:藤田佳奈美

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