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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

マイル=飛行機だけじゃない!歩くだけでマイルが貯まる「ANA Pocket」の狙いとは

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飛行機の飛行距離と運賃により付与されるポイントプログラムが航空マイル。基本的には、飛行機への搭乗が前提にあり、飛行機を利用しないユーザーにとっては疎遠なイメージもあるだろう。そんなマイルの常識を覆すサービスが誕生した。「ANA Pocket」だ。2021年12月のローンチ以降、ダウンロード数は順調に伸びている。日経トレンディ「2022年ヒット予測ランキング」では堂々の第1位にランクイン。ANAのマイレージクラブ会員や旅行好きの間ではもちろん、これまで飛行機にさほど縁がなかった層の間でも注目を集めている。ANA Pocketの事業担当であるANA X社の柴田真宏氏に、気になる仕掛けの裏側を尋ねた。

ゲーム仕立てで楽しく継続できる

「ANA Pocket」は飛行機だけでなく、徒歩や自転車、バス、電車など日常生活の移動でポイントが貯まり、さまざまな特典やANA SKYコイン、ANAマイルと交換ができるモバイルアプリ。

ユーザーはアプリをダウンロードするだけで、徒歩や自転車、バス、自動車といった日常の移動でポイントを貯められる。このアプリがユニークなのは「チャレンジ」と呼ばれるミッションから好きなものを自分で選び、達成することでポイントを得られることだ。ポイントが一定数貯まると、コンビニやオンラインショップなどで使えるデジタルギフトなどの様々な特典や、ANA SKYコイン、ANAマイルが当たる「ガチャ」を回すことができる。

「継続してご利用頂くために、ゲーム感覚の工夫を随所に取り入れています」と柴田氏は言う。提示される「チャレンジ」の内容にも注目だ。例えば、2月の節分やバレンタインデーでは、「早めに帰宅して豆まきをしよう!」「バレンタインスイーツを食べた分を歩いて消化しよう」などのチャレンジが登場した。今後も季節に合わせた内容のチャレンジが増えるというから、アプリを開く度に新たな目標とモチベーションが得られそうだ。

 

また、徒歩や自転車といったエコな移動ほどポイント付与率が高いのも特徴だ。移動は距離とポイントで可視化されるので、移動を振り返れば意識向上にもつながる。健康的でエコな生活習慣作りでも、活用する意味は十分にある。

 

プランは2種の無料会員と1種の有料会員の計3つで、違いは参加できるガチャの種類にある。無料会員には誰でも楽しめる「Pocket Liteメンバー」とANAマイレージクラブ会員が登録できる「Pocketメンバー」がある。前者はコンビニやオンラインショップなどで使えるデジタルギフトなどの様々な特典が当たる「Pocketガチャ」、後者は加えてANA SKYコインが当たる「SKYコインガチャ」に参加できる。さらに、月額¥550(税込)の有料会員「Pocket Proメンバー」ならANAマイルが当たる「マイルガチャ」も選択肢になる。

新しい協業のかたち

「日常生活に必ず移動は伴います。この移動によってポイントが貯まり、それが魅力的な特典に交換できるような仕組みを作れないか?ということで開発に至りました」と柴田氏は話す……が、日常の移動だけで特典がもらえるという、ユーザーにとってはメリットしかないサービスが成り立つのはなぜなのか。

「ANA SKYコインやANAマイルはもちろんですが、そのほかの特典も現時点で多くのパートナー企業・団体からご提供いただいたものになります。特典の内容は非公開で、当たってからの“お楽しみ”ではありますが、例えばANA国内線航空券やホテル宿泊券などが当たる特別抽選券や、旅行クーポン、またANAグループのECサイト『ANAショッピング A-style』でのお買い物に使える割引券などです」

 

一方で、パートナー企業としてのメリットは、アプリから認知が広まるのに加えて、アプリ内のチャレンジでパートナー企業に関連づけた内容が設けられることだ。例えば「○○ホテルに行こう」「○○に乗って○○に行こう」といった内容。これらはパートナー企業のPRや誘引が目的ではあるものの、ユーザーからすると“楽しいコンテンツ”にすぎない。

