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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

月極駐車場の管理がアナログのまま残る理由 管理会社の業務コストを92%カットする「Park Direct」

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「近くに駐車場があるかどうか」車を持つ人なら、マンション・アパートなどの賃貸物件探しの際に月極駐車場がネックになったことがあるかもしれない。お部屋自体はオンラインで検索・内見もでき便利な一方、月極駐車場は現地を歩いて募集の看板を探さなければならない、というギャップがそこにはある。

 

そんな月極駐車場の世界を劇的に変えているのが、月極駐車場のオンライン契約サービス「Park Direct」だ。2019年11月にリリースし、翌年11月には導入社数60社/掲載台数2万台を記録。そこから2021年末には導入社数300社で業界No.1を達成。まもなく400社を超えようとしている。そんな右肩上がりのわけ、またニーズは一体どこにあるのか?Park Directの営業責任者であり、Park Directのリリース前から営業活動に従事している、株式会社ニーリーの下野昭一氏に話を伺った。

下野 昭一

Shoichi Shimono

執行役員/Park Direct 営業企画部長

2001年株式会社アイル(現GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)に入社。SMBをターゲットにマーケティングならびに営業業務を担う。最終役職はエンタープライズ営業本部副本部⻑。その後、2012年より双日グループのIT子会社(エヌシーアイ株式会社(現アイティーエム株式会社))にて営業統括補佐としてエンタープライズ向けクラウド事業の立ち上げを実施。2016年にAmazonWeb Services Japanへ転職。その後、担当部長に就任。2019年10月よりNealle Inc.に参画。

月極駐車場の契約が最短15分でできる

Park Directは月極駐車場の募集から契約作業、契約後の月々の使用料の徴収、送金や顧客管理まですべてをオンラインで実現するサービスだ。ホームページ上に掲げられている「管理・業務負荷約92%削減」「稼働率約21%UP(お客様事例)」の数字が証明するように、月極駐車場を管理する管理会社にとっては、様々な業務コストをカットできる便利な存在だ。また、借主側にとっても、駐車場の検索から契約までをオンライン上で完結できる利便性は大きい。

 

月極駐車場を借りたことがない限り、そのプロセスに目を向けることは少ない。下野氏曰く、管理会社側には「大きく3つの業務が発生する」という。1つ目の業務は「契約」に関するもの。借主を募集し、問い合わせ受け、申し込み手続き書類を作成し、審査をして、契約するところまでがそれに当たるが、こうして書き連ねるだけでも結構な業務数だ。おまけに書類は手書きだったり、押印欄があったり、審査は保証会社へFAXで送り返送してもらう必要もある。それがPark Directなら「管理会社様は審査・契約時に車両サイズ等をチェックする他は、ほとんど何もやらなくてOK」という。

 

「募集や問い合わせ対応はもちろんオンライン上で。契約も、借主様側が登録した情報があれば、システムが自動で進めてくれます。管理会社様はボタン数クリックで、最短15分で契約の締結が可能になります」

2つ目は契約中の駐車場の「更新・解約の手続き」だが、管理会社はほぼノータッチ。必要あれば24時間365日専門のコールセンターがサポート対応しながら、精算処理まで済んだ後に通知が届く仕組みだ。唯一、必ず管理会社の方で対処しなければならないのは、3つ目「顧客の日々の管理」のうち、駐車場清掃などの現地対応だけだ。

 

募集から契約までをワンストップで行い、契約後の手厚いサポートもある。さらに管理会社に喜ばれているのが、募集のオン・オフが自動で切り替わる時間貸しサービスだと下野氏は加える。

 

「これまでにも月極駐車場の空いている時間をスポットで貸し出す仕組みはありましたが、管理会社様からは『手間がなければありがたいのに……』というご意見を多くいただいていました。空いている時と埋まっている時では募集をかける掲載のオン・オフを切り替えなければならず、これまではサービス側に逐一連絡する必要がありました」

 

仕組みは極めてシンプル。管理会社が希望する場合は、空き駐車場を登録すると、時間貸し駐車場のサイトに情報が飛び、検索ページに掲載される。掲載のオン・オフはそのシステム内で、自動で切り替わる。こうして管理会社は業務コストを大幅にカットしながらも、新たな収益化を図れるようになった。

不動産業界に取り残されたアナログ領域

Park Directのシステムには、管理会社の現場の意見が十二分に取り込まれている。管理会社の業務や借主の困りごとを、リリース前から調査してきたという下野氏はこう話す。

