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オンラインと今。

ポストコロナ社会において「オンライン」は必要不可欠なものとなった。これからどのようにオンラインと向き合うのか、各企業や団体の取り入れ方を学ぶ。

六甲山シェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」にみる、神戸市のクリエイティブ産業戦略とは?

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兵庫県を代表する港町・神戸市。神戸ハーバーランドや旧居留地、異人館などの観光スポットがひしめきあい、神戸市の北側にそびえる六甲山は百万ドルの夜景で有名な眺望スポットだ。

この六甲山に、“森の中にある泊まれるシェアオフィス”として「ROKKONOMAD(ロコノマド)」が2021年3月にオープンするなど、にわかにビジネス交流拠点として注目を浴びつつある。その背景には、神戸市のクリエイティブ市場へのある狙いがあった。スマートシティ構想にも携わる有限会社Lusie(ルーシー)代表取締役の小泉寛明氏に解説いただいた。

小泉 寛明

有限会社 Lusie(ルーシー) 代表取締役

神戸を中心に個性的なリノベーション物件を紹介・仲介を行う不動産サイト「神戸R 不動産」を運営。
神戸市が推進する六甲山上スマートシティ構想にも携わる。

山荘や保養所の閉鎖が課題となっていた六甲山

手つかずだった六甲山の開発が始まったのは明治時代。神戸に居留していた外国人を中心に山荘の建設などが始まり、昭和初期にはドライブウェイやケーブルカーなど交通アクセスの整備が進んだ。戦後には牧場や人口スキー場など観光施設がオープン、観光都市・神戸としてその一端を担うようになる。だが時代が平成に入ると震災や不況のあおりをうけ、山荘や保養所の閉鎖が相次いだ。六甲山の活性化は急務だったといえる。

 

「もともと六甲山は神戸市を見下ろす素晴らしいロケーションの良さもあって、様々な事業による六甲山の活性化や活用はありました。神戸市が遊休施設を観光施設に改修する際の費用を助成する制度を始めたり、国立公園内で開発が制限されていた一帯の規制緩和などを進めたりしているのですが、その中で六甲山上スマートシティ構想としてさらに強化していく動きが始まっています」(小泉氏)

神戸市が「六甲山上スマートシティ構想」を発表したのは令和に入ってから。六甲山上スマートシティ構想は3つの空間作りを目指しているという。

 

1つめは「没入空間」。美しい自然が広がる山上に自然調和型オフィスを作り、企業やクリエイターの進出をサポートするもの。2つめ、「実装空間」。最先端テクノロジーによって、データやIoT 技術を活用したサービス導入促進を図るもの。そして3つめ、「共創空間」。企業・クリエイター・住民のコラボを生み出す空間作りを目指し、創造を生む繋がりを作るもの。

 

この1つめの「没入空間」と3つめの「共創空間」について、2021年3月から本格的に始動したのがシェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」である。

六甲山ならではのシェアオフィス

仕事スペース、ラウンジ、会議室のほか、六甲山ならではのロケーションを生かしたバーベキューもできるウッドデッキや庭なども備えている。また、泊まれるシェアオフィスと銘打っており、個室もしくはドミトリーで宿泊滞在できるようになっている。

 

「利用者は順調に増加しており、多数の方にリアクション頂いています。利用者はWebデザイナー・イラストレーター・ITビジネスなど様々ですが、意外にも弁護士や司法書士といった方にも利用いただいています。総じて山好きの方が多いです(笑)」

利用者の中には、神戸市を見下ろせるウッドデッキで仕事をこなす人や、様々な方と交流できるため刺激や発想の展開があると期待している人もいるようだ。ほとんどが週1回の利用だというが、気軽に利用できるのもこのロコノマドの大きな強みだ。

 

「六甲山は『街に近い森の中』というのが特徴。車を走らせると淡路島もそんなに遠くないですし、伊丹空港も近くてアクセスが良いのが魅力なんです。こういったロケーションを求めて地方にいくと2~3時間かかってしまいますが、六甲山の場合は街が目の前にあるので、すぐに帰れることも安心できる材料という声をいただいています」

 

ROKKONOMADは単にロケーションが良い施設だけではない。訪れる人々の関係を作るのも使命だという。

 

「単に施設を作っても、利用する人がいないと関係を築くことはできません。施設に在中するマネージャー含め、利用者のみなさんにどれだけロコノマドに愛着をもってもらえるかがカギと考えています」

 

目下の課題としては、シェアオフィスを使ってはいけない会社がいまだ多いということ。そのためにはセキュリティ強化や就業規則など、企業側の改善が必須だと語る。コロナ禍でオンラインを用いた働き方が加速している今、企業側が柔和な施策をおこうべきだろう。

神戸市によるクリエイティブ産業の狙いとは

神戸市では六甲山「都市型創造産業振興事業」というものを募集している。対象はIT、映像・音声制作・広告・デザインなどクリエイティブ産業で、山上の遊休施設などの既存施設を建て替え・改修し、オフィスやワークスペースとして使用する場合に、改修経費などを最大3,000万円補助するという。神戸市がなぜここまでしてクリエイティブ産業を強化しようとしているのだろうか? その背景には、神戸市のクリエイティブ市場の流出があるという。

 

神戸市のクリエイティブ市場は約1兆円。しかし、そのうち約3,000億円が大阪など市外へと流出しているとみられるのだという。需要はあるのに、クリエイティブ産業が弱く市外でお金が使われている。これが大きな課題になっているのだ。

 

「神戸市の企業が大阪・東京などに発注をしており、経済が地域内で巡回していない問題があります。そのためには神戸の事業を育てていくしかない。その育てる役割をロコノマドで担えたらと思っています」

※本記事は2021年5月10日にeo光チャンネルで放送された情報番組「情報スパイス」の内容を編集したものです。

 

eo光チャンネル「情報スパイス」 2021.5.10放送
「六甲山を仕事場に!スマートシティ構想」
キャスター 村上文香
コメンテーター 脇浜紀子(京都産業大学 教授)
ゲスト 小泉寛明(有限会社Lusie 代表取締役)

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