 

周知の通り、2020年以降そして今も航空業界は窮地に立たされている。航空需要が激変し、航空業以外のところで……と模索の結果、辿り着いたのがこのサービスだった。飛行機の旅がこれまで以上に非日常と化した今、日常の移動にも価値を見いだしたのが、長年空の移動を支えてきたANAグループというのは至極納得だ。構想が始まった2021年4月から、半年以上を開発に費やしローンチに至った。

 

一言で飛行機を飛ばすと言っても、実際その運航には膨大な企業や人が関わっている。航空会社や空港にまつわるサービスだけでない。飛行機が飛ばないとなれば、出発前・到着後の現地の観光、ホテル、飲食、小売、また地方自治体などのあらゆる分野にその影響が及ぶ。こうした同社が見出したパートナー企業との連携は、時代に合った新しい協業のかたちと言える。

移動も、ステイホームも。行動変容を促す仕組み

ただ、一つ大きなポイントとして「移動を単に促すアプリではないんです」と柴田氏は続ける。これはどういうことか?

 

「コロナ禍で人々の移動の意識が変わりました。人混みを避けたり、通勤通学ラッシュ時に公共交通機関を使うのを避けたりすることが、新常識となっています。そうした時代に沿った内容のチャレンジを設けることで、ユーザーには楽しみながら行動変容の機会を提供できればと思っています」

 

例えば、時差通勤や混雑回避を促すように「10-14時の参加で達成!遅め時差出勤のススメ」や、「16〜18時の参加で達成!ラッシュ時間を避けてお家に帰ろう」、「人混みを避けて、家の近くをお散歩しよう!」などといったものがそうだ。その意味では、移動そのものだけでなく、移動の仕方を考える(変える)ことも価値になるアプリと言える。

 

ANA PocketではGPSとAIを活用しながら、どこからどこまでどれほど時間をかけて移動したのかを詳細に判別している。先々は、このアルゴリズムの精度が向上すれば、居住エリアや行動習慣や趣味嗜好など、より個々に沿ったチャレンジが提示されるようになる、とのこと。

 

「今後は移動判別の精度向上がカギになります。日本は、特に首都圏では公共交通機関が充実しているため、移動の細かい判別が難しい部分もあるのですが、より細かくできるようになれば楽しみの選択肢が広がると思っています」

移動の統計データの活用幅が広がる

「まずはANA Pocketを楽しく使っていただきたい」と前置きをしてから、柴田氏はこのように話す。

 

「弊社はデジタルプラットフォームを推進しており、ANA Pocketのようにお客様と日常生活において接点を増やす事業を日々検討しています。事業の幅を広げていくことで、これまで以上に多くのデータを取得でき、さらにそのデータが新しいビジネス展開のヒントになっています。人の移動の統計データもそのひとつです。移動データの活用幅は、今後大きく広がっていきます。データの利活用においてお客様が、いつ、どこに、どのように行ったか、というデータが今後あらゆる業界で必要とされ、活用される時代になるでしょう」

 

例えば、人の動線をみて出店する場所を変えたり、商品を販売する時間を変えたり、タイムセールの時間を設けたり、といったことだ。また移動のデータは、店舗や企業の枠を越え、今後の観光業や地方創生のキーになってくるとも柴田氏は予想する。

 

「統計データがあれば、自治体への誘客や送客を狙って効率的なアプローチができますし、それが観光の活性化やひいては地域の活性化に繋がっていくと思います」

 

日常・非日常の移動をシームレスにカバーできるのは、日本の航空業界を長年牽引してきた同社だからこそ成せる技。変化しているのは人の行動だけではない。激変する時代において、こうした同社の新たなチャレンジから学ぶことは多い。

柴田 真宏

ANA X事業開発部

1998年全日空トラベル九州(当時)入社。営業、販売計画、管理部門などに従事。2021年11月よりANA X事業開発部に配属。ANA Pocketのオペレーションを担当。

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取材:池尾優

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