 

「そこで明るみになったのが、月極駐車場の現場でした。駐車場にまつわる業務はアナログで本当に面倒で、という管理会社様からの相談が立て続けに寄せられていました。借主様側からしても、ネットに情報がないので現地を歩き回って探すしかない。今もまだまだ多いですが、月極駐車場の集客はほぼ現地の看板です」

そんな時代錯誤な管理や運営フローに、当然管理会社側も課題感を抱えていた。それなのに改善には至らない。一体、何が足かせになっていたのか。

 

「そもそも駐車場は、とても手間がかかる割には不動産賃貸のなかでも単価が低いです。収益が上がらないので優先順位が低くみられがちで、必然的に従来通りのやり方が残っていたのでしょう」

 

借主側からすれば、駐車場探しや手続きは、他の賃貸と同じようにオンラインで出来るようになっていてほしい。だが駐車場収益はどうしても低くなりがちなため、管理会社のなかでは効率化を進めにくい。そうした業界内の根強い課題が、Park Directの出発点となっていった。

 

サービス開始後、思い入れ深い最初の契約者は、静岡から神奈川に転勤する方だったという。

 

「新幹線での移動中に駐車場を見つけ、そのまま新幹線の中で契約していただきました。最初の事例からして、まさにオンラインでの課題解決ができた。手応えを感じましたね」

開発側の決めつけで作ったシステムは失敗する

ニーリーのこれまでの強みは、金融・不動産領域の大手事業会社が手掛ける新規事業を戦略立案から開発まで一気通貫で対応できること。ゆえに精度の高い技術や実行力はあるが、常に気をつけていることがある。

 

「一般的に、クライアントへのヒアリングや意見交換を怠って、決めつけで作ったサービスはうまくいかない、というのはよく言われていることです。システムは一度作ると、軌道修正が大変だったりもします。Park Directではリリース前から管理会社様に『監修』に入っていただきながら、システムを構築してきました」

 

そうした管理会社への細かなヒアリングから発見されたことがサービスの基礎になっている。例えば、Park Directではほとんどの業務をオンライン化しているが、管理会社と駐車場オーナー間の契約書のやり取りについては今も書面で行うケースが多いため、出力できるように契約書をPDF化する機能は必須だ。

また、あらゆる会社に対応できるよう、システムに柔軟性をもたせることも大切だ。管理会社の業務は一見同じに思えるが、実は小さな工夫がなされていたりして、細かい部分は会社によって異なる。例えば、駐車場の賃料を日割で算出する時。その月の日数で割って算出する会社もあれば、常に30日で割る会社もある。そうした細かな違いを無視したシステムでは、ある企業では導入してもらえない、といった事態が起きる。

 

「どの会社にもマッチするように、かなりの項目数を会社ごとに選べるようにしています。新しい機能を開発するときは特に、一社特有の話なのか?全体的に言えることなのか?パターンはないのか?というのを何度もディスカッションします」

 

その根底にあるのは、管理会社とのフラットな関係性だ。今もPark Directには、管理会社からの要望が毎月のように寄せられるという。加えて、借主側の意見も取り入れながら、機能改善を続けている。

変わる月極駐車場のニーズとサービス

デジタル庁の発足やデジタル改革関連法により、オンライン契約が推し進められる今。なかでも不動産賃借業の今後を大きく左右するといわれているのが、2022年5月までの施行が予定される宅地建物取引業法の改正だ。実施されれば、契約時の押印が廃止され、多くの重要事項説明書や契約書の公布を電子契約書で行えるようになる。

 

「駐車場は、もうオンラインで契約するのが当たり前みたいな世界観に、かなり近い将来になっていくと思います。単価が低くリアルで内見する必要もあまりないので、駐車場のオンライン契約のハードルは、賃貸や売買物件よりも低いといえます」

 

ニーリーは借主向けのメリットも忘れていない。Park Direct では、2022年1月からユーザーにガソリンクーポンの配信を開始。サービスを追求する同社に、駐車場の近い将来を推測してもらった。

 

「脱炭素化が進む中、EV充電スタンドが駐車場の基本装備になりますし、オンライン決済もますます普及するでしょう。駐車場のニーズやサービスが劇的に変わる時代です。そうしたなか、私たちは管理会社様、オーナー様、借主様の三方にとってより良いプラットフォームであり続けるべく、時代に沿った利便性を追求していきたいと思います」

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取材:池尾優

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